トップページへ戻る

レビュー

HOME > レビュー > レビュー記事一覧

公開日 2016/08/03 10:30
海上忍のラズパイ・オーディオ通信(18)

たったの5ドル!安くて小さい「Raspberry Pi Zero」をオーディオ機器に仕上げる(前編)

海上 忍

前のページ 1 2 次のページ

Raspberry Pi Zeroでできること

好調な販売が続くRaspberry Piに「Zero」という新顔が加わったのは、昨年11月のこと。価格は驚きの5ドル/4英ポンド!なんと昼食代よりも安い設定だ。発売後しばらくは入手困難な状況が続いていたが、春あたりからようやく落ち着きを見せはじめ(それでも1人1台の購入制限を設けている店が多い)、遅ればせながら筆者も英国から個人輸入の形で取り寄せた。

ノーマルモデル(カードサイズのRaspberry Pi 2/3)と比較したRaspberry Pi Zeroの特徴を簡潔にいうと、「性能は見劣りするが安くて小さい」ということになる。SoCは初代Raspberry Piと同じシングルコアのBroadcom BCM2835(ARM11)だが、クロックは1GHzと約40%高速化されている。512MBというメモリサイズも、オーディオ再生という用途には十分だ。

起動ディスクにmicroSDカードを、電源にUSB micro-Bを使用することもノーマルモデルと同じ。USB 2.0ポートは1基のみ(しかもmicro-B)でEtehrnetポートは省略されているため、ネットワーク接続にはひと工夫必要となるが、なんといってもノーマルモデル互換のピンアサインを持つGPIOポートを装備する点は大きい。このコンパクトさでI2Sによるオーディオ出力が可能となれば、あくまで音質狙いでラズパイ・オーディオに関心を持つ向きにもアピールするはずだ。

Raspberry Pi Zeroの表面。ELPIDA製のメモリモジュールが使われている(Broadcom製CPUはその下にある)

Raspberry Pi Zeroの表面。筆者が入手したのは、カメラモジュールを直結できるよう改良されたv1.3だ

用途はそこにとどまらない。現在は生産が追いつかないため難しいが、約500円という単価で大量調達できるのであれば、アメニティとしての道が開けてくる。microSDカードや本体ケースの問題はひとまず置くとして、このコスト感とサイズであれば雑誌の付録にすることも難しくはない。実際、Raspberry Pi Zeroの初期ロットは、英国のRaspberry Piをターゲットとした雑誌の付録として流通した。

残念ながらネットワーク機能はオンボードではないが、1基あるUSB micro-BポートにWi-Fiアダプタを装着すれば、おもしろい使い方が可能になる。GPIOポートにDACカードを装着することが前提となるが、ひたすらストリーミング放送を受信してライン出力するとか、アクティブスピーカーの台座部分に埋め込んでネットワークオーディオ化するとか…まだ試してはいないが、Roon Bridgeとしても活用できるはず。価格と大きさ、そしてRaspberry Piの豊富なリソースという利点を生かせば、従来にないオーディオの愉しみかたが見えてくるに違いない。

Raspberry Pi 2 Model Bと比較すると、その小ささが際立つ。バッテリーを考慮しなければ、かなりコンパクトなオーディオ機器になるはず

ラズパイ“Zero”の安さには理由がある

前のページ 1 2 次のページ

関連リンク

新着クローズアップ

クローズアップ

アクセスランキング RANKING
1 「オーディオのオンキヨー」復活へ。新スピーカーとセパレートシステムを年明けのCESで発表
2 【完全ワイヤレスイヤホン特集 PART.10】音のプロが選ぶベストバイは?
3 CD再生とファイル再生の架け橋に!Shanlingからリッピング機能付きトランスポート「CR60」が登場
4 今こそ「ミニコンポ」が面白い! デノン/マランツ/B&Wの令和ライフにマッチする厳選5モデルレビュー
5 水月雨、『崩壊:スターレイル』とのコラボ完全ワイヤレス。ダイナミック+環状平面駆動の同軸ドライバー搭載
6 【ミニレビュー】空き電源コンセントに挿入するだけ。オーディオみじんこ「SILVER HARMONIZER AC-ADVANCE」
7 モニターオーディオ「GOLDシリーズ」レビュー。ユニット大幅刷新の第6世代機は「ハイスピードで焦点の明確な音調」
8 AVIOT、『らんま1/2』コラボ完全ワイヤレスイヤホン。完全新録ボイス240種類以上搭載
9 Nothing、スマホ/イヤホンが最大30%オフ価格になるウィンターキャンペーン。先着順で靴下もらえる
10 要注目の新興ブランド、ラトビア「アレタイ」スピーカー試聴レビュー!広大な空間描写力が魅力
12/20 10:05 更新

WEB