巻頭言
未来を読む
和田光征
WADA KOHSEI
私どもはいつも未来を志向する。故に今、少なくとも十年先を捉えての改革を急いでいるのである。
20年前、私たちはウェブ時代の到来を捉えながら、少なくとも我々がやらなければならないことの根本を認識。「ファイルウェブ」を創設、達成できる領域に精度高く取り組み、事業の中心に置いて10年、20年の時間の中で確実なものへと育成、さらに高みを目指すことを志向していた。
これまでに様々な現象が起こっているが、私はその都度、瞬間瞬間に反応してきた。その大きな事象として、Yahoo!型の検索への疑問があった。様々なコンテンツを画面いっぱいに並べることへの違和感、そこに当社サイト「ファイルウェブ」の限界を感じ始めていた。当時パソコン誌では自分の求める情報へ辿り着くためのノウハウが特集され、パソコン誌の黄金時代が形成されていたが、私ははっきりと、それは違うと認識していた。求めるものにすぐ辿り着ける検索のあり方こそ正しいものだと思っていたし、ファイルウェブのような専門サイトはそういう環境のもとで、大型サイトに飲み込まれることなく必ず成功するという思いがあった。
そして2003年にGoogleの検索エンジンが登場するのである。この検索のあり方こそ未来のウェブ環境を形成するものであり、これでファイルウェブは勝ったと確信したのだった。
私は1998年に大分県知事が推進する大分県のかぼす特命大使を拝命していて、県知事主催の懇親会に出席している。2007年の会の時、大分合同新聞社の長野健社長から「和田さん、いい人を紹介します」と言われ、当時のGoogle日本法人社長の村上憲郎氏とお会いした。私は、Goog le検索がこれからのスタンダードになると力説し、Googleのロゴやデザインなどの誕生の背景をいろいろと教えていただいた。
当時の当社の朝礼で、「これからはGoogleが検索の本命になる。それはファイルウェブの成功が約束されるものである」と全社員に訴え、認識させた。そして、私の予測どおりに事は運ぶこととなる。ファイルウェブの目的意識を全員で再認識し、2013年から状況を一変させて成長することとなった。
しかし、これからが本番だと思っている。幸いにキュレーションサイト事件は、ファイルウェブのしっかりしたニュース作成に熱い賛同を頂くこととなり、「アマゾン」とも商品情報でしっかりと組んだ。また、読者滞在時間が15分以上という世界的なニュースアプリ「スマートニュース」とファイルウェブとの連携がスタートすることとなった。ファイルウェブの新たな歩みが始まったわけである。
1998年に私は、個人情報問題を認識し、この件に強い弁護士事務所と契約して今日に至っている。またファイルウェブのニュース記事には記名制をとって、著作権にも対応して来た。クレーマーは必ず存在するので、20年前からその対応策を講じて今日に至り、それは機能しているのである。
これからAIやIoT等、時代はさらに変わっていく。未来へ一歩一歩、歩を進めていきたい。