公開日 2022/08/26 06:30
50周年の歴史を誇るアメリカのメーカー、Polk Audio(ポークオーディオ)。社是として “GREAT SOUND FOR ALL” を掲げ、 学生でも購入できるお手頃な価格のスピーカーを発売するなど、海外で爆発的な人気を博している。
日本で発売中の3シリーズは、いずれもサラウンドで楽しめるラインナップを誇っており、今回は各シリーズの大型フロアモデルと小型ブックシェルフの計6モデルを評論家の岩井 喬氏が徹底試聴した。
■時代のニーズに合わせて幅広い商品展開を行った
アメリカで圧倒的な販売実績数を誇る、ポークオーディオ。その歩みは1972年、マシュー・ポークら学生3人がメリーランド州ボルチモアの小さな一軒家からスタートする。
創業当時を思い返し、学生だった自分たちでも買えるリーズナブルで素晴らしいサウンドのスピーカーを送り出すことを社是としてきた。そして2022年、創業から50年を迎えたが、ポークオーディオはこの初心を忘れず、その社是を貫き通している。
ポークオーディオが飛躍したきっかけは、1975年に登場したパッシブラジエーター搭載の2ウェイ・ブックシェルフ型Monitor 7と、翌76年に登場したその上位モデルMonitor 10だ。家庭用として無理のない大きさと、充実した量感と表現力、コストパフォーマンスの高さを兼ね備えたスピーカーとして高く評価されたという。
この両製品の成功を契機とし、会社の規模も拡大。そして時代のニーズに合わせた幅広い商品展開を行い、現在の確固たる地位を築くに至ったのである。
このポークオーディオならではの強みは、巨大なアメリカ市場での圧倒的な製品販売量がもたらす量産効果の高さだ。この量的規模が生み出すコスト削減効果は絶大で、同じ価格帯の他ブランド製品と比較するのが困難なほど、物量を投入した製品を開発できるのである。
2019年にSignature EというカスタムのEU専用モデルで参入し、その経験を生かして、エントリーとなるMonitor XTシリーズ、ミドルクラスのSignature Eliteシリーズ、そしてフラグシップ直系の上級ラインReserveシリーズという、現行すべてのラインナップがつくられている。
■いずれも40kHz以上の実力を誇るハイレゾ対応スピーカー
ここからは各シリーズの解説に加え、小型のブックシェルフ型とシリーズ最大構成のフロア型のサウンドを確認していく。まずは上級クラスのReserveシリーズだ。
50kHzという超高域再生に加え、低域側にも特性を伸ばしたピナクル・リングラジエーター・トゥイーターを搭載し、ウーファーも特殊なタービン形状を持たせたインジェクション成形コーンを採用。射出成型時に中心部にはフォーム状のコアを形成するため、内部損失の大きい疑似的なサンドイッチ素材となっているという。さらにブートトラップを設けて不要共振を抑えるXポート・テクノロジーや、ポートノイズを抑えるパワーポート2.0など、特許技術も数多く投入している。
130mmウーファーを用いたブックシェルフ型R100は、サイズ以上にゆったりと伸びやかに感じる低域の余裕さ、丁寧かつ音運びの滑らかなサウンドであり、ピアノやホーンセクションの響きはナチュラルかつ爽やか。誇張のない密度の高い描写力を持ち、ヴォーカルもウェットで落ち着き良い。
165mmタービンコーン・ミッドレンジと2発のアルミ&ポリプロピレンコーン・ウーファーからなるフロア型R700では、オーケストラの奥行きも自然に展開し、管弦楽器の旋律は太く安定した描写となる。低域の沈み込みの深さ、高域の爽やかな浮き立ちの対比も良く、エアー感の表現も正確であり、音場の情報を位相良く引き出す。ヴォーカルもより重心が低く安定し、口元の潤いも自然に浮き上がる。
特にこの2モデルで感心したのはディストーションギターの質感と密度のリアルな再現性だ。粘りのある歪みのニュアンスまで抑揚良く描き出し、ロック音源の持つエナジーを脚色なくストレートに表現してくれる。アメリカらしいアプローチであると感じるとともに、西海岸とは違う音像の芯の厚み、ボディ感の充実サウンドであると感じた。
50周年の老舗ブランドから登場の3シリーズ
良い音を身近にする良心的メーカー、「Polk Audio」スピーカーのポイントを解説!
岩井 喬50周年の歴史を誇るアメリカのメーカー、Polk Audio(ポークオーディオ)。社是として “GREAT SOUND FOR ALL” を掲げ、 学生でも購入できるお手頃な価格のスピーカーを発売するなど、海外で爆発的な人気を博している。
日本で発売中の3シリーズは、いずれもサラウンドで楽しめるラインナップを誇っており、今回は各シリーズの大型フロアモデルと小型ブックシェルフの計6モデルを評論家の岩井 喬氏が徹底試聴した。
■時代のニーズに合わせて幅広い商品展開を行った
アメリカで圧倒的な販売実績数を誇る、ポークオーディオ。その歩みは1972年、マシュー・ポークら学生3人がメリーランド州ボルチモアの小さな一軒家からスタートする。
創業当時を思い返し、学生だった自分たちでも買えるリーズナブルで素晴らしいサウンドのスピーカーを送り出すことを社是としてきた。そして2022年、創業から50年を迎えたが、ポークオーディオはこの初心を忘れず、その社是を貫き通している。
ポークオーディオが飛躍したきっかけは、1975年に登場したパッシブラジエーター搭載の2ウェイ・ブックシェルフ型Monitor 7と、翌76年に登場したその上位モデルMonitor 10だ。家庭用として無理のない大きさと、充実した量感と表現力、コストパフォーマンスの高さを兼ね備えたスピーカーとして高く評価されたという。
この両製品の成功を契機とし、会社の規模も拡大。そして時代のニーズに合わせた幅広い商品展開を行い、現在の確固たる地位を築くに至ったのである。
このポークオーディオならではの強みは、巨大なアメリカ市場での圧倒的な製品販売量がもたらす量産効果の高さだ。この量的規模が生み出すコスト削減効果は絶大で、同じ価格帯の他ブランド製品と比較するのが困難なほど、物量を投入した製品を開発できるのである。
2019年にSignature EというカスタムのEU専用モデルで参入し、その経験を生かして、エントリーとなるMonitor XTシリーズ、ミドルクラスのSignature Eliteシリーズ、そしてフラグシップ直系の上級ラインReserveシリーズという、現行すべてのラインナップがつくられている。
■いずれも40kHz以上の実力を誇るハイレゾ対応スピーカー
ここからは各シリーズの解説に加え、小型のブックシェルフ型とシリーズ最大構成のフロア型のサウンドを確認していく。まずは上級クラスのReserveシリーズだ。
50kHzという超高域再生に加え、低域側にも特性を伸ばしたピナクル・リングラジエーター・トゥイーターを搭載し、ウーファーも特殊なタービン形状を持たせたインジェクション成形コーンを採用。射出成型時に中心部にはフォーム状のコアを形成するため、内部損失の大きい疑似的なサンドイッチ素材となっているという。さらにブートトラップを設けて不要共振を抑えるXポート・テクノロジーや、ポートノイズを抑えるパワーポート2.0など、特許技術も数多く投入している。
130mmウーファーを用いたブックシェルフ型R100は、サイズ以上にゆったりと伸びやかに感じる低域の余裕さ、丁寧かつ音運びの滑らかなサウンドであり、ピアノやホーンセクションの響きはナチュラルかつ爽やか。誇張のない密度の高い描写力を持ち、ヴォーカルもウェットで落ち着き良い。
165mmタービンコーン・ミッドレンジと2発のアルミ&ポリプロピレンコーン・ウーファーからなるフロア型R700では、オーケストラの奥行きも自然に展開し、管弦楽器の旋律は太く安定した描写となる。低域の沈み込みの深さ、高域の爽やかな浮き立ちの対比も良く、エアー感の表現も正確であり、音場の情報を位相良く引き出す。ヴォーカルもより重心が低く安定し、口元の潤いも自然に浮き上がる。
特にこの2モデルで感心したのはディストーションギターの質感と密度のリアルな再現性だ。粘りのある歪みのニュアンスまで抑揚良く描き出し、ロック音源の持つエナジーを脚色なくストレートに表現してくれる。アメリカらしいアプローチであると感じるとともに、西海岸とは違う音像の芯の厚み、ボディ感の充実サウンドであると感じた。
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