公開日 2019/05/21 11:39
オーディオ音質向上のカギは「天井」にアリ!? “音がいい部屋”づくりのポイントをプロが徹底解説!
【PR】アコースティックラボ主催「第61回Acoustic Audio Forum」レポート
天井は家のなかでも特に華奢につくられている部分なのだそうだ。……いきなりこんなことを書くと、オーディオビジュアルに関係なさそうな話題に思えるかもしれないがそうではない。この天井がオーディオの音質にも大きく関わってくるファクターだからだ。そんな「オーディオにとっての天井の重要性」が体験できるイベント「第61回Acoustic Audio Forum」の模様をレポートする。
■“音がいい部屋”「AL式オーディオルーム」で部屋づくりのポイントを体験
イベントを主催するのは、オーディオファンやミュージシャン向けの物件や音楽スタジオなどを専門に扱う防音工事会社「アコースティックラボ」。単純に音が外に漏れない/外の音が聴こえない防音室をつくるのではなく、音楽の再生や演奏にとって最適な響きを持つ“音がいい防音室”をつくる豊富なノウハウを持つ会社だ。
そんな同社が定期的に開催している試聴会が「Acoustic Audio Forum」。毎回テーマを変えながら開催されており、本記事でレポートする“第61回”では、「住宅の天井は振動しやすく、響きのニゴリ、雑味の原因になっている」をテーマに解説や音出しデモが行われた。
会場となったのは同社の防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」。社名(Acoustic Lab)にちなんで提唱する「AL式オーディオルーム」の思想の下につくられた、“音がいい部屋”の見本となる防音室だ。
「AL式オーディオルーム」では、音がいい部屋をつくる条件として「縦/横/天井高という部屋の各辺の寸法比(低音の定在波対策)」、「壁/床/天井の剛性(不要高調波輻射音対策)」に留意すること、そして、そのうえで響きの長さを調整するなどといったことがポイントだとしている。そして、これらのポイントのなかにも言葉があるように、「天井」は音質を左右するキーファクターのひとつなのだ。
■天井で音が変わるとは?
さて、冒頭にも書いたが天井は現代建築のなかでも特に華奢につくられている部分のひとつ。壁や床のように普段から人がぶつかったりする場所ではないからだ。
これをオーディオ的に言い換えれば、天井は剛性が低いということ。剛性が低いということは振動しやすいということであり、不要な振動が音に悪影響を及ぼすのはオーディオファンにとってはおなじみだろう。スピーカーからの再生音が天井で反射する際に、天井の不要な振動によって音に雑味が混ざってしまうのである。
一般的に、通常の(防音工事などをしていない)住宅の天井は野縁(のぶち)と呼ばれる細長い横木に石膏ボードと仕上げ材を貼り付けている。石膏ボードは厚さ9.5mm程度であることが多く、さらにその上にある2下位の床の材料と空気層との関係により、計算上の共振周波数は40〜70Hzほどという。
これに対し、アコースティックラボが過去に施工した例では、大元の家の躯体から独立した野縁を組んだ上で吸音材と遮音複合ボード(38mm厚)、仕上材を使用して遮音天井を構築。計算上の共振周波数は30Hz程度に下げられる上、天井材そのものが重く振動しづらい構造となることも重要なポイントだ。
なお、剛性が重要なのは天井だけでなく壁や床も同じ。天井同様に現代建築の壁や床も軽くて剛性が低く素材でつくられており、また、躯体と内装材の間に空気層を設ける中空構造であることも相まって、オーディオの音質にとって不利な条件だ。
「我々の防音工事ではそうしたポイントに気を配って設計・工事を行う。工事によって部屋の剛性があがることで反射音が濁らなくなるため、同じスピーカーでも工事前後で音が違ってくる。『防音工事をすると音がよくなる』と我々がアピールしているのはそのためだ」と、同社の鈴木代表は説明した。
■過去事例で具体的に部屋づくりをイメージ
イベントでは同社がこれまで手がけた物件の工事過程やポイントを解説する過去事例紹介も実施。この日は、アナログレコード収集やサックス演奏が趣味のため、大きな音を出せるよう防音工事の依頼があったというオーナーの物件について紹介された。
この物件では、基礎のコンクリートの上に緩衝材としてグラスウールを敷いてさらにコンクリートを流す「浮床コンクリート」構造にしたり、壁も石膏ボードを3枚に増やすなどで部屋全体の剛性を確保。振動しにくい部屋にすることで反射音の質を高め、防音と同時にオーディオの音質向上も実現させた。
なお、完成前には遮音性能の測定も行い、設計時の性能をきちんと実現できているかの確認を行うとのこと。もちろんこの物件でも問題なく予定通りの「かなり高い遮音性能」(担当したアコースティックラボの草階氏)を実現できていたという。
オーナーからも非常に好評で、以前からずっと使っていたスピーカーの音質も大きく向上したように感じられるようになり、予定していた買い替えを取りやめるほどだったそうだ。部屋による音質向上の効果を如実に物語るエピソードと言えるだろう。
■ユニークな平面スピーカーも登場
また、この日はビームテック社がULTIFI(アルティファイ)ブランドで展開するエッジレス平面振動板スピーカー「Nova2101」もデモに登場。開発者である同社の菅沼氏が製品の特徴を紹介した。
Nova2101では、振動板の外周とフレームとの間にある隙間を極めて狭くすることでスピーカーの前後を音響的に遮断。これによってエッジレス構造を実現し、エッジを使用する弊害を排除したという。また、平面振動板を採用することで、コーン型スピーカーが原理的に持つ形状による弊害も排除している。
これらにより、音の位相が崩れることなく高い忠実度で再生されるとし、音のリアリティーを高められていると同社はアピール。分割振動による音の汚れがなく、長時間でも聴き疲れしないともしている。イベントでは津軽三味線の音の立ちあがりの速さをきちんと再現できていることなどでその能力をアピールし、参加者も興味深そうに聴き入っていた。
■次回は今週末5月24日(金)・25日(土)開催
このように、オーディオに適した部屋づくりを様々な角度から体験できる本イベント。次回「第62回Acoustic Audio Forum」は、今週末5月24日(金)・25日(土)に開催される。
次回テーマは「良い音と音響設計とはどういうふうに繋がっているのか?蔵前オーディオルームを分解」。今回から6回のシリーズで展開するとのことで、初回はまず「床・壁・天井の構造について」を主眼にイベントを実施する。
同社では、「音を聴く前提となる部屋の音環境の基本的な条件を考えることはとても重要です。なぜならオーディオ機器の評価に大きく影響し、再生される音楽の感動も大きく左右されるからです」と、オーディオにおける部屋の重要性についてコメント。こうした考えに基づき、同社のノウハウを投入してつくった“音がいい防音ショールーム”「蔵前ヴィレッジ」を例にとりながら、建築音響について解説していくという。
金曜日、土曜日の両日とも基本的な内容は同一。全6回のシリーズだが今回のみの参加などももちろん可能。公式サイトのメールフォーム、または下記問い合わせ先から参加申し込みを受け付けている。
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
担当:草階(くさかい)氏
TEL/03-5829-6035
E-mail/kusakai@acoustic-designsys.com
(PR企画 協力:アコースティックラボ)
■“音がいい部屋”「AL式オーディオルーム」で部屋づくりのポイントを体験
イベントを主催するのは、オーディオファンやミュージシャン向けの物件や音楽スタジオなどを専門に扱う防音工事会社「アコースティックラボ」。単純に音が外に漏れない/外の音が聴こえない防音室をつくるのではなく、音楽の再生や演奏にとって最適な響きを持つ“音がいい防音室”をつくる豊富なノウハウを持つ会社だ。
そんな同社が定期的に開催している試聴会が「Acoustic Audio Forum」。毎回テーマを変えながら開催されており、本記事でレポートする“第61回”では、「住宅の天井は振動しやすく、響きのニゴリ、雑味の原因になっている」をテーマに解説や音出しデモが行われた。
会場となったのは同社の防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」。社名(Acoustic Lab)にちなんで提唱する「AL式オーディオルーム」の思想の下につくられた、“音がいい部屋”の見本となる防音室だ。
「AL式オーディオルーム」では、音がいい部屋をつくる条件として「縦/横/天井高という部屋の各辺の寸法比(低音の定在波対策)」、「壁/床/天井の剛性(不要高調波輻射音対策)」に留意すること、そして、そのうえで響きの長さを調整するなどといったことがポイントだとしている。そして、これらのポイントのなかにも言葉があるように、「天井」は音質を左右するキーファクターのひとつなのだ。
■天井で音が変わるとは?
さて、冒頭にも書いたが天井は現代建築のなかでも特に華奢につくられている部分のひとつ。壁や床のように普段から人がぶつかったりする場所ではないからだ。
これをオーディオ的に言い換えれば、天井は剛性が低いということ。剛性が低いということは振動しやすいということであり、不要な振動が音に悪影響を及ぼすのはオーディオファンにとってはおなじみだろう。スピーカーからの再生音が天井で反射する際に、天井の不要な振動によって音に雑味が混ざってしまうのである。
一般的に、通常の(防音工事などをしていない)住宅の天井は野縁(のぶち)と呼ばれる細長い横木に石膏ボードと仕上げ材を貼り付けている。石膏ボードは厚さ9.5mm程度であることが多く、さらにその上にある2下位の床の材料と空気層との関係により、計算上の共振周波数は40〜70Hzほどという。
これに対し、アコースティックラボが過去に施工した例では、大元の家の躯体から独立した野縁を組んだ上で吸音材と遮音複合ボード(38mm厚)、仕上材を使用して遮音天井を構築。計算上の共振周波数は30Hz程度に下げられる上、天井材そのものが重く振動しづらい構造となることも重要なポイントだ。
なお、剛性が重要なのは天井だけでなく壁や床も同じ。天井同様に現代建築の壁や床も軽くて剛性が低く素材でつくられており、また、躯体と内装材の間に空気層を設ける中空構造であることも相まって、オーディオの音質にとって不利な条件だ。
「我々の防音工事ではそうしたポイントに気を配って設計・工事を行う。工事によって部屋の剛性があがることで反射音が濁らなくなるため、同じスピーカーでも工事前後で音が違ってくる。『防音工事をすると音がよくなる』と我々がアピールしているのはそのためだ」と、同社の鈴木代表は説明した。
■過去事例で具体的に部屋づくりをイメージ
イベントでは同社がこれまで手がけた物件の工事過程やポイントを解説する過去事例紹介も実施。この日は、アナログレコード収集やサックス演奏が趣味のため、大きな音を出せるよう防音工事の依頼があったというオーナーの物件について紹介された。
この物件では、基礎のコンクリートの上に緩衝材としてグラスウールを敷いてさらにコンクリートを流す「浮床コンクリート」構造にしたり、壁も石膏ボードを3枚に増やすなどで部屋全体の剛性を確保。振動しにくい部屋にすることで反射音の質を高め、防音と同時にオーディオの音質向上も実現させた。
なお、完成前には遮音性能の測定も行い、設計時の性能をきちんと実現できているかの確認を行うとのこと。もちろんこの物件でも問題なく予定通りの「かなり高い遮音性能」(担当したアコースティックラボの草階氏)を実現できていたという。
オーナーからも非常に好評で、以前からずっと使っていたスピーカーの音質も大きく向上したように感じられるようになり、予定していた買い替えを取りやめるほどだったそうだ。部屋による音質向上の効果を如実に物語るエピソードと言えるだろう。
■ユニークな平面スピーカーも登場
また、この日はビームテック社がULTIFI(アルティファイ)ブランドで展開するエッジレス平面振動板スピーカー「Nova2101」もデモに登場。開発者である同社の菅沼氏が製品の特徴を紹介した。
Nova2101では、振動板の外周とフレームとの間にある隙間を極めて狭くすることでスピーカーの前後を音響的に遮断。これによってエッジレス構造を実現し、エッジを使用する弊害を排除したという。また、平面振動板を採用することで、コーン型スピーカーが原理的に持つ形状による弊害も排除している。
これらにより、音の位相が崩れることなく高い忠実度で再生されるとし、音のリアリティーを高められていると同社はアピール。分割振動による音の汚れがなく、長時間でも聴き疲れしないともしている。イベントでは津軽三味線の音の立ちあがりの速さをきちんと再現できていることなどでその能力をアピールし、参加者も興味深そうに聴き入っていた。
■次回は今週末5月24日(金)・25日(土)開催
このように、オーディオに適した部屋づくりを様々な角度から体験できる本イベント。次回「第62回Acoustic Audio Forum」は、今週末5月24日(金)・25日(土)に開催される。
次回テーマは「良い音と音響設計とはどういうふうに繋がっているのか?蔵前オーディオルームを分解」。今回から6回のシリーズで展開するとのことで、初回はまず「床・壁・天井の構造について」を主眼にイベントを実施する。
同社では、「音を聴く前提となる部屋の音環境の基本的な条件を考えることはとても重要です。なぜならオーディオ機器の評価に大きく影響し、再生される音楽の感動も大きく左右されるからです」と、オーディオにおける部屋の重要性についてコメント。こうした考えに基づき、同社のノウハウを投入してつくった“音がいい防音ショールーム”「蔵前ヴィレッジ」を例にとりながら、建築音響について解説していくという。
金曜日、土曜日の両日とも基本的な内容は同一。全6回のシリーズだが今回のみの参加などももちろん可能。公式サイトのメールフォーム、または下記問い合わせ先から参加申し込みを受け付けている。
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
担当:草階(くさかい)氏
TEL/03-5829-6035
E-mail/kusakai@acoustic-designsys.com
(PR企画 協力:アコースティックラボ)