公開日 2023/06/06 06:30
1万円強で確かな効果! AETの“巻き付け”アイソレーターと“挿すだけ”イジェクターの実力チェック!
【特別企画】高周波ノイズ対策に効果あり
AETより、ケーブルに巻き付けて利用するタイプの小型アイソレーター「EVO-CI0630NI」と、空き端子に接続するノイズイジェクター、2種類のアクセサリーが登場した。その効果を、オーディオ評論家の林 正儀氏が確認する。
AETのラインナップに注目の新製品が2機種加わった。ひとつめはケーブルの周りの様々なノイズから保護するケーブルアイソレーター「EVO-CI0630NI」。2点目はアンプ等の空き端子から放電を促し音質をアップさせるという「EVO-NE0510NI」だ。どちらも1万円程度の手頃な価格でそれぞれの効果を楽しむトレンディなアクセサリーたちだ。
まずケーブルアイソレーターの実力をチェック。「RCA(XLR)ケーブル向け小径モデル」とアナウンスされているように、電源ケーブル用のEVO-CI0650NIのスモールバージョンで、かなり小ぶりである。ラインケーブル用が欲しいという要望に応えた形だ。RCAだけならもう少し小さくできたはずだがXLRも通るようにしている。
実際に使ってみると確かに両用である。RCAの場合ゆとりがある感じだが、 AETとしては、ケーブルを1本ずつ入れて使用するように推奨している。
それはさておき、近年静電気対策に注力してきた同社が狙うのは、高周波ノイズ取りである。素材や構造はEVO-CI0650NIと同じで、コアと外皮。2層の帯電防止材により内部と外部からの有害ノイズの減少を図ったもの。中のノイズは外に出し、外から飛来するノイズの影響も受けないという設計だ。実際ケーブルインシュレーターも兼ねてしまうのだが、あくまで主眼は高周波ノイズ除去であるとみた。
CDプレーヤー/プリ間で、手持ちのRCAケーブルに巻きつけて使う。電源系とはまた異なる効果だが、ノイズ感やざらつきがすっと落ちてきれいになる。聴感は、明らかに信号純度が高まる効果である。S/N向上、透明度がより深くなって、遠近にコントラストがつくようだ。音像のフォーカスがキュッと絞られ、ジャズもポップスも立体的になる。周波数レンジは、ほぼフラットパターンで、低域サイドは弾力的かつノビとしまりをみせる。
ヴォーカルには声の表情のはりが出て音色も明るい。中域のエネルギッシュな密度感が加わり、サウンド全体が充実する。RCAケーブルをいくつか交換してみると、それぞれ持ち味やケーブル本来のパフォーマンスを引き出してくれたのだ。L/Rに1本ずつ使うことで、セパレーションが上がり確かな効果が確認できた。
これは追加であるが、先端部にアース線をつなぐことができるようになっており、さらなる静電ノイズ対策もできる。試してみてはどうだろうか。
ノイズイジェクターは仮想アースをもっと手軽に、という発想の中で生まれたと聞く。コンポの空き端子につないで、螺旋部分から外に放電するという仕組みだ。中に銅線が入っていて、機械のノイズを引っ張り出し、静電ノイズを外に放出する。
そもそも同社の開発した帯電防止素材は「それ自体が帯電しづらく空中に放電する」という性質を持つ。カールによって表面積が増え、その効果をアップする働きだ。端子は帯電防止コーティング済み。被覆はノンカーボンの難燃耐熱素材だ。
EVO-NE0510NIをアンプの空き端子に取りつけた。任意のひとつだが、場所によって微妙な違いがあるようだ。根気よく試すしかない。その一例を報告すると、効果はじわっと現れるようで、ノイズが自分から静かに消える。空気が澄むような作用で、効き方は穏やかでナチュラルだ。ピアノの音色ひとつとっても粒だちや解像度を際だたせ過ぎない、適度な余韻を伴う佇まいが好ましい。声楽系は直接音と間接音のバランスが良いうえに、呼吸のリズムが生き生きと伝わり、距離感が明瞭に。オーガニックな聴こえというか、実に情感豊かで心地よい。そんな印象だ。
ジャズも北欧系がナイスマッチのようで、過激な突出感を抑えた味のあるバランスだ。というように、このアイテムは落ち着ける。それぞれ新鮮で実に興味深い効果だ。AET製品の探求の深さを感じた試聴だった。
(提供:AET)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.185』からの転載です
ケーブルアイソレーター -セパレーションが上がり本来の持ち味を引き出す
AETのラインナップに注目の新製品が2機種加わった。ひとつめはケーブルの周りの様々なノイズから保護するケーブルアイソレーター「EVO-CI0630NI」。2点目はアンプ等の空き端子から放電を促し音質をアップさせるという「EVO-NE0510NI」だ。どちらも1万円程度の手頃な価格でそれぞれの効果を楽しむトレンディなアクセサリーたちだ。
まずケーブルアイソレーターの実力をチェック。「RCA(XLR)ケーブル向け小径モデル」とアナウンスされているように、電源ケーブル用のEVO-CI0650NIのスモールバージョンで、かなり小ぶりである。ラインケーブル用が欲しいという要望に応えた形だ。RCAだけならもう少し小さくできたはずだがXLRも通るようにしている。
実際に使ってみると確かに両用である。RCAの場合ゆとりがある感じだが、 AETとしては、ケーブルを1本ずつ入れて使用するように推奨している。
それはさておき、近年静電気対策に注力してきた同社が狙うのは、高周波ノイズ取りである。素材や構造はEVO-CI0650NIと同じで、コアと外皮。2層の帯電防止材により内部と外部からの有害ノイズの減少を図ったもの。中のノイズは外に出し、外から飛来するノイズの影響も受けないという設計だ。実際ケーブルインシュレーターも兼ねてしまうのだが、あくまで主眼は高周波ノイズ除去であるとみた。
CDプレーヤー/プリ間で、手持ちのRCAケーブルに巻きつけて使う。電源系とはまた異なる効果だが、ノイズ感やざらつきがすっと落ちてきれいになる。聴感は、明らかに信号純度が高まる効果である。S/N向上、透明度がより深くなって、遠近にコントラストがつくようだ。音像のフォーカスがキュッと絞られ、ジャズもポップスも立体的になる。周波数レンジは、ほぼフラットパターンで、低域サイドは弾力的かつノビとしまりをみせる。
ヴォーカルには声の表情のはりが出て音色も明るい。中域のエネルギッシュな密度感が加わり、サウンド全体が充実する。RCAケーブルをいくつか交換してみると、それぞれ持ち味やケーブル本来のパフォーマンスを引き出してくれたのだ。L/Rに1本ずつ使うことで、セパレーションが上がり確かな効果が確認できた。
これは追加であるが、先端部にアース線をつなぐことができるようになっており、さらなる静電ノイズ対策もできる。試してみてはどうだろうか。
ノイズイジェクター -空気が澄むような作用で穏やかでナチュラル
ノイズイジェクターは仮想アースをもっと手軽に、という発想の中で生まれたと聞く。コンポの空き端子につないで、螺旋部分から外に放電するという仕組みだ。中に銅線が入っていて、機械のノイズを引っ張り出し、静電ノイズを外に放出する。
そもそも同社の開発した帯電防止素材は「それ自体が帯電しづらく空中に放電する」という性質を持つ。カールによって表面積が増え、その効果をアップする働きだ。端子は帯電防止コーティング済み。被覆はノンカーボンの難燃耐熱素材だ。
EVO-NE0510NIをアンプの空き端子に取りつけた。任意のひとつだが、場所によって微妙な違いがあるようだ。根気よく試すしかない。その一例を報告すると、効果はじわっと現れるようで、ノイズが自分から静かに消える。空気が澄むような作用で、効き方は穏やかでナチュラルだ。ピアノの音色ひとつとっても粒だちや解像度を際だたせ過ぎない、適度な余韻を伴う佇まいが好ましい。声楽系は直接音と間接音のバランスが良いうえに、呼吸のリズムが生き生きと伝わり、距離感が明瞭に。オーガニックな聴こえというか、実に情感豊かで心地よい。そんな印象だ。
ジャズも北欧系がナイスマッチのようで、過激な突出感を抑えた味のあるバランスだ。というように、このアイテムは落ち着ける。それぞれ新鮮で実に興味深い効果だ。AET製品の探求の深さを感じた試聴だった。
(提供:AET)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.185』からの転載です