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公開日 2012/12/28 17:04

【海上忍のAV注目キーワード辞典】第17回:Android − AV機器がAndroidを採用する理由

Android端末の買い時って?
海上 忍
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【第17回:Android】

■なぜ家電やAV機器に「Android」が?

AV機器がスマートフォン/タブレットとの連携機能を備えたり、機器自体にもAndroidが搭載されることが多くなってきた昨今。今回は、そのAndroidとAV機器との関係について見ていこう。

Androidは、WindowsやOS Xなどと同じ基本ソフト(OS)に分類されるが、ことスマートフォン/タブレットに関するかぎり、OSというよりは「プラットフォーム」と捉えるのが妥当だ。

OSとしての基盤部分は、Linuxなどオープンソースソフトウェア -- ソースコードが公開され誰でも自由に利用/再配布できる -- で構成され、その上位レイヤーに構築されたライブラリ/フレームワークともども利用に制限はない。

改変/カスタマイズも自由に行えるが、アプリや映画などのコンテンツをダウンロード購入できる「Google Play」は、Googleからライセンスを得ないかぎり端末に収録できない。GmailやGoogle Mapsといった、Googleのオンラインサービスと連携するアプリも同様だ。

Google Playストアを利用できなければ、アプリを追加して自由に機能を拡張できるスマートフォン/タブレットとしての魅力は半減する。つまり、OSとしてのAndroidは自由に利用できるが、アプリなど派生物も使える「Android端末」を名乗ろうとすれば、Googleのライセンスが必要となり、その意味においてGoogleの影響下におかれる。

Googleのライセンスが必要ということは、Androidというプラットフォームのロードマップに製品開発計画が大きな影響を受けることになる。モバイル端末を駆動するソフトウェアの開発コストは大幅に削減できるが、すべてを自社でまかなう場合に比べ開発の自由度は低下するのだ。ポータブルオーディオやデジタルカメラなど、Android OSを採用した家電・AV機器は増加傾向にあるが、「アプリ」という羽を得る代償として多くの制約がついて回ることを忘れてはならない。

Googleが運営するアプリダウンロードセンター「Google Play」は、Googleからライセンスを受けた端末でなければ利用できない

■Androidのバージョンアップは難しい?

Androidは、Googleを中心に開発が進められ、現在の最新バージョンは「Android 4.2」だ。各バージョンにはコードネームがあり、バージョン1.5以降は「C」から始まるアルファベット順に菓子の名前が付けられている。たとえば、Cupcake(1.5)、Eclair(2.0と2.1)、Froyo(2.2、フローズンヨーグルトの意)、4.0(ICS、Ice Cream Sandwich)、Jelly Bean(4.1と4.2)といった具合だ。

Android 4.0では、いくつかの新機能が投入された。近距離無線通信チップ(NFC)搭載の端末同士をかざして情報交換できる「Android Beam」、アクセスポイントを介さず直接Android端末同士でWi-Fi通信できる「Wi-Fiダイレクト」、自分の顔を登録しておけばカメラと顔認識機能によりロック解除できる「フェイスアンロック」は、その一例だ。

ただし、バージョンアップ版が配布されるとは限らない。前述したとおり、Androidは改変/カスタマイズが自由だが、Androidの仕様が大きく変更されるとそれに対応しなければならないからだ。Android 4.0の発表は2011年10月だが、2012年後半になってようやくデバイスメーカーによるアップデータの配布が開始された理由はそこにある。

デバイスメーカーが新モデルを投入するサイクルは、一般的に12ヶ月から18ヶ月とされている。バージョンアップの発表から約1年後にアップデータの配布が開始されるということは、1年待ったときには新モデルが登場している可能性が高い。2009年6月に発売されたモデル(3GS)でも最新OSを利用できるiPhoneとは、この「スマートデバイスとしての賞味期限」が大きく異なる。システムとしてのAndroidは、将来のアップデートに期待せず、いまある機能だけで判断しデバイスを選ばなければならないのが現状だ。

2台のAndroid 4.0搭載端末を近づけるだけでデータ転送が可能な「Android Beam」

■Android端末の買い時って?

ただし、システムのアップデートに惑わされなければ、Android端末にも利点は多い。Appleがハード/ソフトを一手に握るiPhone/iPadとは異なり、Android端末はハード/ソフトともある程度自由にカスタマイズできる。

具体例を挙げてみよう。NTTドコモが扱うNEC製タブレット端末「MEDIAS TAB UL」は、スマートデバイスでは一般的なH.264のほかに、MPEG-2 TSに対応するデコードチップを搭載。DRモードで録画した番組も、トランスコードなしにDLNA/DTCP-IP対応アプリで再生できる。

iPhone/iPadに搭載のチップはMPEG-2 TSのデコードに対応せず、ソフトウェアデコードせざるをえないため、この点はAndroid端末のカスタマイズ性が有利に作用する。

FelicaやNFCの採用も、カスタマイズが効くAndroid端末ならではだ。カウンターでチェックイン手続きせずにJAL国内線に搭乗できる「JALタッチ&ゴー」などの商用サービスは、おサイフケータイ対応の端末でなければ利用できない。対応するBluetooth機器にタッチするだけでペアリングを切り替え可能なソニーのアプリも、NFCあってこそだ。

ハードとしてのスマートフォン/タブレットは今後も進化を続けるだろうし、それにあわせてシステム/アプリも変化するだろうが、動画の視聴や音楽の再生指示など、長く使える機能については切り離して考えてもいいはず。いずれはAndroid 5や6も登場するだろうが、使途が限定的なAV機器関連の場合、「いまある機能」に納得できればそれが買い時なのだろう。

MPEG-2 TSのハードウェアデコードに対応する端末は、現状Android OS採用端末のみ。AV機器としての用途に限れば、メリットはある

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