公開日 2010/01/22 20:31
「torne」への反響の大きさが示唆するもの
SCEが3月に発売するPS3専用地上デジタルレコーダーキット“torne”に大きな注目が集まっている。当サイトでも昨日、詳細記事を含めて2本のレポートを掲載したが、いずれも非常に高いアクセスを記録した。
レコーダーとして見た場合、torneの機能は「貧弱」といって間違いない。まず地上デジタル放送しか受信できないので、BSやCSを録画することはできない。加えてシングルチューナーだから2番組同時録画は当然ながら不可能だし、しかも録画できるのはDRモードのみ。大容量の外付けHDDの価格が下がっているとは言え、AVCでの録画に慣れたユーザーが気になる番組を手当たり次第に録画すれば、すぐに容量を圧迫してしまうだろう。
たとえば5倍のAVCモードを使って、500GBのBDレコーダーで録画するのと同じ時間をtorneで録ろうとすれば、2TB以上のUSB接続HDDが別途必要になる。価格比較サイトで安価なものを探したとしても、2万円程度以上の追加出費がかかることになる。
録画ファンからすると、たとえば同じソニーのレコーダーの「おまかせ・まる録」のような自動録画機能が無いのも気になる点だろう。さらに録画した番組を編集できない、チャプターも打てない、光ディスクに書き出せないなど、「できないこと」を列挙すればきりがないほどだ。
では、こういった機能面での制約が大きいにも関わらず、torneへの称賛の声が後を絶たないのはなぜだろうか。
9,980円という価格設定は、それほど大きな理由ではないだろう。前述したように、torneで十分な録画時間を確保するには大容量の外付けHDDを購入せざるを得ず、本体と合わせて3万円以上の出費が必要になる。一方、ソニーのBDレコーダーのエントリーモデルは、価格比較サイトでは5万円強で購入できる。torneでは不可能なBS/CSの録画ができることはもちろん、充実した録画・編集機能を備え、ビデオカメラやデジカメとの連携機能も充実。当然だがBD/DVDへの書き込みも行える。
ネット上での反響を見る限り、ユーザーが最も注目し、称賛しているのは、torneの超高速で動作するGUIだ。特にEPGの検索やスクロール、拡大/縮小表示の俊敏さに感嘆したという意見が多く、「今使っているレコーダーからtorneに乗り換えても良いかな」などという書き込みも見られる。裏返して考えてみると、それだけ従来のレコーダーやテレビのGUI表示速度に不満を持っている人が多かったと言うことだろう。
数年前のモデルに比べたらかなり改善しているとは言え、いまだに最新テレビ/レコーダーのEPGをスクロールすると、その“もっさり感”に脱力することが多い。表示速度が速ければ速いほど良いとは思わないが、少なくとも使う人にストレスを感じさせない程度のスピードが必要なのは当然だ。
翻って多くのAVメーカーは、新機能を追加することに開発上の人員リソースや機器の処理リソースを奪われていたのか、はたまたコスト的な問題か、こういった潜在的な不満やニーズに、これまで十分に対応できていなかった。
あるいは、こういった不満要素に気づかず、逆の方向に進んでしまった製品も一部に見受けられる。「GUIに力を入れました」という機器がたまに出てきても、無意味にサムネイルがグリグリ立体的に動いたり、過剰なほどリッチなインターフェイスを備えたものが多い。人によっては逆に使いづらく、一覧性が低いと感じるだろう。いくら化粧を重ねたところで、それが本質的な使い勝手の改善につながっていなければ、逆に煩わしくなるだけだ。
torneが実際にどれだけ売れるかはわからないが、こういった状況に風穴を開ける可能性を持った製品であることは確かだ。
機能の充実はもちろん必要だし、各機能の「あり/なし」で商品性を評価されることが多いのも事実だが、レコーダーやテレビは日常的に使用する機器だけに、ユーザーにとっては、快適な操作性も機能の充実に劣らず重要な要素となる。
torneが「本質的な使い勝手の良さ」を志向し、それが喝采を受けているという事実を、多くのAVメーカーは真摯に受け止める必要がある。
レコーダーとして見た場合、torneの機能は「貧弱」といって間違いない。まず地上デジタル放送しか受信できないので、BSやCSを録画することはできない。加えてシングルチューナーだから2番組同時録画は当然ながら不可能だし、しかも録画できるのはDRモードのみ。大容量の外付けHDDの価格が下がっているとは言え、AVCでの録画に慣れたユーザーが気になる番組を手当たり次第に録画すれば、すぐに容量を圧迫してしまうだろう。
たとえば5倍のAVCモードを使って、500GBのBDレコーダーで録画するのと同じ時間をtorneで録ろうとすれば、2TB以上のUSB接続HDDが別途必要になる。価格比較サイトで安価なものを探したとしても、2万円程度以上の追加出費がかかることになる。
録画ファンからすると、たとえば同じソニーのレコーダーの「おまかせ・まる録」のような自動録画機能が無いのも気になる点だろう。さらに録画した番組を編集できない、チャプターも打てない、光ディスクに書き出せないなど、「できないこと」を列挙すればきりがないほどだ。
では、こういった機能面での制約が大きいにも関わらず、torneへの称賛の声が後を絶たないのはなぜだろうか。
9,980円という価格設定は、それほど大きな理由ではないだろう。前述したように、torneで十分な録画時間を確保するには大容量の外付けHDDを購入せざるを得ず、本体と合わせて3万円以上の出費が必要になる。一方、ソニーのBDレコーダーのエントリーモデルは、価格比較サイトでは5万円強で購入できる。torneでは不可能なBS/CSの録画ができることはもちろん、充実した録画・編集機能を備え、ビデオカメラやデジカメとの連携機能も充実。当然だがBD/DVDへの書き込みも行える。
ネット上での反響を見る限り、ユーザーが最も注目し、称賛しているのは、torneの超高速で動作するGUIだ。特にEPGの検索やスクロール、拡大/縮小表示の俊敏さに感嘆したという意見が多く、「今使っているレコーダーからtorneに乗り換えても良いかな」などという書き込みも見られる。裏返して考えてみると、それだけ従来のレコーダーやテレビのGUI表示速度に不満を持っている人が多かったと言うことだろう。
数年前のモデルに比べたらかなり改善しているとは言え、いまだに最新テレビ/レコーダーのEPGをスクロールすると、その“もっさり感”に脱力することが多い。表示速度が速ければ速いほど良いとは思わないが、少なくとも使う人にストレスを感じさせない程度のスピードが必要なのは当然だ。
翻って多くのAVメーカーは、新機能を追加することに開発上の人員リソースや機器の処理リソースを奪われていたのか、はたまたコスト的な問題か、こういった潜在的な不満やニーズに、これまで十分に対応できていなかった。
あるいは、こういった不満要素に気づかず、逆の方向に進んでしまった製品も一部に見受けられる。「GUIに力を入れました」という機器がたまに出てきても、無意味にサムネイルがグリグリ立体的に動いたり、過剰なほどリッチなインターフェイスを備えたものが多い。人によっては逆に使いづらく、一覧性が低いと感じるだろう。いくら化粧を重ねたところで、それが本質的な使い勝手の改善につながっていなければ、逆に煩わしくなるだけだ。
torneが実際にどれだけ売れるかはわからないが、こういった状況に風穴を開ける可能性を持った製品であることは確かだ。
機能の充実はもちろん必要だし、各機能の「あり/なし」で商品性を評価されることが多いのも事実だが、レコーダーやテレビは日常的に使用する機器だけに、ユーザーにとっては、快適な操作性も機能の充実に劣らず重要な要素となる。
torneが「本質的な使い勝手の良さ」を志向し、それが喝采を受けているという事実を、多くのAVメーカーは真摯に受け止める必要がある。