公開日 2018/10/12 06:00
先進技術を積極的に取り入れた準旗艦モデル
デノン「AVC-X6500H」レビュー。フラグシップに肉薄するスケール感豊かなAVアンプ
大橋 伸太郎
エントリークラスから高級機までフルラインアップを擁し、旺盛な技術開発を続けるデノンは、AVアンプのリーディングメーカーと言える。2018年頭には一体型AVアンプとしてフルディスクリート構成13chアンプを内蔵したフラグシップ「AVC-X8500H」(関連ニュース)を発売。Auro3Dまで含むイマーシブサウンド時代のベンチマークを完成したわけだが、早くも半年後に強力な新製品を送り込んできた。11chアンプ内蔵の一体型AVアンプ「AVC-X6500H」(関連ニュース)だ。
本機で注目したいのは、いうまでもなくAVC-X8500H(以下、X8500H)の成果を継承したアンプであることだ。6000番台はデノン高級AVアンプの中核だが、通常のサイズで11chを実現したことに開発の意義と存在感があった。一方のX8500Hは、そうした制約なしに技術オリエンテッドで作られたアンプだ。
今回新たに完成したAVC-X6500H(以下、X6500H)の狙いは、X8500Hの開発過程で得た技術要素を利用することで、6000系のサイズメリットを活かしつつ、X8500Hの表現した音の世界へ踏み込むことだった。
デノンの開発陣は、これについて「X8500Hのアドベンチャラスな音、冒険心ある音を6000番台で実現すること」と表現している。加えて「X8500Hから始まる音作りのひとつの完成がテーマ」とも語る。X8500Hほど再生チャンネル数を必要としないユーザーにとって、6000系にX8500Hの密度感が加わったX6500Hは大きな魅力となろう。
■新規格や設計に表れる“ザ・ワールドファースト”の姿勢
それでは、AVC-X6500Hのプロフィールを見ていこう。本機はアナログ構成の11chパワーアンプを内蔵した一体型AVアンプで、Auro3D、ドルビーアトモス、DTS:Xの再生にフル対応する。
デノンのAVアンプ製品開発の3本の柱は、“ストレートデコード” “ザ・ワールドファースト” “アフォーダブルプライス”なのだという。私たちにとって印象深いのが、2番目の“ザ・ワールドファースト”。事実、BDにおけるロスレスのHDオーディオの時も、上記イマーシブオーディオでも、つねにデノンが導入の先鞭を付けている。
X6500Hも例外でない。DTSの新規格「IMAX Enhanced」に対応する。ただし、同フォーマットは現時点で未確定な部分が多く、X6500Hのファームウェアをアップデートしてからの利用開始となる。
IMAX Enhancedについて現時点で判明している情報を紹介すると、映画館体験の再現をテーマとしたフォーマットで、DTS:Xにプラスアルファした新フォーマットだという。細かい点まで明らかになるのは、対応ソフト登場後になるだろう。その他にも、最新フォーマットとしてeARC、ALLM、AirPlay2に対応する。
アンプの基礎構成はサイズ感を堅守しつつ、X8500Hへ大接近が図られた。第1に筐体の高剛性化。トランスのマウント部にトランスベースを入れ、X8500Hの1.2mm厚トリプルレイヤーに準じる1.2mm厚ダブルレイヤードシャーシを採用した。シャーシは振動源でもあることに留意しての採用だ。一見変わりのないフロントパネルも、ドアが4mmから5mmへ厚くなり剛性強化に貢献している。ちなみにX8500Hは8mmである。
次にアナログ・パワーアンプ部だが、従来機種のAVR-X6400H(関連ニュース)から全11chディスクリート構成・独立基板のモノリスコンストラクションを継承しつつ、「トータルサウンドのアップ」が図られた。具体的には帯域、特に低域の拡張だった。
改良ポイントを挙げていくと、入力結合コンデンサを47uFから100uFへ、プリアンプ用電源のコンデンサを10,000uF/16Vから10,000uF/25Vへ高耐圧化。これらはELNA社製の高音質グレードのコンデンサを採用する。ボリュームの出力抵抗は47Ωから0Ωに落とし、パワーアンプ電源の整流回路はPN接合タイプから高速ショットキーバリアタイプへ変更した。伝送経路の抵抗成分の低減等も行っており、これらはX8500Hと同等の水準にあると言っていい。
本機で注目したいのは、いうまでもなくAVC-X8500H(以下、X8500H)の成果を継承したアンプであることだ。6000番台はデノン高級AVアンプの中核だが、通常のサイズで11chを実現したことに開発の意義と存在感があった。一方のX8500Hは、そうした制約なしに技術オリエンテッドで作られたアンプだ。
今回新たに完成したAVC-X6500H(以下、X6500H)の狙いは、X8500Hの開発過程で得た技術要素を利用することで、6000系のサイズメリットを活かしつつ、X8500Hの表現した音の世界へ踏み込むことだった。
デノンの開発陣は、これについて「X8500Hのアドベンチャラスな音、冒険心ある音を6000番台で実現すること」と表現している。加えて「X8500Hから始まる音作りのひとつの完成がテーマ」とも語る。X8500Hほど再生チャンネル数を必要としないユーザーにとって、6000系にX8500Hの密度感が加わったX6500Hは大きな魅力となろう。
■新規格や設計に表れる“ザ・ワールドファースト”の姿勢
それでは、AVC-X6500Hのプロフィールを見ていこう。本機はアナログ構成の11chパワーアンプを内蔵した一体型AVアンプで、Auro3D、ドルビーアトモス、DTS:Xの再生にフル対応する。
デノンのAVアンプ製品開発の3本の柱は、“ストレートデコード” “ザ・ワールドファースト” “アフォーダブルプライス”なのだという。私たちにとって印象深いのが、2番目の“ザ・ワールドファースト”。事実、BDにおけるロスレスのHDオーディオの時も、上記イマーシブオーディオでも、つねにデノンが導入の先鞭を付けている。
X6500Hも例外でない。DTSの新規格「IMAX Enhanced」に対応する。ただし、同フォーマットは現時点で未確定な部分が多く、X6500Hのファームウェアをアップデートしてからの利用開始となる。
IMAX Enhancedについて現時点で判明している情報を紹介すると、映画館体験の再現をテーマとしたフォーマットで、DTS:Xにプラスアルファした新フォーマットだという。細かい点まで明らかになるのは、対応ソフト登場後になるだろう。その他にも、最新フォーマットとしてeARC、ALLM、AirPlay2に対応する。
アンプの基礎構成はサイズ感を堅守しつつ、X8500Hへ大接近が図られた。第1に筐体の高剛性化。トランスのマウント部にトランスベースを入れ、X8500Hの1.2mm厚トリプルレイヤーに準じる1.2mm厚ダブルレイヤードシャーシを採用した。シャーシは振動源でもあることに留意しての採用だ。一見変わりのないフロントパネルも、ドアが4mmから5mmへ厚くなり剛性強化に貢献している。ちなみにX8500Hは8mmである。
次にアナログ・パワーアンプ部だが、従来機種のAVR-X6400H(関連ニュース)から全11chディスクリート構成・独立基板のモノリスコンストラクションを継承しつつ、「トータルサウンドのアップ」が図られた。具体的には帯域、特に低域の拡張だった。
改良ポイントを挙げていくと、入力結合コンデンサを47uFから100uFへ、プリアンプ用電源のコンデンサを10,000uF/16Vから10,000uF/25Vへ高耐圧化。これらはELNA社製の高音質グレードのコンデンサを採用する。ボリュームの出力抵抗は47Ωから0Ωに落とし、パワーアンプ電源の整流回路はPN接合タイプから高速ショットキーバリアタイプへ変更した。伝送経路の抵抗成分の低減等も行っており、これらはX8500Hと同等の水準にあると言っていい。