公開日 2016/07/22 10:00
【特別企画】圧倒的な効果を実現
磁気浮遊オーディオボード SAP「RELAXA530」をオーディオ銘機賞審査員5人が徹底レビュー
井上千岳/石田善之/福田雅光/藤岡 誠/山之内 正
“磁気浮遊”という最もシンプルで、最も理想的なフローティングを実現するオーディオボードとして、オーディオファンから絶大な支持を得たSAPのオーディオボード「RELAXA」。約10年ぶりの最新バージョンとなる「RELAXA530」が、限定生産にて登場することとなった。磁気を使いながらも徹底した磁束管理により上/左右に置いた機器にも影響を及ぼすことがなく、振動からフリーになるというメリットを享受できる本機。本記事では、オーディオ銘機賞の審査員を務める5人の審査員が、さらに進化したRELAXAの優位性と魅力について語った。
REVIEW.1 井上千岳
微妙なディティールを再現し、圧倒的な瞬発力を引き出す
まずはRELAXAの歴代モデル、すべての効果を体験してきた井上千岳氏がRELAXAの進化の歴史と優位性、そして最新モデルの特徴と効果について詳細レポート。歴代モデルの変遷を踏まえた上で、最新モデルの効果を徹底検証した。
「RELAXA 530」の位置付け
■マグネットの強力な磁力で究極のサスペンションを実現
床や設置面からの振動を排除するには、“フローティング"、すなわち浮かせてしまうことが最も理想的だ。接触していなければ振動が伝わることはない。しかしフローティングにはなんらかのスプリングやサスペンションが必要で、非接触にすることは不可能だった。これを可能にしたのがネオジム・マグネットの強力な磁力である。その反発力を使えば、非接触のままでものを浮かせることができる。いわば究極的なサスペンションである。
もっとも実用化には難しい部分も多々あるようだ。それを克服して初めてのマグネット・フローティングを実現したのが、イタリアのオーディオ・ブランド SAPの「RELAXA」である。
■10年の変遷を経て進化した500台限定モデルが登場
初の製品「RELAXA1」は、日本では2001年に発売された。そして2006年に生産終了となるまで4世代にわたるリファインが行われたが、その後これに代わる製品は発売されなかった。
それから10年を経た現在、500台の限定で復活したのが「RELAXA 530」である。ここで少し製品の変遷を辿ってみたい。
初代のRELAXA1はH字型のベースに4個のマグネットを埋め込み、同じくマグネットを装着したアクリル製のボードを浮かせるシンプルな仕組みであった。対抗する2つの角にベアリング・システムが設けられ、ボードを正確な位置に支持する。
この画期的な構造は瞬く間にオーディオファンの強い支持を獲得したが、続く「RELAXA 2PLUS」ではリファインが施され、ボードを強化するとともにマグネットを昇降させて水平を調整する新たな機構も搭載した。
ところが翌年の「RELAXA 3PLUS」では、大幅な変更が行われた。ボードは強化ガラス製となり、マグネットのフローティング機構はシリンダー内に収めてその上にボードを乗せる形となったのである。また中央に第5のシリンダーを追加するオプションも用意され、耐荷重も増している。
このシリンダーは単独でインシュレーターとしても発売されたし、ボード全体を組み込んだラックも開発された。
最後の「RELAXA 4」では、再びシリンダーを廃止しボードにマグネットを装着した元のスタイルに戻っている。ベースの形状も全く違っているが、マグネットは5個を標準装備とした。耐荷重は最終的に30kgとなっている。
■最新モデルは横幅の有効スペースが広がり、重量級アンプにも対応
復活したRELAXA 530は、このRELAXA 4を基本にしている。ボードはやはり屈曲のない焼き入れ強化ガラス。中央を含めて5個のマグネットでフローティングする構成は変わらない。
耐荷重は30kgだが、国産ハイエンドの重量級アンプにも対応できる横幅の有効スペースを515mmとしている。さらに水準器をガラス・ボードに内蔵し、マグネットの高さ調整で水平を維持することが可能である。
井上千岳 石田善之 福田雅光 藤岡 誠 山之内 正 |
REVIEW.1 井上千岳
微妙なディティールを再現し、圧倒的な瞬発力を引き出す
まずはRELAXAの歴代モデル、すべての効果を体験してきた井上千岳氏がRELAXAの進化の歴史と優位性、そして最新モデルの特徴と効果について詳細レポート。歴代モデルの変遷を踏まえた上で、最新モデルの効果を徹底検証した。
「RELAXA 530」の位置付け
■マグネットの強力な磁力で究極のサスペンションを実現
床や設置面からの振動を排除するには、“フローティング"、すなわち浮かせてしまうことが最も理想的だ。接触していなければ振動が伝わることはない。しかしフローティングにはなんらかのスプリングやサスペンションが必要で、非接触にすることは不可能だった。これを可能にしたのがネオジム・マグネットの強力な磁力である。その反発力を使えば、非接触のままでものを浮かせることができる。いわば究極的なサスペンションである。
もっとも実用化には難しい部分も多々あるようだ。それを克服して初めてのマグネット・フローティングを実現したのが、イタリアのオーディオ・ブランド SAPの「RELAXA」である。
■10年の変遷を経て進化した500台限定モデルが登場
初の製品「RELAXA1」は、日本では2001年に発売された。そして2006年に生産終了となるまで4世代にわたるリファインが行われたが、その後これに代わる製品は発売されなかった。
それから10年を経た現在、500台の限定で復活したのが「RELAXA 530」である。ここで少し製品の変遷を辿ってみたい。
初代のRELAXA1はH字型のベースに4個のマグネットを埋め込み、同じくマグネットを装着したアクリル製のボードを浮かせるシンプルな仕組みであった。対抗する2つの角にベアリング・システムが設けられ、ボードを正確な位置に支持する。
この画期的な構造は瞬く間にオーディオファンの強い支持を獲得したが、続く「RELAXA 2PLUS」ではリファインが施され、ボードを強化するとともにマグネットを昇降させて水平を調整する新たな機構も搭載した。
ところが翌年の「RELAXA 3PLUS」では、大幅な変更が行われた。ボードは強化ガラス製となり、マグネットのフローティング機構はシリンダー内に収めてその上にボードを乗せる形となったのである。また中央に第5のシリンダーを追加するオプションも用意され、耐荷重も増している。
このシリンダーは単独でインシュレーターとしても発売されたし、ボード全体を組み込んだラックも開発された。
最後の「RELAXA 4」では、再びシリンダーを廃止しボードにマグネットを装着した元のスタイルに戻っている。ベースの形状も全く違っているが、マグネットは5個を標準装備とした。耐荷重は最終的に30kgとなっている。
■最新モデルは横幅の有効スペースが広がり、重量級アンプにも対応
復活したRELAXA 530は、このRELAXA 4を基本にしている。ボードはやはり屈曲のない焼き入れ強化ガラス。中央を含めて5個のマグネットでフローティングする構成は変わらない。
耐荷重は30kgだが、国産ハイエンドの重量級アンプにも対応できる横幅の有効スペースを515mmとしている。さらに水準器をガラス・ボードに内蔵し、マグネットの高さ調整で水平を維持することが可能である。
- トピック
- その他オーディオアクセサリー
- オーディオレビュー