公開日 2024/04/29 06:30
ハイレゾストリーミングが再生ソースの主流となりつつあるなか、大注目すべきネットワークプレーヤーEversolo「DMP-A8」が日本に上陸した。
Eversoloはブライトーンがこのたび取り扱いを始めた中国・深センのハイファイブランド。ブランドとしては新進だが、創設メンバーは業界で豊富な経験を積んできたプロフェッショナル達で、研究開発に非常に力を入れているらしい。本国サイトを見るとネットワークプレーヤーの他にDACやパワーアンプもラインナップしているようだ。
今回輸入が開始された「DMP-A8」は同社の多機能ネットワークプレーヤー「DMPストリーマー」シリーズのトップエンド。これでもかというほどハイレベルな内容と豊富な機能を誇るモデルである。
航空用アルミニウムをCNC加工した筐体は非常に堅牢で、システム回路とオーディオ回路それぞれに独立した電源部を搭載。プリアンプ部は伊達ではなく、高精度の抵抗とリレーで構成されるR-2Rアナログボリュームを採用した、+10dbのアナログゲインを備える(この価格帯でまさかの)フルバランス。
底部のM.2 NVMe SSDスロットに最大4TBのSSDを取り付けて内蔵ストレージとして使えるし、USBポートを介して外部ストレージデバイスを接続することもできる。
操作性も非常にいい。本体フロントの大型の6インチ高解像度タッチスクリーンだけでなく、Android/iPhone/iPad対応の専用アプリ「Eversolo Control」でも操作が可能。
しかし「DMP-A8」でなんといっても注目すべきは「Apple MusicをAirPlayによらずに再生できる点」であろう。
「DMP-A8」はAndroid OSを搭載することで、Apple Musicや Amazon MusicだけでなくTIDALや Qobuz、Spotify等多くのストリーミングサービスにも対応しているのだが、自社開発のEOS(=Eversolo Original Sampling-rate)オーディオエンジンを採用することでAndroid SRC制限を完全にバイパス。これにより「DMP-A8」は、Apple Musicの「ハイレゾロスレス」アルバムを「その本来のスペック」で再生できるのである。ピュアオーディオグレードの据置型ネットワークプレーヤーとしては我が国初ではないか。
そこでまず「DMP-A8」で従来通り、AirPlayを使ってApple Musicを聴いてみよう。試聴するアルバムは宇多田ヒカル『BADモード』、カミーユ・トマ『The Chopin Project:Trilogy』、そしてレギス・ハビー他『Reminiscence - Live at Livio Felluga Winery』の3つである。
どのアルバムもiPhoneのApple Musicアプリ上は「ハイレゾロスレス」と表示されているが、AirPlayなので実際は44.1kHz/16bitにて再生していることが「DMP-A8」本体前面パネルで確認できる。
次、AirPlayを使わずにApple Musicを再生してみよう。手順は簡単、
(1)「DMP-A8」本体ホーム画面で「Streaming」(言語設定で日本語を選択すると「仕える」と表記される)をタッチ
(2)表示された「Streaming」画面を下にスクロールして「Music Apps」内にある「Apple Music」ダウンロードアイコンをクリックしてインストール
(3)インストール完了後クリックしてApple Musicを開始
(4)ユーザー契約の1番下までスクロールし、「Try It Now」をクリック、右上隅から「Sign In」手続きへ
以上である。
AirPlayではなくEversoloコントロールアプリ経由で再生する試聴アルバムはすべて「96kHz/24bit」。かなりのビッグサイズだった宇多田ヒカルのヴォーカル音像はギュギュッと小さくなり、密度感・立体感が劇的に向上。カミーユ・トマは明らかにノイズフロアが下がった音場空間に彫り深さを増したチェロの胴鳴りが拡がり消えてゆくさまが、AirPlayでの再生時より明らかに精緻。レギス・ハビーもヴァイオリン、ベース、パーカッション、そして各種電子音の音像が解像度と立体度を増して展開する。ハイレゾ化の効果はあまりにも明らかだ。AirPlayにはもう戻れない…。
上述の通り「DMP-A8」はTIDALやQobuz等、他のストリーミングサービスにも対応しているが、今回はApple Musicと並んでストリーミング二大巨頭の一角を占めるAmazon Musicで同じアルバムを聴いてみよう。「DMP-A8」でなら、ハイレゾ・同一スペックでの比較試聴が可能なのだ。
Amazon MusicもApple Musicと同様の手順で再生できる。上記(2)「Music Apps」にて「Amazon Music」ダウンロードアイコンを選んでインストールすればよい。
同一のハイレゾスペックで両ストリーミングを比較試聴するのは初めてだったが、想像していたよりも違いがずっと大きかった。宇多田ヒカルはハイレゾで聴いたApple Music同様ヴォーカル音像が適正サイズで密度感・立体感ともに高い。しかしAmazon Musicの方が音像がソリッド寄りで、音調にはメリハリが立つ。
カミーユ・トマでもチェロとピアノがややソリッドで、チェロの音像は手前方向に迫る。レギス・ハビーはベースもパーカッションも音像が強い。そして音場はどちらかというと前後より上下・左右方向に広く展開。どの録音でも間接音の豊かさより直接音の充実に聴き手の意識を向かわせる印象である。
さて、今まで「DMP-A8」内蔵のDACでDA変換した音を聴いてきた。価格がとても信じられないほどの高音質だったがそれもそのはず、内蔵DACはAKMの「AK4499EX+AK4191EQ」からなるデジタル・アナログセパレート方式を採用した非常に高性能なものだし、超低位相ノイズのフェムト秒精度クロックも搭載している。
だが「DMP-A8」はDACを内蔵するネットワークプレーヤーとしては異例なほどデジタル出力端子が充実しているので、外部DACに出力してネットワークトランスポートとしての性能もチェックしてみよう。
今回は外部DACとしてアキュフェーズの一体型SACDプレーヤー「DP-770」をチョイス。「DMP-A8」背面デジタル出力端子中、すぐ下に「USB(AUDIO OUT)」と書いてある方のUSB-A端子からの出力を、「DP-770」のUSB-B入力端子で受ける形で繋ぐ。Apple Musicで聴いてみる。
宇多田ヒカルはタイトル曲「BADモード」冒頭のため息が実に生々しい!その他ヴォーカルのエコーやドラムス等各音像も精度を増して3次元的に定位する。カミーユ・トマはピアノの左手と右手の音像の分離が向上。そしてピアノもチェロも低音がより深く沈み込む。ノイズフロアがグググっと大きく下がったからであろう、レギス・ハビーはパーカッションの残響音が拡がり消えてゆくさまが非常に明瞭なので、それに伴ってライブ録音会場となったワインセラー独特の音響がきわめて克明に伝わってくる。
DACとしての「DP-770」の優秀さに驚かされたと同時に、「DMP-A8」はこのようにハイエンドな外部DACと組み合わせても十二分に対応できる、きわめて優秀なネットワークトランスポートでもあることがわかった。
では最後、今までネットワークプレーヤーあるいはトランスポートとして使ってきた「DMP-A8」を「プリアンプとしても」使ってみよう。高価格プリメインアンプに押されて50万円以下のセパレートアンプがめっきり少なくなってしまったこのご時世にあって、「DMP-A8」内蔵プリアンプはまさかのフルバランス構成でボリューム部にも手抜きがないのだから、聴かない手はないのである。
せっかくなので、2024年1月にリリースされたアプリ、Apple Music Classicalで試聴してみよう。「マーラー」で検索すると、「作曲者グスタフ・マーラー」が出てくる。「有名な作品」トップに出てきた「交響曲第5番嬰ハ短調」を選ぶと、曲の解説に続いてレコーディング一覧が出てくる。その中から「2022年録音のドゥダメル指揮、ベルリン・フィル」を選ぶ。なるほど、クラシックに特化したアプリだけのことはある。音源を探しやすい。
このアルバムをまずアキュフェーズ「C-3900」をプリとして聴いたあと、本体ホーム画面「Settings-Audio-XLR/RCA output」から「Volume pass through mode」をOFFにし、「DMP-A8」のアナログXLR出力端子からアキュフェーズのパワーアンプ「P-7500」の入力端子に繋いで同アルバムを聴いてみる。
「C-3900」と比べてしまうとさすがに厳しいが、特定の帯域を強調せず質感の硬軟・音色の明暗バランスに偏りがないし、S/Nと音場の表現力はこの価格のネットワークプレーヤー内蔵プリとしては破格だ。
しかも入力・出力ともにRCA/XLR端子を装備しているので、なんなら単体プリアンプとしても使える「DMP-A8」。またネットワークプレーヤー・トランスポートともにACアダプター電源の製品が多いなか、「DMP-A8」はIECインレットなので、選択肢が多い電源ケーブルによるグレードアップが可能なのも見逃せない魅力だ。きわめて高いコスパを誇るネットワークプレーヤーと言えるだろう。
【編集部注】
2024年5月31日ご注文分まで、税込300,000円にて購入できる特別キャンペーンを実施中。ご興味おある方は早めに販売店等にご相談を。
(提供:ブライトーン)
Android OS搭載、プリアンプとしても優秀な多機能プレーヤー
Apple Musicも聴ける高コスパ ネットワークプレーヤーeversolo「DMP-A8」。音質と使いこなしを徹底検証
園田洋世深セン発の多機能ネットワークプレーヤーが日本初上陸
ハイレゾストリーミングが再生ソースの主流となりつつあるなか、大注目すべきネットワークプレーヤーEversolo「DMP-A8」が日本に上陸した。
Eversoloはブライトーンがこのたび取り扱いを始めた中国・深センのハイファイブランド。ブランドとしては新進だが、創設メンバーは業界で豊富な経験を積んできたプロフェッショナル達で、研究開発に非常に力を入れているらしい。本国サイトを見るとネットワークプレーヤーの他にDACやパワーアンプもラインナップしているようだ。
今回輸入が開始された「DMP-A8」は同社の多機能ネットワークプレーヤー「DMPストリーマー」シリーズのトップエンド。これでもかというほどハイレベルな内容と豊富な機能を誇るモデルである。
航空用アルミニウムをCNC加工した筐体は非常に堅牢で、システム回路とオーディオ回路それぞれに独立した電源部を搭載。プリアンプ部は伊達ではなく、高精度の抵抗とリレーで構成されるR-2Rアナログボリュームを採用した、+10dbのアナログゲインを備える(この価格帯でまさかの)フルバランス。
底部のM.2 NVMe SSDスロットに最大4TBのSSDを取り付けて内蔵ストレージとして使えるし、USBポートを介して外部ストレージデバイスを接続することもできる。
操作性も非常にいい。本体フロントの大型の6インチ高解像度タッチスクリーンだけでなく、Android/iPhone/iPad対応の専用アプリ「Eversolo Control」でも操作が可能。
しかし「DMP-A8」でなんといっても注目すべきは「Apple MusicをAirPlayによらずに再生できる点」であろう。
「DMP-A8」はAndroid OSを搭載することで、Apple Musicや Amazon MusicだけでなくTIDALや Qobuz、Spotify等多くのストリーミングサービスにも対応しているのだが、自社開発のEOS(=Eversolo Original Sampling-rate)オーディオエンジンを採用することでAndroid SRC制限を完全にバイパス。これにより「DMP-A8」は、Apple Musicの「ハイレゾロスレス」アルバムを「その本来のスペック」で再生できるのである。ピュアオーディオグレードの据置型ネットワークプレーヤーとしては我が国初ではないか。
AirPlayと本体再生でApple Musicを比較試聴
そこでまず「DMP-A8」で従来通り、AirPlayを使ってApple Musicを聴いてみよう。試聴するアルバムは宇多田ヒカル『BADモード』、カミーユ・トマ『The Chopin Project:Trilogy』、そしてレギス・ハビー他『Reminiscence - Live at Livio Felluga Winery』の3つである。
どのアルバムもiPhoneのApple Musicアプリ上は「ハイレゾロスレス」と表示されているが、AirPlayなので実際は44.1kHz/16bitにて再生していることが「DMP-A8」本体前面パネルで確認できる。
次、AirPlayを使わずにApple Musicを再生してみよう。手順は簡単、
(1)「DMP-A8」本体ホーム画面で「Streaming」(言語設定で日本語を選択すると「仕える」と表記される)をタッチ
(2)表示された「Streaming」画面を下にスクロールして「Music Apps」内にある「Apple Music」ダウンロードアイコンをクリックしてインストール
(3)インストール完了後クリックしてApple Musicを開始
(4)ユーザー契約の1番下までスクロールし、「Try It Now」をクリック、右上隅から「Sign In」手続きへ
以上である。
AirPlayではなくEversoloコントロールアプリ経由で再生する試聴アルバムはすべて「96kHz/24bit」。かなりのビッグサイズだった宇多田ヒカルのヴォーカル音像はギュギュッと小さくなり、密度感・立体感が劇的に向上。カミーユ・トマは明らかにノイズフロアが下がった音場空間に彫り深さを増したチェロの胴鳴りが拡がり消えてゆくさまが、AirPlayでの再生時より明らかに精緻。レギス・ハビーもヴァイオリン、ベース、パーカッション、そして各種電子音の音像が解像度と立体度を増して展開する。ハイレゾ化の効果はあまりにも明らかだ。AirPlayにはもう戻れない…。
Amazon Musicもチェック。Appleとの音質差は?
上述の通り「DMP-A8」はTIDALやQobuz等、他のストリーミングサービスにも対応しているが、今回はApple Musicと並んでストリーミング二大巨頭の一角を占めるAmazon Musicで同じアルバムを聴いてみよう。「DMP-A8」でなら、ハイレゾ・同一スペックでの比較試聴が可能なのだ。
Amazon MusicもApple Musicと同様の手順で再生できる。上記(2)「Music Apps」にて「Amazon Music」ダウンロードアイコンを選んでインストールすればよい。
同一のハイレゾスペックで両ストリーミングを比較試聴するのは初めてだったが、想像していたよりも違いがずっと大きかった。宇多田ヒカルはハイレゾで聴いたApple Music同様ヴォーカル音像が適正サイズで密度感・立体感ともに高い。しかしAmazon Musicの方が音像がソリッド寄りで、音調にはメリハリが立つ。
カミーユ・トマでもチェロとピアノがややソリッドで、チェロの音像は手前方向に迫る。レギス・ハビーはベースもパーカッションも音像が強い。そして音場はどちらかというと前後より上下・左右方向に広く展開。どの録音でも間接音の豊かさより直接音の充実に聴き手の意識を向かわせる印象である。
外部DACを接続しトランスポートとしての性能を確認
さて、今まで「DMP-A8」内蔵のDACでDA変換した音を聴いてきた。価格がとても信じられないほどの高音質だったがそれもそのはず、内蔵DACはAKMの「AK4499EX+AK4191EQ」からなるデジタル・アナログセパレート方式を採用した非常に高性能なものだし、超低位相ノイズのフェムト秒精度クロックも搭載している。
だが「DMP-A8」はDACを内蔵するネットワークプレーヤーとしては異例なほどデジタル出力端子が充実しているので、外部DACに出力してネットワークトランスポートとしての性能もチェックしてみよう。
今回は外部DACとしてアキュフェーズの一体型SACDプレーヤー「DP-770」をチョイス。「DMP-A8」背面デジタル出力端子中、すぐ下に「USB(AUDIO OUT)」と書いてある方のUSB-A端子からの出力を、「DP-770」のUSB-B入力端子で受ける形で繋ぐ。Apple Musicで聴いてみる。
宇多田ヒカルはタイトル曲「BADモード」冒頭のため息が実に生々しい!その他ヴォーカルのエコーやドラムス等各音像も精度を増して3次元的に定位する。カミーユ・トマはピアノの左手と右手の音像の分離が向上。そしてピアノもチェロも低音がより深く沈み込む。ノイズフロアがグググっと大きく下がったからであろう、レギス・ハビーはパーカッションの残響音が拡がり消えてゆくさまが非常に明瞭なので、それに伴ってライブ録音会場となったワインセラー独特の音響がきわめて克明に伝わってくる。
DACとしての「DP-770」の優秀さに驚かされたと同時に、「DMP-A8」はこのようにハイエンドな外部DACと組み合わせても十二分に対応できる、きわめて優秀なネットワークトランスポートでもあることがわかった。
フルバランスのプリ機能も搭載
では最後、今までネットワークプレーヤーあるいはトランスポートとして使ってきた「DMP-A8」を「プリアンプとしても」使ってみよう。高価格プリメインアンプに押されて50万円以下のセパレートアンプがめっきり少なくなってしまったこのご時世にあって、「DMP-A8」内蔵プリアンプはまさかのフルバランス構成でボリューム部にも手抜きがないのだから、聴かない手はないのである。
せっかくなので、2024年1月にリリースされたアプリ、Apple Music Classicalで試聴してみよう。「マーラー」で検索すると、「作曲者グスタフ・マーラー」が出てくる。「有名な作品」トップに出てきた「交響曲第5番嬰ハ短調」を選ぶと、曲の解説に続いてレコーディング一覧が出てくる。その中から「2022年録音のドゥダメル指揮、ベルリン・フィル」を選ぶ。なるほど、クラシックに特化したアプリだけのことはある。音源を探しやすい。
このアルバムをまずアキュフェーズ「C-3900」をプリとして聴いたあと、本体ホーム画面「Settings-Audio-XLR/RCA output」から「Volume pass through mode」をOFFにし、「DMP-A8」のアナログXLR出力端子からアキュフェーズのパワーアンプ「P-7500」の入力端子に繋いで同アルバムを聴いてみる。
「C-3900」と比べてしまうとさすがに厳しいが、特定の帯域を強調せず質感の硬軟・音色の明暗バランスに偏りがないし、S/Nと音場の表現力はこの価格のネットワークプレーヤー内蔵プリとしては破格だ。
しかも入力・出力ともにRCA/XLR端子を装備しているので、なんなら単体プリアンプとしても使える「DMP-A8」。またネットワークプレーヤー・トランスポートともにACアダプター電源の製品が多いなか、「DMP-A8」はIECインレットなので、選択肢が多い電源ケーブルによるグレードアップが可能なのも見逃せない魅力だ。きわめて高いコスパを誇るネットワークプレーヤーと言えるだろう。
【編集部注】
2024年5月31日ご注文分まで、税込300,000円にて購入できる特別キャンペーンを実施中。ご興味おある方は早めに販売店等にご相談を。
(提供:ブライトーン)