公開日 2024/12/23 06:35
VGP2025「金賞」受賞の実力を検証
価格を忘れる高音質!Bluesoundの“超ハイコスパ”ストリーマー「NODE NANO」レビュー
岩井 喬
高音質なストリーミング再生向けのオーディオ機器を展開してきたBluesoundブランドから、機能そのまま、ハイコスパを実現した「NODE NANO」が登場した。今年のVGP2025においても、「ライフスタイル分科会」と「ピュアオーディオ部会」の両方で“金賞”を獲得している。音質も機能も妥協なし、最新「NODE NANO」のサウンドを徹底検証する。
近年のハイレゾストリーマー人気の火付け役といえるのがBluesoundの「NODE」である。B5サイズほどの設置場所におけるコンパクトな筐体で、デスクトップユースとしても活用できるヘッドホン端子を装備、スマートな機能性もあって人気を博しており、NODEを強化した限定モデル「NODE X」や、アンプ内蔵のハイブリッドモデル「POWERNODE EDGE」などNODEファミリーも充実化してきた。
そしてこの秋、NODEファミリーに待望の新エントリーモデル「NODE NANO」が誕生。筐体はNODEよりさらに小さくなり、CDジャケットサイズほどと、大幅な小型化を実現した。こちらは、壁掛けも可能である。
小型化すると機能性も省略されていると思われがちだが、基本的なストリーマーとしての能力はそのまま維持されている。しかも最新世代ということもあり、アップデートされた機能がいくつも存在する。
まず音質の核となるDACチップはESS製「ES9038Q2M」を搭載。NODE XもESS製のチップであったが、そちらは「ES9028Q2M」であったので、より新しいものへ刷新されている。
さらに192kHz/24bit・PCMまでとMQAファイル再生に加え、USB-A端子に接続したUSBメモリや、同一ネットワーク内のサーバーなど、ローカル環境からのファイル再生においてはDSDについても11.2MHzまで再生できるようになった(PCM変換再生)。またBluetooth対応コーデックについてもaptX HDからaptX Adaptiveの送受信対応にアップデートしている。
既存のNODEファミリーから継続となる機能性についてであるが、ストリーミングに関してはハイレゾ対応のAmazon Music Unlimitedや、国内サービスが開始されたQobuz、そしてDeezerやSpotifyなどにも対応。
加えてTuneInやCalm Radioなどのインターネットラジオを楽しむことができる他、Bluesound製品限定の機能としてMQA版と比較できる音源を無料で聴けるRadio Paradiseも選局可能である。またAirPlay2にも引き続き対応。有線LAN/Wi-Fiともに利用でき、同一ネットワーク内のストレージからファイルを再生するネットワークプレーヤーとしても使用できる。
変更点としてはHDMI端子が省略され、電源入力はメガネ端子からUSB type-C端子を用いたDC供給(USB電源アダプターが同梱)へと変わった。音声系入出力はRCAアナログ出力と、同軸・光デジタル出力、HDDやUSBメモリ用にUSB-A端子が引き続き用意されている。
スマートなタッチセンサー式操作パネルも継承されており、素早く指定のソースを楽しめる2パターンのクイックタッチ・プリセットも装備。小型化と使い勝手の両立を目指した仕様へと進化している。
頭脳となるCPUには、他のNODEファミリーと同じ、クアッドコア1.8GHzのARM製「Cortex A53プロセッサ」を搭載。Bluesoundのストリーマーならではの快適な操作性を実現する専用アプリ「BluOS」にも、もちろん対応している。レスポンス良く直感的に操作できるGUIや、対応しているストリーミングサービスとのシームレスな連携性、そして安定度の高さが特徴であり、数あるストリーマーの中でも屈指の操作性を誇る。
この「BluOS」を軸として、ストリーミングサービスも、各々の専用アプリに移行しなくとも、一元的に操作できる他、同一ネットワーク内のストレージに保存されている音源についても簡単にアクセス可能だ。
試聴ではまずQobuzを使い、ハイレゾストリーミングで確認してみる。音像の輪郭を明瞭に引き出しつつも、質感を滑らかにまとめており、耳当たり良い。Qobuzの音質の良さも相まって分離も良く、エントリーモデルということを忘れるバランス感の良さが光っている。
クラシックでは諏訪内晶子『シベリウス&ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲』(96kHz/24bit)を聴いたが、ソロヴァイオリンのハリ良く柔らかな浮き立ちもスッキリと定位し、オーケストラの描写も丁寧で粒立ち細かく表現。ローエンドの響きも跳ね良くまとめ、ティンパニの皮も鮮やかに描いている。
ジャズはオスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』より「ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー」(96kHz/24bit)を聴く。ピアノの響きはパキっとしたエッジの立つアタックで、ウッドベースの弦やスネアブラシの響きもクリアに描写。ウッドベースやドラムの胴鳴りも引き締まり良くのびやかで、ハリ良いグルーヴを見せる。
ビリー・ジョエル『リヴァー・オブ・ドリームス』「2千年もの果てに」(96kHz/24bit)のピアノもハーモニクスの透明感が印象的で、ボーカルの輪郭もシャープに表現。リヴァーブは深く爽やかな味付けとなっている。リズム隊は腰高なアタックを見せ、密度良くタイト。シンバルやギターの粒立ちも煌びやかで、タムタムの響きも太く豊かだ。
丁「呼び声」(96kHz/24bit)は、しっとりとしたボーカルの質感を素直に引き出し、音離れ良く描写。ハープやアコースティックギターの粒立ち細やかな浮き立ち、ストリングスの鮮やかな立ち上がりも透明度が高い。これに対してベースやキックドラムの厚みを豊かに引き出し、逞しいボトム感を演出している。
ここでBluesound製品としてNODE NANOで初めて対応したDSDフォーマットの再生をUSBメモリに保存したファイルから試してみた。Suara「キミガタメ」11.2MHz音源はしなやかな音運びで、ボーカルのナチュラルさやリヴァーブの伸びの良さをしっかりと再現。PCM変換ながら、DSDらしさを感じさせる空間表現の自然さを感じることができた。ピアノの響きもほぐれ良く、低域方向の響きも滑らかに聴かせてくれる。アコースティックギターの爪弾きも柔らかく、耳当たり良い。
『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』「届かない恋」(2.8MHz・DSD)のホーンセクションはハリ良く伸びやかに展開。ピアノやシンバルの響きも丁寧かつ分離良く描き、音場の透明感を高めている。リズム隊の密度も厚く、滑らかだ。
最後に高音質化の施策として試してみたのが、大容量モバイルバッテリーを活用した電源のクリーン化だ。USB type-C端子を装備したこと、パワーアンプを内蔵しない、省電力な小型プレーヤーということもあり、モバイルバッテリーでも問題なく駆動できると考えた。
付属のACアダプターはスイッチング方式であり、ノイズ対策の点でもバッテリー駆動のメリットはあるはずだ。電源容量、電流値の余裕度も考慮して大容量タイプを繋げてみたが、モバイルバッテリーでの駆動はメーカー推奨の使用方法ではないので、自己責任で試していただきたい。
まず驚いたのがバッテリー駆動ならではのS/Nの良さ、音像の引き締まりによるフォーカス力の上がった一際切れ味の増したサウンドとなったことである。もはやストリーミング&エントリー機を聴いているとは思えない、鮮度感、解像度を実感できた。
ボーカルの息遣いはより生々しくなり、口元の艶や余韻の階調表現も数段細やかになっている。クラシックのソロヴァイオリンも抑揚豊かで、オーケストラの緻密さも向上。一際ハイレゾ音源らしさを引き立ててくれた。
NODE NANOは「BluOS」による快適な操作環境と相まって、初めてストリーミングに触れる方にとって最良のスタートを切れるアイテムとなっている。ハイレゾストリーミングの醍醐味である解像度の高さ、それまで聴いていた楽曲の新たな一面に気付ける感動体験を手軽に体現できるであろう。
また既存システムへストリーマーを追加したいという方にとっても、理想的なトランスポートとしてアドオンできる、頼もしい製品といえる。モバイルバッテリーによる電源強化など、アクセサリーを加えることでさらなる音質向上も望める、リーズナブルで趣味性に溢れたアイテムだ。
(提供:PDN)
■CDジャケットサイズのコンパクト筐体に機能を凝縮
近年のハイレゾストリーマー人気の火付け役といえるのがBluesoundの「NODE」である。B5サイズほどの設置場所におけるコンパクトな筐体で、デスクトップユースとしても活用できるヘッドホン端子を装備、スマートな機能性もあって人気を博しており、NODEを強化した限定モデル「NODE X」や、アンプ内蔵のハイブリッドモデル「POWERNODE EDGE」などNODEファミリーも充実化してきた。
そしてこの秋、NODEファミリーに待望の新エントリーモデル「NODE NANO」が誕生。筐体はNODEよりさらに小さくなり、CDジャケットサイズほどと、大幅な小型化を実現した。こちらは、壁掛けも可能である。
小型化すると機能性も省略されていると思われがちだが、基本的なストリーマーとしての能力はそのまま維持されている。しかも最新世代ということもあり、アップデートされた機能がいくつも存在する。
まず音質の核となるDACチップはESS製「ES9038Q2M」を搭載。NODE XもESS製のチップであったが、そちらは「ES9028Q2M」であったので、より新しいものへ刷新されている。
さらに192kHz/24bit・PCMまでとMQAファイル再生に加え、USB-A端子に接続したUSBメモリや、同一ネットワーク内のサーバーなど、ローカル環境からのファイル再生においてはDSDについても11.2MHzまで再生できるようになった(PCM変換再生)。またBluetooth対応コーデックについてもaptX HDからaptX Adaptiveの送受信対応にアップデートしている。
■QobuzやAmazonなど多彩なストリーミングに対応
既存のNODEファミリーから継続となる機能性についてであるが、ストリーミングに関してはハイレゾ対応のAmazon Music Unlimitedや、国内サービスが開始されたQobuz、そしてDeezerやSpotifyなどにも対応。
加えてTuneInやCalm Radioなどのインターネットラジオを楽しむことができる他、Bluesound製品限定の機能としてMQA版と比較できる音源を無料で聴けるRadio Paradiseも選局可能である。またAirPlay2にも引き続き対応。有線LAN/Wi-Fiともに利用でき、同一ネットワーク内のストレージからファイルを再生するネットワークプレーヤーとしても使用できる。
変更点としてはHDMI端子が省略され、電源入力はメガネ端子からUSB type-C端子を用いたDC供給(USB電源アダプターが同梱)へと変わった。音声系入出力はRCAアナログ出力と、同軸・光デジタル出力、HDDやUSBメモリ用にUSB-A端子が引き続き用意されている。
スマートなタッチセンサー式操作パネルも継承されており、素早く指定のソースを楽しめる2パターンのクイックタッチ・プリセットも装備。小型化と使い勝手の両立を目指した仕様へと進化している。
頭脳となるCPUには、他のNODEファミリーと同じ、クアッドコア1.8GHzのARM製「Cortex A53プロセッサ」を搭載。Bluesoundのストリーマーならではの快適な操作性を実現する専用アプリ「BluOS」にも、もちろん対応している。レスポンス良く直感的に操作できるGUIや、対応しているストリーミングサービスとのシームレスな連携性、そして安定度の高さが特徴であり、数あるストリーマーの中でも屈指の操作性を誇る。
この「BluOS」を軸として、ストリーミングサービスも、各々の専用アプリに移行しなくとも、一元的に操作できる他、同一ネットワーク内のストレージに保存されている音源についても簡単にアクセス可能だ。
■Qobuzのストリーミングは価格を忘れる高音質
試聴ではまずQobuzを使い、ハイレゾストリーミングで確認してみる。音像の輪郭を明瞭に引き出しつつも、質感を滑らかにまとめており、耳当たり良い。Qobuzの音質の良さも相まって分離も良く、エントリーモデルということを忘れるバランス感の良さが光っている。
クラシックでは諏訪内晶子『シベリウス&ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲』(96kHz/24bit)を聴いたが、ソロヴァイオリンのハリ良く柔らかな浮き立ちもスッキリと定位し、オーケストラの描写も丁寧で粒立ち細かく表現。ローエンドの響きも跳ね良くまとめ、ティンパニの皮も鮮やかに描いている。
ジャズはオスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』より「ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー」(96kHz/24bit)を聴く。ピアノの響きはパキっとしたエッジの立つアタックで、ウッドベースの弦やスネアブラシの響きもクリアに描写。ウッドベースやドラムの胴鳴りも引き締まり良くのびやかで、ハリ良いグルーヴを見せる。
ビリー・ジョエル『リヴァー・オブ・ドリームス』「2千年もの果てに」(96kHz/24bit)のピアノもハーモニクスの透明感が印象的で、ボーカルの輪郭もシャープに表現。リヴァーブは深く爽やかな味付けとなっている。リズム隊は腰高なアタックを見せ、密度良くタイト。シンバルやギターの粒立ちも煌びやかで、タムタムの響きも太く豊かだ。
丁「呼び声」(96kHz/24bit)は、しっとりとしたボーカルの質感を素直に引き出し、音離れ良く描写。ハープやアコースティックギターの粒立ち細やかな浮き立ち、ストリングスの鮮やかな立ち上がりも透明度が高い。これに対してベースやキックドラムの厚みを豊かに引き出し、逞しいボトム感を演出している。
■ブランド初のDSD再生にも対応!空間表現の自然さを感じる
ここでBluesound製品としてNODE NANOで初めて対応したDSDフォーマットの再生をUSBメモリに保存したファイルから試してみた。Suara「キミガタメ」11.2MHz音源はしなやかな音運びで、ボーカルのナチュラルさやリヴァーブの伸びの良さをしっかりと再現。PCM変換ながら、DSDらしさを感じさせる空間表現の自然さを感じることができた。ピアノの響きもほぐれ良く、低域方向の響きも滑らかに聴かせてくれる。アコースティックギターの爪弾きも柔らかく、耳当たり良い。
『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』「届かない恋」(2.8MHz・DSD)のホーンセクションはハリ良く伸びやかに展開。ピアノやシンバルの響きも丁寧かつ分離良く描き、音場の透明感を高めている。リズム隊の密度も厚く、滑らかだ。
最後に高音質化の施策として試してみたのが、大容量モバイルバッテリーを活用した電源のクリーン化だ。USB type-C端子を装備したこと、パワーアンプを内蔵しない、省電力な小型プレーヤーということもあり、モバイルバッテリーでも問題なく駆動できると考えた。
付属のACアダプターはスイッチング方式であり、ノイズ対策の点でもバッテリー駆動のメリットはあるはずだ。電源容量、電流値の余裕度も考慮して大容量タイプを繋げてみたが、モバイルバッテリーでの駆動はメーカー推奨の使用方法ではないので、自己責任で試していただきたい。
まず驚いたのがバッテリー駆動ならではのS/Nの良さ、音像の引き締まりによるフォーカス力の上がった一際切れ味の増したサウンドとなったことである。もはやストリーミング&エントリー機を聴いているとは思えない、鮮度感、解像度を実感できた。
ボーカルの息遣いはより生々しくなり、口元の艶や余韻の階調表現も数段細やかになっている。クラシックのソロヴァイオリンも抑揚豊かで、オーケストラの緻密さも向上。一際ハイレゾ音源らしさを引き立ててくれた。
NODE NANOは「BluOS」による快適な操作環境と相まって、初めてストリーミングに触れる方にとって最良のスタートを切れるアイテムとなっている。ハイレゾストリーミングの醍醐味である解像度の高さ、それまで聴いていた楽曲の新たな一面に気付ける感動体験を手軽に体現できるであろう。
また既存システムへストリーマーを追加したいという方にとっても、理想的なトランスポートとしてアドオンできる、頼もしい製品といえる。モバイルバッテリーによる電源強化など、アクセサリーを加えることでさらなる音質向上も望める、リーズナブルで趣味性に溢れたアイテムだ。
(提供:PDN)