公開日 2024/04/05 06:30
サブウーファーといえばホームシアター、と即答する人は多いはず。確かにそうだが、サブウーファーはステレオシステムでも力を発揮することは見過ごされがちだ。たとえば、デスクトップオーディオと呼ばれるコンパクトな2chシステム。住宅事情など様々な理由で低音再生に悩みを抱えているのなら、いい処方箋となるだろう。
そのサブウーファーをどう選ぶか。最終的には「音」で決めるにしても、一般的なスピーカーとは訳が違う。ドライバー径やストローク長が低音の量感を推測する物差しになるとして、内蔵パワーアンプの種類や出力に目を配らなければならない。メインスピーカーとの役割分担を決めるためにも、クロスオーバー周波数の把握は必須だ。
本稿で紹介するAIRPULSE「SW8」は、2chシステムでの利用を強く意識したサブウーファー。ドライバーはダウンファイヤー型の径200mmロングストローク、それをアナログ・プリアンプと160W Class-Dアンプで駆動するという設計は、同社のアクティブスピーカーとの組み合わせを想定しているが、入力はRCAステレオ(LchはLFE)だから幅広いシステムに対応できる。
注目すべきは、やはりそのテイストだろう。世界中のミュージシャンから支持されるベースアンプブランド「PJB(PHIL JONES BASS)」の創業者・Phil Jones氏率いるAIRPULSEエンジニアチームが設計、ベースアンプで培ったノウハウを投入している。彼の豊富な経験に裏付けられたチューニングが、彼ならではのベースサウンドが、既存の2chシステムに追加するだけで堪能できるというわけだ。
SW8の試聴には、AIRPULSEのアクティブスピーカー「A80」「A100 HD MONITOR」「SM200」を組み合わせた。内蔵のUSB- DAC(A80は96kHz/24bit、A100 HD MONITORは192kHz/24bit)にPCとスマートフォンを接続、SM200はUSB-DACを内蔵していないためヤマハ「R-N800A」を組み合わせて試聴を実施。Amazon Musicのストリーミング再生を中心に検証を行った。
まずはA80と組み合わせて試聴。Vulfpeck「Disco Ulysses」は、ジョー・ダートのベースがキマるかどうかが全てと言っていい曲、サブウーファーの有ると無しでは完全に別モノだ。SW8をミュート状態にすると、ジョー・ダートはステージの奥のほうへ引っ込んでしまい、SW8のボリュームを上げていくと本来のグルーブ感を取り戻す。サウンドステージがより広く、より自然に感じられることも指摘しておきたい。
演奏本来のニュアンスが出るという点では、ドラムも同様だ。長年筆者のリファレンス曲を務めるSteely Dan「Babylon Sisters」は、冒頭のバーナード・パーディーのプレイが音楽的な面と音質的な面の両方の意味で強い印象を持つが、これが実にキレがいい。サブウーファーだけあって低域/バスドラムの量感が増すことはもちろんだが、スネアの印象も一変する。余韻がより繊細に、より自然に響くように感じるのだ。
A100 HD MONITORについても、傾向は同じ。最適と感じるクロスオーバー設定値に差はあるものの、SW8有りのほうがサウンドステージは広く、本来あるべき音と感じる。ただ低域の量感が増すだけでなく、音場の広がりや音の輪郭の精緻さにもプラスに作用することは、サブウーファーというコンポの再認識につながる。今回はテストしていないが、バスレフポートを備えるA80やA100 HD MONITORであっても確かな効果を感じるのだから、密閉型と組み合わせたときの効果はなおさらだろう。
Phil Jonesのベースアンプブランドのテイストが活きる
サブウーファー「SW8」はステレオ再生の可能性を広げる!AIRPULSEのアクティブスピーカー3機種で徹底レビュー
海上 忍■PHIL JONES BASSのテイストを2.1chに組み込める
サブウーファーといえばホームシアター、と即答する人は多いはず。確かにそうだが、サブウーファーはステレオシステムでも力を発揮することは見過ごされがちだ。たとえば、デスクトップオーディオと呼ばれるコンパクトな2chシステム。住宅事情など様々な理由で低音再生に悩みを抱えているのなら、いい処方箋となるだろう。
そのサブウーファーをどう選ぶか。最終的には「音」で決めるにしても、一般的なスピーカーとは訳が違う。ドライバー径やストローク長が低音の量感を推測する物差しになるとして、内蔵パワーアンプの種類や出力に目を配らなければならない。メインスピーカーとの役割分担を決めるためにも、クロスオーバー周波数の把握は必須だ。
本稿で紹介するAIRPULSE「SW8」は、2chシステムでの利用を強く意識したサブウーファー。ドライバーはダウンファイヤー型の径200mmロングストローク、それをアナログ・プリアンプと160W Class-Dアンプで駆動するという設計は、同社のアクティブスピーカーとの組み合わせを想定しているが、入力はRCAステレオ(LchはLFE)だから幅広いシステムに対応できる。
注目すべきは、やはりそのテイストだろう。世界中のミュージシャンから支持されるベースアンプブランド「PJB(PHIL JONES BASS)」の創業者・Phil Jones氏率いるAIRPULSEエンジニアチームが設計、ベースアンプで培ったノウハウを投入している。彼の豊富な経験に裏付けられたチューニングが、彼ならではのベースサウンドが、既存の2chシステムに追加するだけで堪能できるというわけだ。
SW8の試聴には、AIRPULSEのアクティブスピーカー「A80」「A100 HD MONITOR」「SM200」を組み合わせた。内蔵のUSB- DAC(A80は96kHz/24bit、A100 HD MONITORは192kHz/24bit)にPCとスマートフォンを接続、SM200はUSB-DACを内蔵していないためヤマハ「R-N800A」を組み合わせて試聴を実施。Amazon Musicのストリーミング再生を中心に検証を行った。
■「A80」と組み合わせ<繊細でキレがよく自然な響き>
まずはA80と組み合わせて試聴。Vulfpeck「Disco Ulysses」は、ジョー・ダートのベースがキマるかどうかが全てと言っていい曲、サブウーファーの有ると無しでは完全に別モノだ。SW8をミュート状態にすると、ジョー・ダートはステージの奥のほうへ引っ込んでしまい、SW8のボリュームを上げていくと本来のグルーブ感を取り戻す。サウンドステージがより広く、より自然に感じられることも指摘しておきたい。
演奏本来のニュアンスが出るという点では、ドラムも同様だ。長年筆者のリファレンス曲を務めるSteely Dan「Babylon Sisters」は、冒頭のバーナード・パーディーのプレイが音楽的な面と音質的な面の両方の意味で強い印象を持つが、これが実にキレがいい。サブウーファーだけあって低域/バスドラムの量感が増すことはもちろんだが、スネアの印象も一変する。余韻がより繊細に、より自然に響くように感じるのだ。
■「A100 HD MONITOR」と組み合わせ<音場の広がりと音の輪郭の精緻さが増す>
A100 HD MONITORについても、傾向は同じ。最適と感じるクロスオーバー設定値に差はあるものの、SW8有りのほうがサウンドステージは広く、本来あるべき音と感じる。ただ低域の量感が増すだけでなく、音場の広がりや音の輪郭の精緻さにもプラスに作用することは、サブウーファーというコンポの再認識につながる。今回はテストしていないが、バスレフポートを備えるA80やA100 HD MONITORであっても確かな効果を感じるのだから、密閉型と組み合わせたときの効果はなおさらだろう。