公開日 2023/09/27 06:30
ネットワークオーディオの世界を切り開いてきたfidataブランドより、第二世代オーディオサーバー/トランスポート「AS2」(型番:HFAS2-X40)が発売される。初代機の登場から8年、待望のフルモデルチェンジであり、現代のデジタル再生において必要な機能がすべて盛り込まれた意欲作だ。
単に第二世代というだけでなく商品グレードとしてより上位の位置づけとなる価格設定だけに、音質面での向上も著しい。ハイスペック音源やファイル再生を長年追求してきた僕が一番驚かされたのはまさにその音質的到達点である。
だがその音質について語る前に、まずは機能面での大幅なアップデートについても触れておこう。
CONTENTS
■AS2で追加された新しい機能 -Roonとストリーミング対応-
■ハードウェア的な進化点 -最新デバイスの搭載と入出力端子の追加-
■音質対策のポイント -オーディオ機器としてのグラウンドやノイズ対策-
■AS2の音質進化をチェック -UPnPサーバー/トランスポート/Roonサーバーの3パターンで-
まずはソフトウェア的な機能について、AS2は前モデル「AS1」(HFAS1シリーズ)が持つ機能のほとんどを踏襲しており、既存モデルで実現できたUPnP/OpenHome再生やDiretta Host機能、USB-DACと接続したネットワークトランスポート機能、CDドライブを接続してのリッピング機能などはもちろん引き継がれており、そこに新機能を追加する形で第二世代への進化を果たした。
その最大の目玉が、「Roonサーバー」機能だ。国内外のネットワークプレーヤーの多くに採用されているRoonの再生機能「Roon Ready」は、利用するためにRoonサーバーが別途必要となる。PCでもRoonサーバーを構築することはできるが、それには一定の知識が必要だ。やはりオーディオ専用機の方が簡単かつ、音質面でも有利なことは間違いない。fidataは第二世代で、新たに買ってすぐに使える “高品位なRoonサーバー” として生まれ変わったのだ。
Roonの要求する高い処理能力を実現するため、AS2ではRoonCoreの要件となるインテルのCore i3を搭載し、従来のfidata OS上にROCK(Roon Optimized Core Kit)を仮想OSとして搭載して両立を実現した。いうまでもないがRoonソフトウェアの契約は別途必要となるが、買ったその日から何の準備もなく使えるのだ。
もうひとつの目玉が、ストリーミングサービスへの対応だ。AS1同様にSpotify Connectに対応するほか、Roon上でQobuzとTIDALと連携できる。またAmazon musicへの対応も予告されており、先日のOTOTEN2023ではfidata Music AppからのAmazon music再生もデモンストレーションされていた。
この8年間、fidataはユーザーからの要望に応えて多くのアップデートを実現してきたが、この第二世代モデルにおいて、「Roon」と「ストリーミング」対応という大躍進を果たしたのだ。
次にハードウェア面での本体を眺めると、正面からでは前モデルのAS1とほとんど区別がつかない。しかし、シャーシの高さが5mm高くなるほか、持ち上げると重量が増しており、並べてみれば金属加工も異なっていることが分かる。実は、基本のシャーシデザインは踏襲しつつも改良されており、製造工場を変更することでビルドクオリティや天面の仕上げをさらに洗練させているそうだ。
内部のハードウェアは完全なフルモデルチェンジが実施されていることを改めて強調しておきたい。インテル社のプラットフォームを採用したことに加え、ストレージも変更された。AS2においては、2TBの容量を持った高速のM.2 NVMe SSDを2台ストライピング、合計4TBの超高速ストレージを搭載する。このパフォーマンスを最大限に生かすため、インテル製の10Gbps対応ネットワークコントローラーを搭載し、民生機器としては他に類を見ない超高速転送を実現した。AS1と比べるまでもなく、レスポンスおよびファイル伝送の両面で大幅なスピードアップが図られている。
背面に備わるインターフェースが大幅に増えたことも特筆すべき点だ。AS1は、RJ-45ポートが2系統とUSB-Aが1系統というシンプルなものだったが、今回はさまざまな接続方法に対応するべく入出力端子が豊富に用意されている。
LANポートは、前述の10G LANを含むRJ-45が2系統と、新たに光対応SFPポートを1ポート搭載。RJ-45のうちひとつは、基板を強固に接続する14点固定のDIPタイプのLANコネクターを採用しており、振動による悪影響を低減させたオーディオ向け端子となっている。合計3系統のLANポートを持ったことで、AS2は高品位なネットワークスイッチ(ハブ)としても利用できるようになった。
さらにUSBポートは、一気に3系統へ増設された。2系統は増設/バックアップ用のストレージや専用CDドライブ「AD10」を接続でき、もう1系統はオーディオグレードの電解コンデンサーを電源ラインに奢ったオーディオOUT用のUSBポートで、DAコンバーターとの接続に利用する。
オーディオOUT部ではさらに、AES/EBU、COAXIAL(同軸)、OPTICAL(光出力)の3端子が搭載された。これらの端子を利用することで、USB入力を持たないDAコンバーターとの組み合わせが可能となり、往年の銘機が備える可憐な音をデジタルファイル/ストリーミングと組み合わせて復活させることもできる。なんてオーディオライクな思想だろうと嬉しくなる。
そのほかに既存ユーザーとして嬉しいのは、複数台のfidataサーバーを1つのサーバーとして認識できるTwonkyServerの「アグリゲーション機能」が使えることだ。すでにファイル音源をたくさん所有しているユーザーほどこの恩恵は大きいだろう。どのサーバーに入っているかを意識することなく、ひとつのサーバーから自在に音楽にアクセスすることができるのだ。
UPnPサーバー/ネットワークトランスポートで前旗艦機と聴き比べ!
音質・機能ともに衝撃の進化、第二世代fidata・AS2の魅力を徹底試聴。Roonサーバーの音質もチェック
土方久明8年間のノウハウを総結集。第二世代fidataサーバーがついに登場!
ネットワークオーディオの世界を切り開いてきたfidataブランドより、第二世代オーディオサーバー/トランスポート「AS2」(型番:HFAS2-X40)が発売される。初代機の登場から8年、待望のフルモデルチェンジであり、現代のデジタル再生において必要な機能がすべて盛り込まれた意欲作だ。
単に第二世代というだけでなく商品グレードとしてより上位の位置づけとなる価格設定だけに、音質面での向上も著しい。ハイスペック音源やファイル再生を長年追求してきた僕が一番驚かされたのはまさにその音質的到達点である。
だがその音質について語る前に、まずは機能面での大幅なアップデートについても触れておこう。
CONTENTS
■AS2で追加された新しい機能 -Roonとストリーミング対応-
■ハードウェア的な進化点 -最新デバイスの搭載と入出力端子の追加-
■音質対策のポイント -オーディオ機器としてのグラウンドやノイズ対策-
■AS2の音質進化をチェック -UPnPサーバー/トランスポート/Roonサーバーの3パターンで-
AS2で追加された新しい機能 -Roonとストリーミング対応-
まずはソフトウェア的な機能について、AS2は前モデル「AS1」(HFAS1シリーズ)が持つ機能のほとんどを踏襲しており、既存モデルで実現できたUPnP/OpenHome再生やDiretta Host機能、USB-DACと接続したネットワークトランスポート機能、CDドライブを接続してのリッピング機能などはもちろん引き継がれており、そこに新機能を追加する形で第二世代への進化を果たした。
その最大の目玉が、「Roonサーバー」機能だ。国内外のネットワークプレーヤーの多くに採用されているRoonの再生機能「Roon Ready」は、利用するためにRoonサーバーが別途必要となる。PCでもRoonサーバーを構築することはできるが、それには一定の知識が必要だ。やはりオーディオ専用機の方が簡単かつ、音質面でも有利なことは間違いない。fidataは第二世代で、新たに買ってすぐに使える “高品位なRoonサーバー” として生まれ変わったのだ。
Roonの要求する高い処理能力を実現するため、AS2ではRoonCoreの要件となるインテルのCore i3を搭載し、従来のfidata OS上にROCK(Roon Optimized Core Kit)を仮想OSとして搭載して両立を実現した。いうまでもないがRoonソフトウェアの契約は別途必要となるが、買ったその日から何の準備もなく使えるのだ。
もうひとつの目玉が、ストリーミングサービスへの対応だ。AS1同様にSpotify Connectに対応するほか、Roon上でQobuzとTIDALと連携できる。またAmazon musicへの対応も予告されており、先日のOTOTEN2023ではfidata Music AppからのAmazon music再生もデモンストレーションされていた。
この8年間、fidataはユーザーからの要望に応えて多くのアップデートを実現してきたが、この第二世代モデルにおいて、「Roon」と「ストリーミング」対応という大躍進を果たしたのだ。
ハードウェア的な進化点 -最新デバイスの搭載と入出力端子の追加-
次にハードウェア面での本体を眺めると、正面からでは前モデルのAS1とほとんど区別がつかない。しかし、シャーシの高さが5mm高くなるほか、持ち上げると重量が増しており、並べてみれば金属加工も異なっていることが分かる。実は、基本のシャーシデザインは踏襲しつつも改良されており、製造工場を変更することでビルドクオリティや天面の仕上げをさらに洗練させているそうだ。
内部のハードウェアは完全なフルモデルチェンジが実施されていることを改めて強調しておきたい。インテル社のプラットフォームを採用したことに加え、ストレージも変更された。AS2においては、2TBの容量を持った高速のM.2 NVMe SSDを2台ストライピング、合計4TBの超高速ストレージを搭載する。このパフォーマンスを最大限に生かすため、インテル製の10Gbps対応ネットワークコントローラーを搭載し、民生機器としては他に類を見ない超高速転送を実現した。AS1と比べるまでもなく、レスポンスおよびファイル伝送の両面で大幅なスピードアップが図られている。
背面に備わるインターフェースが大幅に増えたことも特筆すべき点だ。AS1は、RJ-45ポートが2系統とUSB-Aが1系統というシンプルなものだったが、今回はさまざまな接続方法に対応するべく入出力端子が豊富に用意されている。
LANポートは、前述の10G LANを含むRJ-45が2系統と、新たに光対応SFPポートを1ポート搭載。RJ-45のうちひとつは、基板を強固に接続する14点固定のDIPタイプのLANコネクターを採用しており、振動による悪影響を低減させたオーディオ向け端子となっている。合計3系統のLANポートを持ったことで、AS2は高品位なネットワークスイッチ(ハブ)としても利用できるようになった。
さらにUSBポートは、一気に3系統へ増設された。2系統は増設/バックアップ用のストレージや専用CDドライブ「AD10」を接続でき、もう1系統はオーディオグレードの電解コンデンサーを電源ラインに奢ったオーディオOUT用のUSBポートで、DAコンバーターとの接続に利用する。
オーディオOUT部ではさらに、AES/EBU、COAXIAL(同軸)、OPTICAL(光出力)の3端子が搭載された。これらの端子を利用することで、USB入力を持たないDAコンバーターとの組み合わせが可能となり、往年の銘機が備える可憐な音をデジタルファイル/ストリーミングと組み合わせて復活させることもできる。なんてオーディオライクな思想だろうと嬉しくなる。
そのほかに既存ユーザーとして嬉しいのは、複数台のfidataサーバーを1つのサーバーとして認識できるTwonkyServerの「アグリゲーション機能」が使えることだ。すでにファイル音源をたくさん所有しているユーザーほどこの恩恵は大きいだろう。どのサーバーに入っているかを意識することなく、ひとつのサーバーから自在に音楽にアクセスすることができるのだ。