公開日 2024/01/11 06:30
2023年12月に創業50周年を迎えたサエクコマース。今後続々とアニバーサリーモデルが予定されているというが、その第1弾としてグラウンドスタビライザー「SGS-100」が発売された。
本機はいわゆる仮想アース器であり、昨年6月に発売された「SGS-042」の上位モデルという位置付けだ。SGS-042は鉱石をカーボン粉末で積層・凝固させた内部構造を取ることで、内蔵された特殊加工の高純度銅素材がノイズを吸収することと合わせ、マイナスイオン発生による効果が加味されていた。
対してこのSGS-100は、ミルフィーユ状に積層した金属プレートを新たに新開発し、内蔵。特殊加工の高純度銅素材との2段構えにすることで、より強力なノイズ除去を実現すると共に、安定したグラウンド電位を達成しているのがセールスポイントだ。
本機は機械加工に頼らず、熟練したスペシャリストによって一品ずつ調整、製造される。その製造プロセスは12工程/約40日を要するというから驚きだ。
本体はズシリと重たい。2kg近い重量だ。205mmの全幅を始め、サイズもSGS-042に比べて一回り以上大きく見える。価格も税込で418,000円と、SGS-042の倍近い価格となる。
使い方は至極簡単。アンプやフォノイコライザーなどに設けられたアース端子に接続するだけだ。なお、本機はアースケーブル(接続ケーブル)を付属していないので、同社または他社から市販されている様々なタイプのアースケーブルを使うことで、アース端子以外にも他のコネクター/端子との接続が可能となる。
試聴はまずターンテーブルのアース端子に接続して行なった(イコライザーアンプのアースと並列接続)。一聴してわかるのは、圧倒的な静けさ、S/N感の向上だ。また一方では、重心が下がってエネルギーバランスが安定する。クラシックでは一層重厚なスケール感が醸し出された。
加えて、音像の明瞭度が格段に上がる。ヴォーカルやソロ楽器の音像が一段と鮮明になり、バッキングからグッと克明に迫り出すのである。それに伴って音像の前後感、ひいてはステレオイメージの中の情報の鮮明さや左右の定位位置が一段とクリアに見通せるようになるのだ。
続いてプリアンプの空き端子に、RCAプラグタイプのアース線(SAECの「SE-400」)を介して接続した。この状態でCDやハイレゾコンテンツを聴いてみたが、微細な情報がより明瞭になる印象。音場のクリアネス向上と共に、ステレオイメージの奥のさらに奥の方まで見通せるようになったのがわかる。
ヴォーカル音像はよりシャープにピントが合ったかのようで、伴奏との前後の距離感が立体的に感じられるようになった。被写界深度はよりクリアで、この明瞭度の差は極めて大きいと感じた。
試しに外してみると、途端にこじんまりとして萎縮したような音場感になった。ダイナミックレンジも狭まるように聴こえる。
◇
仮想アースのブームも、ここにきて少し落ち着いてきた感がある。それは成熟期に差し掛ったと見ることもできるが、そうなると状況や音の好みに応じて選ぶ流れが出てくるかもしれない。そこでは、グラウンド電位の安定化をねらっていかに接地部の表面積を増やすかというアプローチや、金属素材の違いや材料の工夫によって音色のコントロールをするかという方向性も模索されよう。
そうした点でSGS-100を見ると、既発のSGS-042に比べて大面積化によってグラウンド電位の強化が図られているし、金属の使い分けによってノイズ除去力にも新たに工夫が凝らされたわけだ。
次のステージに向かう仮想アース市場の中で、SGS-100は確かな効き目と主張を持たせることができたといっていいだろう。価格面で手が出しにくい方は、よりコンパクトなSGS-042もぜひ試してほしい。
(提供:サエクコマース)
【特別企画】ブランド50周年モデル第一弾
SAECの“ビッグサイズ”仮想アース「SGS-100」レビュー。新開発の金属プレートで安定したグラウンド電位を獲得
小原由夫創業50周年記念モデル、第1弾は“ビッグサイズ”仮想アース
2023年12月に創業50周年を迎えたサエクコマース。今後続々とアニバーサリーモデルが予定されているというが、その第1弾としてグラウンドスタビライザー「SGS-100」が発売された。
本機はいわゆる仮想アース器であり、昨年6月に発売された「SGS-042」の上位モデルという位置付けだ。SGS-042は鉱石をカーボン粉末で積層・凝固させた内部構造を取ることで、内蔵された特殊加工の高純度銅素材がノイズを吸収することと合わせ、マイナスイオン発生による効果が加味されていた。
対してこのSGS-100は、ミルフィーユ状に積層した金属プレートを新たに新開発し、内蔵。特殊加工の高純度銅素材との2段構えにすることで、より強力なノイズ除去を実現すると共に、安定したグラウンド電位を達成しているのがセールスポイントだ。
本機は機械加工に頼らず、熟練したスペシャリストによって一品ずつ調整、製造される。その製造プロセスは12工程/約40日を要するというから驚きだ。
本体はズシリと重たい。2kg近い重量だ。205mmの全幅を始め、サイズもSGS-042に比べて一回り以上大きく見える。価格も税込で418,000円と、SGS-042の倍近い価格となる。
使い方は至極簡単。アンプやフォノイコライザーなどに設けられたアース端子に接続するだけだ。なお、本機はアースケーブル(接続ケーブル)を付属していないので、同社または他社から市販されている様々なタイプのアースケーブルを使うことで、アース端子以外にも他のコネクター/端子との接続が可能となる。
音場のクリアネスが向上、ステレオイメージのさらに奥を見通せる
試聴はまずターンテーブルのアース端子に接続して行なった(イコライザーアンプのアースと並列接続)。一聴してわかるのは、圧倒的な静けさ、S/N感の向上だ。また一方では、重心が下がってエネルギーバランスが安定する。クラシックでは一層重厚なスケール感が醸し出された。
加えて、音像の明瞭度が格段に上がる。ヴォーカルやソロ楽器の音像が一段と鮮明になり、バッキングからグッと克明に迫り出すのである。それに伴って音像の前後感、ひいてはステレオイメージの中の情報の鮮明さや左右の定位位置が一段とクリアに見通せるようになるのだ。
続いてプリアンプの空き端子に、RCAプラグタイプのアース線(SAECの「SE-400」)を介して接続した。この状態でCDやハイレゾコンテンツを聴いてみたが、微細な情報がより明瞭になる印象。音場のクリアネス向上と共に、ステレオイメージの奥のさらに奥の方まで見通せるようになったのがわかる。
ヴォーカル音像はよりシャープにピントが合ったかのようで、伴奏との前後の距離感が立体的に感じられるようになった。被写界深度はよりクリアで、この明瞭度の差は極めて大きいと感じた。
試しに外してみると、途端にこじんまりとして萎縮したような音場感になった。ダイナミックレンジも狭まるように聴こえる。
仮想アースのブームも、ここにきて少し落ち着いてきた感がある。それは成熟期に差し掛ったと見ることもできるが、そうなると状況や音の好みに応じて選ぶ流れが出てくるかもしれない。そこでは、グラウンド電位の安定化をねらっていかに接地部の表面積を増やすかというアプローチや、金属素材の違いや材料の工夫によって音色のコントロールをするかという方向性も模索されよう。
そうした点でSGS-100を見ると、既発のSGS-042に比べて大面積化によってグラウンド電位の強化が図られているし、金属の使い分けによってノイズ除去力にも新たに工夫が凝らされたわけだ。
次のステージに向かう仮想アース市場の中で、SGS-100は確かな効き目と主張を持たせることができたといっていいだろう。価格面で手が出しにくい方は、よりコンパクトなSGS-042もぜひ試してほしい。
(提供:サエクコマース)