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公開日 2023/07/12 06:30

ディナウディオのロングセラー「The Special Forty」と「Contour 20i」を徹底比較!

【特別企画】完成度の高さはいずれも高水準
土方久明
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デンマークの老舗スピーカーブランドであるディナウディオは、確かな製品開発技術でロングセラーとなるスピーカーを多数世に送り出している。今回は2ウェイ・ブックシェルフの「The Special Forty」と「Contour 20i」を比較試聴し、それぞれの魅力に迫ってみたい。

DYNAUDIO スピーカーシステム「The Special Forty」(左/550,000円/ペア・税込) 「Contour 20i」(右/880,000円/ペア・税込)

人気ブックシェルフスピーカー、ロングセラーの秘密を探る



デンマークを代表する老舗オーディオメーカーであるディナウディオには、数多くのスピーカーがラインナップされている。最上位シリーズの「Confidence」から「Contour i」、「Evoke」、「Emit」という定番シリーズに加え、「Heritage」「The Special Forty」といった特別モデル、近年はアンプ内蔵モデルの「Focus」も市場に投入し、コアなオーディオファイルを魅了してきた。

今回は2ウェイ・ブックシェルフスピーカー「The Special Forty」「Contour 20i」の2本を比較しながらクオリティチェックを行う。いわば同ブランド内でのスピーカー対決だ。

The Special Fortyは、同社の40周年を記念したスペシャルモデルで価格は50万円台。対するContour 20iは、1986年の初代機登場以来モデルチェンジを重ねつつ、いつもディナウディオの中核を担ってきたコンターシリーズの最新モデルで、価格は80万円台だ。

アニバーサリーモデルには特別仕様のユニットを搭載



興味深い点として2本のスピーカーはどちらも売れ筋モデルという共通点がありながら、生い立ちには大きな違いがある。

28mm Esotar Fortyトゥイーターと17cm MSPコーンウーファーを採用。ユニットはいずれも新設計のもの。写真はEbony Wave

上部にバスレフポートを置き、入力端子はシングルワイヤリング専用と、ディナウディオのオーソドックスなスタイルを踏襲する。写真はBlack Vine

The Special Fortyのキャビネット外寸は198W×360H×307Dmm、重量は8.3kg。再生周波数帯域は41Hz〜23kHz、インピーダンス6Ω、能率は86dB。エンクロージャーは鏡面仕上げで、Black VineとEbony Waveという2色展開の鏡面仕上げ。

アニバーサリーモデルの特権として、通常このクラスでは採用例がないユニットが搭載されていることが挙げられる。具体的には、上位モデルEsotarをベースとした、28mm口径のソフトドームトゥイーター「Esotar Forty」と、ネオジムとフェライトのハイブリッド・マグネットを搭載し、内磁型の磁気回路DSP(ケイ酸マグネシウム・プリマー)を採用した17cmコーンウーファーを搭載する、クロスオーバーネットワーク回路の品質も高い。

The Special Fortyのために新規開発されたトゥイーター「Esotar Forty」。後方に特殊な形状のベントを設け、リアチェンバーの容積を拡大するとともに空気の流れをコントロールしている

一方のContour 20iは2020年8月に登場したシリーズ中唯一のブックシェルフモデル。キャビネット外寸は215W×440H×360Dmm、重量は14kg。再生周波数帯域は41Hz〜23kHz、インピーダンス4Ω、能率は86dB。

28mm Esotar 2i with Hexisトゥイーターと18cm MSPコーンウーファーを搭載。エンクロージャーはThe Special Fortyより一回り大きい。写真はWalnut Wood

背面部の構成はThe Special Fortyと同じだが、バスレフポートの径がやや小さく、入力端子も異なる。写真はBlack High Gloss

フロント側の厚みをこれまでの2倍とした多層MDF構造のキャビネットと、フロントバッフルにサイドが湾曲した14mm厚のアルミを用い回折現象を回避、さらに、トゥイーターは最上位モデルConfidenceシリーズに迫る内容のEsotar2で、独立したアルミプレートに装着される。ウーファーには18cmのMSPコーンを採用している。キャビネットカラーはBlack High Gloss、Walnut Woodという2色展開で、部屋のインテリアや好みによって選択できる。

実際に2台を並べてみるとキャビネットサイズや外観の意匠も大きく違う。どのような音の違いが起きるのか? 楽しみでならない。

安定感高くコストパフォーマンスに優れる「The Special Forty」



試聴環境は、アキュフェーズのプリアンプ「C-3900」、同パワーアンプ「A-75」、ソース機器はCDプレーヤーが同「DP-750」、アナログプレーヤーはテクニクス「SL-1000R」にカートリッジ「PP-2000」を装着、フォノイコライザーはアキュフェーズ「C-47」。

ハイレゾファイル再生はDELAのミュージックサーバー「N1A」を使い、デジタル出力をUSBケーブル経由でUSB-DACとした「DP-750」に接続した。スピーカーセッティングについては左右の広さを195cm(トゥイーター中央)とした二等辺三角形としている。

まずはヴァーブ・レーベルから登場した日本人女性ヴォーカリスト/ベース奏者の石川紅奈『Kurena』のハイレゾファイルを聴く。聴きどころは透明感の強い声質の表現力と重量感の強いベースのリアリティだが、The Special Fortyでは、一聴して音色がアキュレートだ。実は僕自身、本機を愛用していたことがあるのだが、安定感あるサウンド、コストパフォーマンスの高さを今回の試聴で改めて実感した。

ヴォーカルの感情表現がより引き出される「Contour 20i」



予想以上だったのはContour 20iの音だ。一聴して中〜高音域の分解能が上がり、1cm口径が増したウーファーと大きなキャビネットによりベースの迫力が増大する。

アナログ盤で再生した手島葵『Highlights from Simple is best』は、透明感のあるヴォーカルで魅せるThe Special Fortyに対し、Contour 20iはヴォーカル帯域の分解能が一歩上がり、より感情を込めて歌っているのが分かる。しかし価格は大きく違う。これは悩むなー(笑顔)。

見逃せないのがアンプへ求める能力で、The Special Fortyは比較的安価なアンプでもバランスが崩れることがなさそうな印象だが、Contour 20iはより駆動力を求めたくなるはず。

比較時の第一印象は「Contour 20iの再生能力はすごい!」であったが、ふと我に返ると大幅に安価なThe Special Fortyのコストパフォーマンスの高さはかなりのもので、これはもう財布と相談して選ぶしかないな、という結論に達した。

スピーカーには分解能やサウンドステージ表現、質感表現、そして最後は自分の音の好みが入ってくるが、試聴した2つのスピーカーはどちらも選んでも充実したオーディオライフを送れるはずだ。読者の皆さんには店頭などで僕が感じた両スピーカーの完成度を知ってていただきたい。

(提供:DYNAUDIO JAPAN)

本記事は『季刊・オーディオアクセサリー189号』からの転載です。

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