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公開日 2017/09/20 11:00
SP1000の開発思想を採り入れた
Astell&Kern、AK70後継の小型DAP「AK70 MKII」。デュアルDAC/出力強化で約8万円
編集部:小澤貴信
アユートは、同社が取り扱うAstell&Kernのハイレゾポータブルプレーヤー「AK70 MKII」を10月14日より発売する。本日より予約受付を開始した。価格はオープンだが、直販サイト価格は79,800円。カラーはNoir Blackの1色のみ。
AK70 MKIIは、Astell&Kernのハイレゾポータブルプレーヤーにおけるエントリーモデル「カジュアル・ライン」の最新モデル。2016年7月に登場した「AK70」(関連ニュース)の後継機種となる。2015年5月に登場した「AK Jr」(関連ニュース)から数えて3代目となる。後述するように仕様面で大幅な強化を果たした結果、直販サイト価格もAK70が69,800円だったのに対してAK70 MKIIは1万円上がった。
ボディデザインやバランス出力搭載などの機能はほぼ踏襲しつつ、今年登場した同社の新フラグシップ「A&Ulutima SP1000」の開発思想も取り入れて大幅な進化を遂げた。AK70はDACにシーラス・ロジック「CS4398」をシングル構成で搭載していたが、AK70 MKIIでは同DACをデュアル構成で(L/Rで1基ずつの合計2基)搭載。このDAC構成は2世代前のフラグシップ「AK240」と同じだ。
SP1000から反映されたのは、アンプを中心とした内部回路の刷新によって、出力を強化しつつ低歪・低ノイズ化を実現したことだ。新たにデュアルDAC構成を採用したこともあり、特にバランス出力における特性を大きく改善した。
この進化はスペックにも現れている。バランス時の出力を比較すると、AK70が出力2.3Vrmsだったのに対してAK70 MKIIは4.0Vrmw(いずれも無負荷時)と大幅に駆動力を強化。一方バランス時のS/Nは従来の116dBから119dB(いずれも@1kHz)へ、THD+Nは0.0007%から0.0005%へ改善するなど、低歪・低ノイズも数値に表れる進化を果たした。もちろん、アンバランス出力の出力および特性も改善されている(下図参照)。
前述のようにヘッドホン端子は、3.5mmアンバランス出力と2.5mmバランス出力の2系統を搭載する。インターフェースは、SP1000はUSB-type Cを採用していたが、本機では従来機から引き続きUSB micro Bを搭載している。
SP1000はUI(操作画面)も変更されたが、AK70IIはAK70と同様に第三世代モデルのUIを用いている。
再生可能なフォーマットは基本的にAK70を踏襲。PCMは最大384kHz/32bitまで(ネイティブ再生は192kHz/24bitまで)、DSDは5.6MHzまで(PCM 176.4kHz/24bitに変改して再生)となる。
本機をトランスポートとして使えるUSB Audio出力は384kHz/32bit PCMおよび5.6MHz DSD(DoP)に対応。USB-DACとして用いる場合は96kHz/24bitまでのPCMの再生に対応する。
内蔵ストレージは64GB。256GBまでのSDカードに対応したSDカードスロットも搭載しており、最大320GBのストレージを使用できる。
サイズはAK70から若干大きくなり、質量も増えた。AK70が60.3W×96.8H×13Dmm/132gだったのに対し、AK70 MKIIは62.8W×96.8H×15.2Dmm/150gとなった。またボディのカラーはAK70が印象的なMisty Mintを標準色として採用したが、本機ではユーザーの要望なども反映してNoir Blackと呼ばれるブラックを標準色とした。
機能面では、AK70から引き続きWi-Fiに対応したほか、Bluetooth(aptX HD対応)も利用可能。Wi-Fi経由で利用できるネットワーク再生/サーバー機能「AK CONNECT」、専用ドライブを接続してのCD RIPPER機能も搭載する。
Astell&Kernは「SP1000」を第4世代モデルの皮切りとしているが、本機はカジュアルラインのモデルであり、パフォーマンスラインの「KANN」と同様、コアラインの第3世代・第4世代という括りとは別系統となるようだ。それは第3世代相当のUIを採用しつつ、第4世代のSP1000の開発思想を取り入れていることからもわかる。
なお、SP1000の発表会ではこれに続く第4世代モデルが「A&〇〇〇〇」という名称で登場することが予告されていたが、この点については変更ないとのこと。コアラインについては、今後「A&〇〇〇〇」という名称でシリーズモデルが展開される予定だ。
<編集部ファーストインプレッション>
■S/Nが増して音楽の抑揚が豊かに。SP1000と同方向の進化を感じた
まずはAK70 MKIIのアンバランス出力を、従来モデルであるAK70と比較しながら聴いた。組み合わせたイヤホンはUnique Melodyの「MASON IIカスタム」だ。AK70はシャープな解像感と見通しの良さを備えた明瞭でクリアなサウンドで、AK70 MKIIにおいてもベースは同様の傾向なのだが、一聴してS/Nが向上していることがわかる。
そして、AK70 MKIIはより音がほぐれていて、特に弱音表現に繊細さが加わり、音楽の表現の抑揚が増す。ピアノやアコースティックギターを聴くと、響きがより自然で音色も豊かだ。程度は違えど、この傾向はAK380とSP1000を比較したときにも感じたもので、デュアルDAC化したことはもちろん、SP1000の設計思想を取り入れた結果が表れているのだろう。
もちろん解像感はさらに増し、音像の立体感も増している。AK70MKIIと比べると、AK70は確かに高解像度だがやや音が平板に感じてしまう。AK70 MKIIの方が音場も明らかに広い。
次に両機のバランス出力を、SHURE「SE846」(2.5mm端子にリケーブル)で比較してみた。この差はアンバランス出力以上に大きい。AK70のバランス出力はエネルギッシュで高解像度だが、アンバランス出力に比べて音像のフォーカスがやや甘くなると感じる瞬間がある。それがAK70 MKIIでは、音のエネルギー感と音場のクリアさを高度にバランスさせる。ベースなど低域は解像感を保ったままより太く力強く制動。情報量はアンバランス出力に比べて明かに増え、よりダイナミックでHi-Fi的な表現を聴かせてくれる。
デュアルDACの恩恵は当然あるだろうが、SP1000のノウハウを投入したことによる進化の度合いも大きいと感じた。価格は1万円アップしたが、音質の向上の度合いはそれ以上。駆動力が向上したことで、さらに広範なイヤホンとの組み合わせでもその音を楽しめそうだ。
(編集部 小澤貴信)
■低域再現が大きく向上。ワイドレンジでバランスに富んだ音
AK70 MKIIを短時間ながら、従来モデル AK70と比較しつつ試聴することができた。イヤホンは同時発表された「Michell Limited」を組み合わせ、3.5mmステレオミニプラグで接続して音質をチェックした。
AK70 MKIIの基本的な音の方向性はAK70を継承しているのだが、音の輪郭が硬すぎず柔らかすぎず、低音から高音までワイドレンジに鳴らしてくれる。ボーカルやリードギターは比較的耳に近いところで臨場感のある鳴り方をする。ギターやシンバルの刻みといった高域は明瞭で鮮烈だが、耳ざわりにはならない程度のいい塩梅。全体のバランスがとても良く取れている。
AK70と比較して特に明確な差を感じたのは、低音の沈み込みだ。AK70の低音もこのクラスとしては優秀なのだが、AK70 MKIIではより低音が深く沈み、バスドラムのワン・ストロークがドッシリと聴こえるようになった。AK70 MKIIと比較すると、AK70ではバスドラムやベースなどの低域パートが浅く感じてしまい、物足りなさを覚える。
また、デュアルDAC化の成果だろう、AK70 MKIIでは左右のセパレーションが向上して、音場もやや広がった印象を受けた。デュアルDAC化をはじめ従来モデルと比較してより物量が投入されているが、それが音質にも現れていると感じた。
(編集部 成藤正宣)
AK70 MKIIは、Astell&Kernのハイレゾポータブルプレーヤーにおけるエントリーモデル「カジュアル・ライン」の最新モデル。2016年7月に登場した「AK70」(関連ニュース)の後継機種となる。2015年5月に登場した「AK Jr」(関連ニュース)から数えて3代目となる。後述するように仕様面で大幅な強化を果たした結果、直販サイト価格もAK70が69,800円だったのに対してAK70 MKIIは1万円上がった。
ボディデザインやバランス出力搭載などの機能はほぼ踏襲しつつ、今年登場した同社の新フラグシップ「A&Ulutima SP1000」の開発思想も取り入れて大幅な進化を遂げた。AK70はDACにシーラス・ロジック「CS4398」をシングル構成で搭載していたが、AK70 MKIIでは同DACをデュアル構成で(L/Rで1基ずつの合計2基)搭載。このDAC構成は2世代前のフラグシップ「AK240」と同じだ。
SP1000から反映されたのは、アンプを中心とした内部回路の刷新によって、出力を強化しつつ低歪・低ノイズ化を実現したことだ。新たにデュアルDAC構成を採用したこともあり、特にバランス出力における特性を大きく改善した。
この進化はスペックにも現れている。バランス時の出力を比較すると、AK70が出力2.3Vrmsだったのに対してAK70 MKIIは4.0Vrmw(いずれも無負荷時)と大幅に駆動力を強化。一方バランス時のS/Nは従来の116dBから119dB(いずれも@1kHz)へ、THD+Nは0.0007%から0.0005%へ改善するなど、低歪・低ノイズも数値に表れる進化を果たした。もちろん、アンバランス出力の出力および特性も改善されている(下図参照)。
前述のようにヘッドホン端子は、3.5mmアンバランス出力と2.5mmバランス出力の2系統を搭載する。インターフェースは、SP1000はUSB-type Cを採用していたが、本機では従来機から引き続きUSB micro Bを搭載している。
SP1000はUI(操作画面)も変更されたが、AK70IIはAK70と同様に第三世代モデルのUIを用いている。
再生可能なフォーマットは基本的にAK70を踏襲。PCMは最大384kHz/32bitまで(ネイティブ再生は192kHz/24bitまで)、DSDは5.6MHzまで(PCM 176.4kHz/24bitに変改して再生)となる。
本機をトランスポートとして使えるUSB Audio出力は384kHz/32bit PCMおよび5.6MHz DSD(DoP)に対応。USB-DACとして用いる場合は96kHz/24bitまでのPCMの再生に対応する。
内蔵ストレージは64GB。256GBまでのSDカードに対応したSDカードスロットも搭載しており、最大320GBのストレージを使用できる。
サイズはAK70から若干大きくなり、質量も増えた。AK70が60.3W×96.8H×13Dmm/132gだったのに対し、AK70 MKIIは62.8W×96.8H×15.2Dmm/150gとなった。またボディのカラーはAK70が印象的なMisty Mintを標準色として採用したが、本機ではユーザーの要望なども反映してNoir Blackと呼ばれるブラックを標準色とした。
機能面では、AK70から引き続きWi-Fiに対応したほか、Bluetooth(aptX HD対応)も利用可能。Wi-Fi経由で利用できるネットワーク再生/サーバー機能「AK CONNECT」、専用ドライブを接続してのCD RIPPER機能も搭載する。
Astell&Kernは「SP1000」を第4世代モデルの皮切りとしているが、本機はカジュアルラインのモデルであり、パフォーマンスラインの「KANN」と同様、コアラインの第3世代・第4世代という括りとは別系統となるようだ。それは第3世代相当のUIを採用しつつ、第4世代のSP1000の開発思想を取り入れていることからもわかる。
なお、SP1000の発表会ではこれに続く第4世代モデルが「A&〇〇〇〇」という名称で登場することが予告されていたが、この点については変更ないとのこと。コアラインについては、今後「A&〇〇〇〇」という名称でシリーズモデルが展開される予定だ。
<編集部ファーストインプレッション>
■S/Nが増して音楽の抑揚が豊かに。SP1000と同方向の進化を感じた
まずはAK70 MKIIのアンバランス出力を、従来モデルであるAK70と比較しながら聴いた。組み合わせたイヤホンはUnique Melodyの「MASON IIカスタム」だ。AK70はシャープな解像感と見通しの良さを備えた明瞭でクリアなサウンドで、AK70 MKIIにおいてもベースは同様の傾向なのだが、一聴してS/Nが向上していることがわかる。
そして、AK70 MKIIはより音がほぐれていて、特に弱音表現に繊細さが加わり、音楽の表現の抑揚が増す。ピアノやアコースティックギターを聴くと、響きがより自然で音色も豊かだ。程度は違えど、この傾向はAK380とSP1000を比較したときにも感じたもので、デュアルDAC化したことはもちろん、SP1000の設計思想を取り入れた結果が表れているのだろう。
もちろん解像感はさらに増し、音像の立体感も増している。AK70MKIIと比べると、AK70は確かに高解像度だがやや音が平板に感じてしまう。AK70 MKIIの方が音場も明らかに広い。
次に両機のバランス出力を、SHURE「SE846」(2.5mm端子にリケーブル)で比較してみた。この差はアンバランス出力以上に大きい。AK70のバランス出力はエネルギッシュで高解像度だが、アンバランス出力に比べて音像のフォーカスがやや甘くなると感じる瞬間がある。それがAK70 MKIIでは、音のエネルギー感と音場のクリアさを高度にバランスさせる。ベースなど低域は解像感を保ったままより太く力強く制動。情報量はアンバランス出力に比べて明かに増え、よりダイナミックでHi-Fi的な表現を聴かせてくれる。
デュアルDACの恩恵は当然あるだろうが、SP1000のノウハウを投入したことによる進化の度合いも大きいと感じた。価格は1万円アップしたが、音質の向上の度合いはそれ以上。駆動力が向上したことで、さらに広範なイヤホンとの組み合わせでもその音を楽しめそうだ。
(編集部 小澤貴信)
■低域再現が大きく向上。ワイドレンジでバランスに富んだ音
AK70 MKIIを短時間ながら、従来モデル AK70と比較しつつ試聴することができた。イヤホンは同時発表された「Michell Limited」を組み合わせ、3.5mmステレオミニプラグで接続して音質をチェックした。
AK70 MKIIの基本的な音の方向性はAK70を継承しているのだが、音の輪郭が硬すぎず柔らかすぎず、低音から高音までワイドレンジに鳴らしてくれる。ボーカルやリードギターは比較的耳に近いところで臨場感のある鳴り方をする。ギターやシンバルの刻みといった高域は明瞭で鮮烈だが、耳ざわりにはならない程度のいい塩梅。全体のバランスがとても良く取れている。
AK70と比較して特に明確な差を感じたのは、低音の沈み込みだ。AK70の低音もこのクラスとしては優秀なのだが、AK70 MKIIではより低音が深く沈み、バスドラムのワン・ストロークがドッシリと聴こえるようになった。AK70 MKIIと比較すると、AK70ではバスドラムやベースなどの低域パートが浅く感じてしまい、物足りなさを覚える。
また、デュアルDAC化の成果だろう、AK70 MKIIでは左右のセパレーションが向上して、音場もやや広がった印象を受けた。デュアルDAC化をはじめ従来モデルと比較してより物量が投入されているが、それが音質にも現れていると感じた。
(編集部 成藤正宣)
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- ASTELL&KERN
関連リンク
- ジャンルデジタルメモリーオーディオプレーヤー
- ブランドASTELL&KERN
- 型番AK70 MKII
- 発売日2017年10月14日
- 価格直販サイト価格79,800円
【SPEC】●DAC:CS4398×2 ●出力:アンバランス 2.0Vrms、バランス 4.0Vrms(無負荷時) ●PCM:最大384kHz/32bit(ネイティブ再生:192kHz/24bitまで) ●DSD:最大5.6MHz/1bit (PCM 176kHz/24bitに変換) ●USB AUDIO:DSD (DoP) : 最大 5.6MHz/1bit PCM : 最大384kHz/32bit ●DAC:Max 24bit 96kHz (UAC 1.0) ●容量:最大320GB(内蔵64GB+microSD 最大256GB) ●コーデック:SBC/aptX/aptX HD ●外形寸法:62.8W×96.8H×15.2Dmm ●質量:150g