公開日 2022/08/30 06:30
VGP2022 SUMMER 受賞インタビュー:パナソニック 金澤貞善氏
4K有機ELビエラ「LZ2000シリーズ」がVGP批評家大賞を受賞、パナソニックが目指す今後のテレビの方向性とは
PHILEWEBビジネス 徳田ゆかり
VGP2022 SUMMER
受賞インタビュー:パナソニック
国内最大級を誇るオーディオビジュアル機器の総合アワード「VGP2022 SUMMER」において、4K有機ELテレビ“ビエラ”LZ2000シリーズが、「批評家大賞」を受賞した。4K有機ELビエラ史上最高の画質・音質を誇る本シリーズをはじめ、パナソニックが追求していくテレビの価値について、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社の金澤貞善氏に伺った。
パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社
ビジュアル・サウンドビジネスユニット 経営企画部/国内マーケティング部
部長 金澤貞善氏
インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)
■熟成されたノウハウをもつ国内の技術陣がつくりあげた、最高峰の4K有機ELテレビ
ーー 4K有機ELテレビLZ2000シリーズが、VGP2022 SUMMERにて批評家大賞を受賞されました。こちらのシリーズの特徴をお聞かせいただけますか。
金澤 このたびも栄誉ある賞を頂戴しまして有難うございます。LZ2000シリーズは、4K有機ELビエラのフラグシップに位置付けられており、 4K有機ELビエラ史上最高の画質・音質を謳っております。
画質の点では、従来モデル以上の高コントラスト性能を獲得しています。私どもでは高画質のパネルの設計・開発を日本国内で行っていますが、それを工場で量産化する工法についても国内拠点で開発・検証を行っております。テレビのものづくりにおいては、設計者の意図通りのパネル特性で全ての個体を量産することが非常に難しい点になります。この課題をクリアできるノウハウが蓄積されているため、パネルの性能を最大限に引き出す熟成された高画質技術を実現しております。
音質の点では、これまでのモデルでも立体音響システムの搭載に取り組んできており、上向きのイネーブルドスピーカー搭載、さらに横向きのワイドスピーカー搭載と進化させてきました。LZ2000シリーズでは、さらに前向きにスピーカーユニットをずらりと一列に配置する「ラインアレイスピーカー」を搭載しました。ラインアレイスピーカーは画面下部に多数のスピーカーユニットを線上に並べることで音の干渉が少なく「解像感の高いクリアな音」と「大口径のスピーカーユニットを搭載したオーディオ機器のような厚みのある音」を実現しており、サウンドバーなどにも使われている技術です。
さらに暮らしの中で役立つ機能として、設置面から離れる力が働く際に吸盤が座面に吸着してテレビの転倒リスクを低減する転倒防止スタンドも皆様からご評価いただいております。シンプルな設置性でありながら耐震の備えもできるということで、お客様から非常にご好評いただいているポイントになります。
■本質機能を追求し、多様化するテレビの楽しみ方に対応する
ーー 昨今のテレビのニーズは、どんな傾向にあると捉えておられるでしょうか。
金澤 リビングの据え置き型大画面テレビの存在感はしっかりとあって、テレビ放送を見る、録画コンテンツを見るという従来からの使われ方に加え、昨今は特にVODを筆頭にネット経由のさまざまなコンテンツが楽しまれています。VODのコンテンツには、ドルビービジョンをはじめとする4K/HDRの高画質コンテンツや、音もドルビーアトモスで収録された立体音響の作品も増えており、今回のLZ2000シリーズでもここを意識してこれらのコンテンツを最大限にお楽しみいただけるように進化させています。
これに加えて、ゲームやヨガといったコンテンツを楽しむ、在宅ワークで使用するといった場面で、部屋の中のいろいろな空間でテレビを楽しむニーズも増えてきました。そこにご提案させていただいているのが、今回金賞を頂戴しましたレイアウトフリーテレビです。お客様のいろいろなシーンに寄り添う新しいテレビの形で、今後も広げていきたい領域です。
そのように、テレビの本質的な画と音の部分と、生活の中で役立つ“くらし価値”の機能、この2つの軸を伸ばしていきたいと考えています。私たちマーケティング部門も、くらしの価値をいかにキャッチし、マーケティング施策をどう展開していくかを重視しています。
ーーレイアウトフリーテレビは、以前からレコーダーで展開されてきた“お部屋ジャンプリンク”の機能が活用されていそうですね。
金澤 私どもの組織であるパナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社は、かつてのテレビ事業部と、レコーダーなどを手がけていたホームエンターテインメント事業部など複数の組織が一つになったもので、それぞれの技術を融合させることがよりスムーズにできるようになりました。レイアウトフリーテレビにはポータブルテレビ「プライベート・ビエラ」の無線伝送技術とレコーダー「ディーガ」の4Kリアルタイムエンコード技術を応用していますし、LZ2000シリーズにはオーディオのテクニクスの技術を活用して、AVアンプのようなきめ細かい音場調整機能を搭載することができました。
私自身もビジュアル製品の技術の出身で、高画質設計や、「全自動ディーガ」のシステム設計なども手がけてきました。従来から蓄積された技術を新たな商品へ展開するということは、非常にうまくいっていると思います。
■デジタルでのコミュニケーションを広く展開し、お客様接点の店頭で体感の場をつくる
ーー こうした付加価値の訴求については、どのような展開をされているのでしょうか。
金澤 今回LZ2000で特に推進しているのは、VOD事業者様と連携した展開です。ディズニープラス様やネットフリックス様からコンテンツをご提供いただいて、LZ2000に搭載の「360立体音響サウンドシステム+」での音の出方を体感していただけるデモを店頭で行っています。また、スピーカーが並んでいるイメージをPOPで表現したり、コンテンツに合わせて立体的に音が出ている様子をLEDの光で表現した什器を制作するなど、視覚的にも認識していただきやすくしています。
レイアウトフリーテレビは、従来のテレビ台の上に置く据え置きとは違った形の価値が伝わるような工夫が必要になります。暮らし空間を提案されている法人様などで、リビングを再現したスペースに並べていただくなど、テレビを動かせる価値が伝わるような展示を行っています。またパナソニック ホームズ株式会社の展示場なども活用して、生活シーンがより具体的にイメージできるような方策を模索しているところです。
情報発信の手段としては、パナソニックのサイトやSNSなど、デジタルの媒体を使ったアプローチもさらに拡大しています。YouTubeでは立体音響の疑似体験ができるコンテンツを発信していて、お手持ちのイヤホンで、ドルビーアトモスのコンテンツをLZ2000で聴いている体験を、疑似的にしていただくことができるといったものなど、さまざまな施策を行っています。
[イヤホンをつけて疑似体験]Dolby Atmos対応4Kビエラ 迫力の立体音響【パナソニック公式】
ーー テレビの本質を高める上で、次の展開をどう考えていらっしゃるでしょうか。
金澤 パナソニックとしては、有機ELの自発光のパネルを用いた最高画質の追求にこだわりがあります。腕前がなくいいクラブを使ってもゴルフのスコアが伸びないように、高性能パネルも使いこなせなければ意味がありません。パナソニックでは、設計に加えて国内でしっかりとものづくりの工法までを確立し、技術とノウハウを蓄積させ、パネルのしくみから画質を追い込んでいけます。有機ELをしっかりと使いこなし、フラグシップに求められる熟成した高画質を実現できていると自負しておりますので、今後もご期待いただければと思います。
こうしたフラグシップのテレビを追求する軸と、レイアウトフリーテレビのような生活に寄り添う軸、2つの軸をしっかりと展開していく。エンターテインメントを通じて人の幸せにつながる価値をご提供するのは、私どもの使命と考えています。これからも頑張って参りますので、ぜひご期待ください。
ーー これからの展開も楽しみです。ありがとうございました。
受賞インタビュー:パナソニック
国内最大級を誇るオーディオビジュアル機器の総合アワード「VGP2022 SUMMER」において、4K有機ELテレビ“ビエラ”LZ2000シリーズが、「批評家大賞」を受賞した。4K有機ELビエラ史上最高の画質・音質を誇る本シリーズをはじめ、パナソニックが追求していくテレビの価値について、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社の金澤貞善氏に伺った。
パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社
ビジュアル・サウンドビジネスユニット 経営企画部/国内マーケティング部
部長 金澤貞善氏
インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)
■熟成されたノウハウをもつ国内の技術陣がつくりあげた、最高峰の4K有機ELテレビ
ーー 4K有機ELテレビLZ2000シリーズが、VGP2022 SUMMERにて批評家大賞を受賞されました。こちらのシリーズの特徴をお聞かせいただけますか。
金澤 このたびも栄誉ある賞を頂戴しまして有難うございます。LZ2000シリーズは、4K有機ELビエラのフラグシップに位置付けられており、 4K有機ELビエラ史上最高の画質・音質を謳っております。
画質の点では、従来モデル以上の高コントラスト性能を獲得しています。私どもでは高画質のパネルの設計・開発を日本国内で行っていますが、それを工場で量産化する工法についても国内拠点で開発・検証を行っております。テレビのものづくりにおいては、設計者の意図通りのパネル特性で全ての個体を量産することが非常に難しい点になります。この課題をクリアできるノウハウが蓄積されているため、パネルの性能を最大限に引き出す熟成された高画質技術を実現しております。
音質の点では、これまでのモデルでも立体音響システムの搭載に取り組んできており、上向きのイネーブルドスピーカー搭載、さらに横向きのワイドスピーカー搭載と進化させてきました。LZ2000シリーズでは、さらに前向きにスピーカーユニットをずらりと一列に配置する「ラインアレイスピーカー」を搭載しました。ラインアレイスピーカーは画面下部に多数のスピーカーユニットを線上に並べることで音の干渉が少なく「解像感の高いクリアな音」と「大口径のスピーカーユニットを搭載したオーディオ機器のような厚みのある音」を実現しており、サウンドバーなどにも使われている技術です。
さらに暮らしの中で役立つ機能として、設置面から離れる力が働く際に吸盤が座面に吸着してテレビの転倒リスクを低減する転倒防止スタンドも皆様からご評価いただいております。シンプルな設置性でありながら耐震の備えもできるということで、お客様から非常にご好評いただいているポイントになります。
■本質機能を追求し、多様化するテレビの楽しみ方に対応する
ーー 昨今のテレビのニーズは、どんな傾向にあると捉えておられるでしょうか。
金澤 リビングの据え置き型大画面テレビの存在感はしっかりとあって、テレビ放送を見る、録画コンテンツを見るという従来からの使われ方に加え、昨今は特にVODを筆頭にネット経由のさまざまなコンテンツが楽しまれています。VODのコンテンツには、ドルビービジョンをはじめとする4K/HDRの高画質コンテンツや、音もドルビーアトモスで収録された立体音響の作品も増えており、今回のLZ2000シリーズでもここを意識してこれらのコンテンツを最大限にお楽しみいただけるように進化させています。
これに加えて、ゲームやヨガといったコンテンツを楽しむ、在宅ワークで使用するといった場面で、部屋の中のいろいろな空間でテレビを楽しむニーズも増えてきました。そこにご提案させていただいているのが、今回金賞を頂戴しましたレイアウトフリーテレビです。お客様のいろいろなシーンに寄り添う新しいテレビの形で、今後も広げていきたい領域です。
そのように、テレビの本質的な画と音の部分と、生活の中で役立つ“くらし価値”の機能、この2つの軸を伸ばしていきたいと考えています。私たちマーケティング部門も、くらしの価値をいかにキャッチし、マーケティング施策をどう展開していくかを重視しています。
ーーレイアウトフリーテレビは、以前からレコーダーで展開されてきた“お部屋ジャンプリンク”の機能が活用されていそうですね。
金澤 私どもの組織であるパナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社は、かつてのテレビ事業部と、レコーダーなどを手がけていたホームエンターテインメント事業部など複数の組織が一つになったもので、それぞれの技術を融合させることがよりスムーズにできるようになりました。レイアウトフリーテレビにはポータブルテレビ「プライベート・ビエラ」の無線伝送技術とレコーダー「ディーガ」の4Kリアルタイムエンコード技術を応用していますし、LZ2000シリーズにはオーディオのテクニクスの技術を活用して、AVアンプのようなきめ細かい音場調整機能を搭載することができました。
私自身もビジュアル製品の技術の出身で、高画質設計や、「全自動ディーガ」のシステム設計なども手がけてきました。従来から蓄積された技術を新たな商品へ展開するということは、非常にうまくいっていると思います。
■デジタルでのコミュニケーションを広く展開し、お客様接点の店頭で体感の場をつくる
ーー こうした付加価値の訴求については、どのような展開をされているのでしょうか。
金澤 今回LZ2000で特に推進しているのは、VOD事業者様と連携した展開です。ディズニープラス様やネットフリックス様からコンテンツをご提供いただいて、LZ2000に搭載の「360立体音響サウンドシステム+」での音の出方を体感していただけるデモを店頭で行っています。また、スピーカーが並んでいるイメージをPOPで表現したり、コンテンツに合わせて立体的に音が出ている様子をLEDの光で表現した什器を制作するなど、視覚的にも認識していただきやすくしています。
レイアウトフリーテレビは、従来のテレビ台の上に置く据え置きとは違った形の価値が伝わるような工夫が必要になります。暮らし空間を提案されている法人様などで、リビングを再現したスペースに並べていただくなど、テレビを動かせる価値が伝わるような展示を行っています。またパナソニック ホームズ株式会社の展示場なども活用して、生活シーンがより具体的にイメージできるような方策を模索しているところです。
情報発信の手段としては、パナソニックのサイトやSNSなど、デジタルの媒体を使ったアプローチもさらに拡大しています。YouTubeでは立体音響の疑似体験ができるコンテンツを発信していて、お手持ちのイヤホンで、ドルビーアトモスのコンテンツをLZ2000で聴いている体験を、疑似的にしていただくことができるといったものなど、さまざまな施策を行っています。
[イヤホンをつけて疑似体験]Dolby Atmos対応4Kビエラ 迫力の立体音響【パナソニック公式】
ーー テレビの本質を高める上で、次の展開をどう考えていらっしゃるでしょうか。
金澤 パナソニックとしては、有機ELの自発光のパネルを用いた最高画質の追求にこだわりがあります。腕前がなくいいクラブを使ってもゴルフのスコアが伸びないように、高性能パネルも使いこなせなければ意味がありません。パナソニックでは、設計に加えて国内でしっかりとものづくりの工法までを確立し、技術とノウハウを蓄積させ、パネルのしくみから画質を追い込んでいけます。有機ELをしっかりと使いこなし、フラグシップに求められる熟成した高画質を実現できていると自負しておりますので、今後もご期待いただければと思います。
こうしたフラグシップのテレビを追求する軸と、レイアウトフリーテレビのような生活に寄り添う軸、2つの軸をしっかりと展開していく。エンターテインメントを通じて人の幸せにつながる価値をご提供するのは、私どもの使命と考えています。これからも頑張って参りますので、ぜひご期待ください。
ーー これからの展開も楽しみです。ありがとうございました。