公開日 2023/10/17 06:30
「レコードの芸術」を極める。Grandioso×アヴァンギャルドが奏でる極上のアナログサウンド
【特別企画】人の感性に訴えかける至福の音楽再生
圧倒的なクオリティの高さで、オーディオファンから熱い視線を集めているエソテリックのGrandiosoシリーズ。昨年から今年にかけて、アナログプレーヤー「Grandioso T1」、一体型シャーシのプリアンプ「Grandioso C1X solo」、A級ステレオパワーアンプ「Grandioso S1X」と、次々と新製品を投入している。この3モデルを組み合わせて、究極のアナログサウンドを堪能してみよう。
人は、さまざまなところで、時間支配を感じる。それは、時に至福の喜びでもあるだろう。歴史あるレコード再生もその一つ。「楽興の時」はシューベルトの作品だが、私がこの文字からイメージするのは、人の感性に訴えかける至福の音楽再生だ。
レコードを一枚かけよう。エストニアの現代作曲家アルヴォ・ペルトの『ラメンテータ』だ。気がつけば、わずかなティンパニの重低音がクレッシェンドし、やがて打音は頂点に達し、部屋の空気を重々しく一変させる。その直後、眩いほどの金管楽器の響きが聴け、「光」を感じさせる。
その響きは、シルクあるいはビロードのように、柔らかみと膨らみを感じさせる豊潤な弦楽パートと絡み合い、そこにデリカシーに富んだピアノの響きがブレンドされる。休止符あるいは楽章間の「間」にも深淵なものを感じてしまう。まさに夢にまで見た壮大と静謐の織りなす音楽再生だ。
これを奏でるアヴァンギャルドの「TRIO G3」とエソテリックのモデルたち。照明を暗めにし再生すると、そこにはオーディオ再生を超えてしまったのかと感じさせるほどの、音楽そのものが見えてくる。他界した演奏家、現在活躍する演奏家。いずれも残してきた音楽の記録。このベストな組み合わせは、レコード芸術という言葉を鮮明にする。
これらを手がけた作り手たちは、優れた技術ばかりではなく、理想の音楽再生を達成しようと、研ぎ澄まされた感性を身につけているのかもしれない。そこには「弛まぬ鍛錬」という言葉が、私の脳裏に浮き上がる。再生した音楽を人に感じさせるに留まらず、極上の形にも表す。
私には、この組み合わせは、ドイツの「バウハウスの芸術」を彷彿とさせる。それは良い意味で「アヴァンギャルド」的、前衛的でもあり、末長く愛用していたいという所有の喜びまでも感じさせている。
とりわけ、世界で脚光を浴びているフラグシップ・レコードプレーヤー「Grandioso T1」は、磁力で駆動するという世界で唯一無二の技術に到達し、10MHzマスタークロック「Grandioso G1X」を接続すると、フォノイコライザー「E-02」とともに、臨場感に溢れた生々しい音楽に昇華する。
その音楽の根幹を成すのはGrandiosoシリーズの最新プリアンプ「Grandioso C1X solo」とクラスAステレオパワーアンプ「Grandioso S1X」の組み合わせだ。
C1X soloは、固定抵抗切り替えのボリュームの信頼性と無段階調整可能な可変抵抗ボリュームの良さを両立させた、独自アッテネーター・ボリュームを搭載し、チャンネル毎に4回路のデュアルバランス増幅回路を実現。お家芸の強力なESOTERIC-HCLD出力バッファーアンプで電流伝送も可能にする。驚くべきはトランス5基搭載の5系統の電源部を搭載すること。その機器内部も高精度測定器を想像させる精密感に溢れた内部構成を実現した。
S1Xは、バイポーラートランジスター、5パラレルプシュプル駆動の純A級ステレオアンプ。徹底した信号伝送の最短化は「引き算の美学」という。発熱量を制御する方式を開発し、最高のパフォーマンスをアンプ素子が発揮する。これらを支える電源部は驚愕の3トランス構成。両モデルのコンビネーションにより、レコードのダイナミックな表現と静謐な表現をコンサートに臨席するかのような自然な響きで再現してくれる。
私は、最後にグレン・グールドの『ゴールドベルク変奏曲』を聴いた。そこには、美しい響きとともに、ストイックにまで演奏を極めようとする、グールドの演奏の仕草や声だけではなく、演奏への情念までも伝わってくる思いがした。
(提供:エソテリック)
本記事は『アナログ vol.80』からの転載です。
まさに「レコード芸術」、壮大と静謐の織りなす至福の音楽再生
人は、さまざまなところで、時間支配を感じる。それは、時に至福の喜びでもあるだろう。歴史あるレコード再生もその一つ。「楽興の時」はシューベルトの作品だが、私がこの文字からイメージするのは、人の感性に訴えかける至福の音楽再生だ。
レコードを一枚かけよう。エストニアの現代作曲家アルヴォ・ペルトの『ラメンテータ』だ。気がつけば、わずかなティンパニの重低音がクレッシェンドし、やがて打音は頂点に達し、部屋の空気を重々しく一変させる。その直後、眩いほどの金管楽器の響きが聴け、「光」を感じさせる。
その響きは、シルクあるいはビロードのように、柔らかみと膨らみを感じさせる豊潤な弦楽パートと絡み合い、そこにデリカシーに富んだピアノの響きがブレンドされる。休止符あるいは楽章間の「間」にも深淵なものを感じてしまう。まさに夢にまで見た壮大と静謐の織りなす音楽再生だ。
これを奏でるアヴァンギャルドの「TRIO G3」とエソテリックのモデルたち。照明を暗めにし再生すると、そこにはオーディオ再生を超えてしまったのかと感じさせるほどの、音楽そのものが見えてくる。他界した演奏家、現在活躍する演奏家。いずれも残してきた音楽の記録。このベストな組み合わせは、レコード芸術という言葉を鮮明にする。
これらを手がけた作り手たちは、優れた技術ばかりではなく、理想の音楽再生を達成しようと、研ぎ澄まされた感性を身につけているのかもしれない。そこには「弛まぬ鍛錬」という言葉が、私の脳裏に浮き上がる。再生した音楽を人に感じさせるに留まらず、極上の形にも表す。
私には、この組み合わせは、ドイツの「バウハウスの芸術」を彷彿とさせる。それは良い意味で「アヴァンギャルド」的、前衛的でもあり、末長く愛用していたいという所有の喜びまでも感じさせている。
ストイックにまで演奏を極めるグールドの情念も伝わる
とりわけ、世界で脚光を浴びているフラグシップ・レコードプレーヤー「Grandioso T1」は、磁力で駆動するという世界で唯一無二の技術に到達し、10MHzマスタークロック「Grandioso G1X」を接続すると、フォノイコライザー「E-02」とともに、臨場感に溢れた生々しい音楽に昇華する。
その音楽の根幹を成すのはGrandiosoシリーズの最新プリアンプ「Grandioso C1X solo」とクラスAステレオパワーアンプ「Grandioso S1X」の組み合わせだ。
C1X soloは、固定抵抗切り替えのボリュームの信頼性と無段階調整可能な可変抵抗ボリュームの良さを両立させた、独自アッテネーター・ボリュームを搭載し、チャンネル毎に4回路のデュアルバランス増幅回路を実現。お家芸の強力なESOTERIC-HCLD出力バッファーアンプで電流伝送も可能にする。驚くべきはトランス5基搭載の5系統の電源部を搭載すること。その機器内部も高精度測定器を想像させる精密感に溢れた内部構成を実現した。
S1Xは、バイポーラートランジスター、5パラレルプシュプル駆動の純A級ステレオアンプ。徹底した信号伝送の最短化は「引き算の美学」という。発熱量を制御する方式を開発し、最高のパフォーマンスをアンプ素子が発揮する。これらを支える電源部は驚愕の3トランス構成。両モデルのコンビネーションにより、レコードのダイナミックな表現と静謐な表現をコンサートに臨席するかのような自然な響きで再現してくれる。
私は、最後にグレン・グールドの『ゴールドベルク変奏曲』を聴いた。そこには、美しい響きとともに、ストイックにまで演奏を極めようとする、グールドの演奏の仕草や声だけではなく、演奏への情念までも伝わってくる思いがした。
(提供:エソテリック)
本記事は『アナログ vol.80』からの転載です。