PR 公開日 2024/12/11 06:30
ディスク再生への探求への飽くなき追求。王道のSACDプレーヤー エソテリック「K-01XD SE」、“金賞”受賞の実力を聴く
【オーディオ銘機賞2025】金賞大賞受賞モデル
エソテリックの象徴ともいえるSACDプレーヤー「K-01XD」がSEバージョンへと進化を果たした。その革新の大きさは、本年度の「オーディオ銘機賞2025」でも最高峰の「金賞」という形で証明されている。デジタルプレーヤーのリファレンス機として世界中で確固たる地位を築いている本機の進化をレポートする。
1987年のブランド創設から、比較的短い年月で日本のハイエンドオーディオの第三極へ駆け上がったESOTERIC(エソテリック)だが、DAコンバーターの重要性に着目し独立したコンポーネントに位置づけた先見性と、制振性と読み取り精度にすぐれたドライブメカVRDSを独自開発し、デジタルオーディオディスク再生のエキスパートとなったことが躍進の両輪であることに議論の余地はないはずだ。
スーパーハイエンドのGrandiosoが誕生しエソテリックの技術の追求はさらに尖鋭化したが、一般のオーディオファイルの手の届きにくい存在になっていったことも否めなかった。
CD/SACD再生がストリーミング&ファイル再生とアナログリバイバルにはさまれて進歩の歩みが鈍っている今、エソテリックから自社の技術を集約した王道の一体型CD/SACDプレーヤーが登場した。2010年以来の同社のアイコニックなKシリーズの最新作「K-01XD SE」である。ディスク再生に情熱と探究心を失わないオーディオファイル待望の本機は、販売業界、評論家から大きな賞賛をもって迎えられた。
K-01XD SEについてさらっておこう。心臓部トランスポートにVRDS-ATLASを搭載する。Grandioso P1X SE、K1X SEから継承するVRDSの最新バージョン。ターンテーブル駆動用モーターをブリッジ最上部からターンテーブル下側に移動、振動がアースされるまでの経路を短縮し機械的ノイズを低減した。同時発売の弟機「K-03XD SE」もこのメカを搭載するが、ブリッジ厚が20mm→18mmと細部が異なる。
電源部の充実もGrandioso譲り。DAコンバーター部のL/R、ドライブメカ、デジタル回路専用に合計4つの大容量トロイダルトランスを搭載する。レギュレーターは、集積回路を使わずディスクリート構成のローフィードバックDCレギュレーターとし、合計71本のスーパーキャパシター(大容量コンデンサー)を搭載。
本機で特に注目されるのが、Master Sound Discrete Clockの搭載。エソテリックの功績の一つが、従来汎用モジュールにパッケージされていたクリスタル発振回路に着目しクロックモジュールを自社開発したことにある。そうして誕生したコンポーネントがマスタークロック・ジェネレーター「Grandioso G1X」だった。本機は贅沢にもこのディスクリートクロック回路を一体型ディスクプレーヤーの内蔵クロックに適用した。
最初に紹介したように、VRDSと並ぶエソテリックの技術アイコンがDAコンバーターである。本機に搭載されたMaster Sound Discrete DACは「Grandioso D1X SE」と同様のオリジナルのディスクリート回路で、1chあたり32の処理部で構成、クロックドライバー、ロジック回路、コンデンサー、抵抗で構成される。64bit/512Fs対応のΔΣモジュレーターを搭載しDSD 22.5MHz、PCM 384kHz/32bitまで対応。PCMの2/4/8/16倍アップコンバートやPCM→DSD変換機能も持つ。
エソテリックの試聴室でK-01XD SEを試聴した。恐ろしく静粛なデジタルプレーヤーである。ディスクセット時のVRDS-ATLASの粛々として寡黙、優美な動作に心奪われる。あまた存在するデジタルプレーヤー中で動きの官能性を備えた製品はエソテリックだけだろう。
ティーレマン指揮、ウィーンフィルの『ブルックナー交響曲第7番』(SACD)は、弦楽合奏の歪みが極微、録音では再現が無理かと思われたウィーンフィルのなめらかでシルキー、質朴な艶の乗った弦楽の質感が現れる。音場が深く広い。ディスクリート構成のDAコンバーター回路の卓越性が発揮され、フォーマットの限界を乗り越えて原音まで触手を伸ばすかのようだ。試聴室と録音会場(ザルツブルク祝祭大劇場)が重なり合う。無音部分の静粛性は圧巻で針一本が床に落下しても気付くのではないか。
シーナ・エイとダニッシュ・レイディオ・ビッグバンドのジャズ(SACD)は、ハスキーなヴォーカルの肉声の地肌を生々しく描き出す。低音楽器がずっしりと沈み音楽の確かな土台を生む。アメリカのビッグバンドと一味違う音色を陰影感ある色彩で描き出しその奥に分厚い熱量がある。ヴェールを一枚も二枚もはぎとったかのような演奏の迫真性。音をくもらせるNVH(ノイズ、揺れ、振動)の統制で音楽のエモーションがあらわになったのである。
ディスクは終わった、という論調がしばしば聞かれるが、デジタルディスク再生には、ストリーミングやファイルが適わない数々の優れた特徴がある。安定した再生互換性や通信等の外部環境に左右されない自立性はいうまでもなく、美意識を映したジャケットスリーブを手に演奏者の意図どおりの曲順で構成された小宇宙を楽しむ行為が、音楽を聴く上で不可欠なのではないか。
それには性能に優れたディスクプレーヤーが必要だ。時代の要請に応えてK-01XD SEは登場。識者の共感と支持を得て「オーディオ銘機賞2025」の最高賞、金賞の受賞を果たしている。
(提供:ティアック)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.195』からの転載です
■自社の技術を集約した “王道” の最新バージョン
1987年のブランド創設から、比較的短い年月で日本のハイエンドオーディオの第三極へ駆け上がったESOTERIC(エソテリック)だが、DAコンバーターの重要性に着目し独立したコンポーネントに位置づけた先見性と、制振性と読み取り精度にすぐれたドライブメカVRDSを独自開発し、デジタルオーディオディスク再生のエキスパートとなったことが躍進の両輪であることに議論の余地はないはずだ。
スーパーハイエンドのGrandiosoが誕生しエソテリックの技術の追求はさらに尖鋭化したが、一般のオーディオファイルの手の届きにくい存在になっていったことも否めなかった。
CD/SACD再生がストリーミング&ファイル再生とアナログリバイバルにはさまれて進歩の歩みが鈍っている今、エソテリックから自社の技術を集約した王道の一体型CD/SACDプレーヤーが登場した。2010年以来の同社のアイコニックなKシリーズの最新作「K-01XD SE」である。ディスク再生に情熱と探究心を失わないオーディオファイル待望の本機は、販売業界、評論家から大きな賞賛をもって迎えられた。
■ドライブと電源部をはじめクロック回路も刷新される
K-01XD SEについてさらっておこう。心臓部トランスポートにVRDS-ATLASを搭載する。Grandioso P1X SE、K1X SEから継承するVRDSの最新バージョン。ターンテーブル駆動用モーターをブリッジ最上部からターンテーブル下側に移動、振動がアースされるまでの経路を短縮し機械的ノイズを低減した。同時発売の弟機「K-03XD SE」もこのメカを搭載するが、ブリッジ厚が20mm→18mmと細部が異なる。
電源部の充実もGrandioso譲り。DAコンバーター部のL/R、ドライブメカ、デジタル回路専用に合計4つの大容量トロイダルトランスを搭載する。レギュレーターは、集積回路を使わずディスクリート構成のローフィードバックDCレギュレーターとし、合計71本のスーパーキャパシター(大容量コンデンサー)を搭載。
本機で特に注目されるのが、Master Sound Discrete Clockの搭載。エソテリックの功績の一つが、従来汎用モジュールにパッケージされていたクリスタル発振回路に着目しクロックモジュールを自社開発したことにある。そうして誕生したコンポーネントがマスタークロック・ジェネレーター「Grandioso G1X」だった。本機は贅沢にもこのディスクリートクロック回路を一体型ディスクプレーヤーの内蔵クロックに適用した。
最初に紹介したように、VRDSと並ぶエソテリックの技術アイコンがDAコンバーターである。本機に搭載されたMaster Sound Discrete DACは「Grandioso D1X SE」と同様のオリジナルのディスクリート回路で、1chあたり32の処理部で構成、クロックドライバー、ロジック回路、コンデンサー、抵抗で構成される。64bit/512Fs対応のΔΣモジュレーターを搭載しDSD 22.5MHz、PCM 384kHz/32bitまで対応。PCMの2/4/8/16倍アップコンバートやPCM→DSD変換機能も持つ。
■無音部分の静粛性は圧巻。陰影感ある色彩を描き出す
エソテリックの試聴室でK-01XD SEを試聴した。恐ろしく静粛なデジタルプレーヤーである。ディスクセット時のVRDS-ATLASの粛々として寡黙、優美な動作に心奪われる。あまた存在するデジタルプレーヤー中で動きの官能性を備えた製品はエソテリックだけだろう。
ティーレマン指揮、ウィーンフィルの『ブルックナー交響曲第7番』(SACD)は、弦楽合奏の歪みが極微、録音では再現が無理かと思われたウィーンフィルのなめらかでシルキー、質朴な艶の乗った弦楽の質感が現れる。音場が深く広い。ディスクリート構成のDAコンバーター回路の卓越性が発揮され、フォーマットの限界を乗り越えて原音まで触手を伸ばすかのようだ。試聴室と録音会場(ザルツブルク祝祭大劇場)が重なり合う。無音部分の静粛性は圧巻で針一本が床に落下しても気付くのではないか。
シーナ・エイとダニッシュ・レイディオ・ビッグバンドのジャズ(SACD)は、ハスキーなヴォーカルの肉声の地肌を生々しく描き出す。低音楽器がずっしりと沈み音楽の確かな土台を生む。アメリカのビッグバンドと一味違う音色を陰影感ある色彩で描き出しその奥に分厚い熱量がある。ヴェールを一枚も二枚もはぎとったかのような演奏の迫真性。音をくもらせるNVH(ノイズ、揺れ、振動)の統制で音楽のエモーションがあらわになったのである。
ディスクは終わった、という論調がしばしば聞かれるが、デジタルディスク再生には、ストリーミングやファイルが適わない数々の優れた特徴がある。安定した再生互換性や通信等の外部環境に左右されない自立性はいうまでもなく、美意識を映したジャケットスリーブを手に演奏者の意図どおりの曲順で構成された小宇宙を楽しむ行為が、音楽を聴く上で不可欠なのではないか。
それには性能に優れたディスクプレーヤーが必要だ。時代の要請に応えてK-01XD SEは登場。識者の共感と支持を得て「オーディオ銘機賞2025」の最高賞、金賞の受賞を果たしている。
(提供:ティアック)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.195』からの転載です