ヨドバシカメラマルチメディアAkiba
“音”のマーケットが軒並み上昇基調
多様性の時代に最適解を導く手腕が強み
イヤホン・ヘッドホンはもちろん、さらに、ハイエンドオーディオ、ハイレゾ音源を楽しむネットワークオーディオ、ホームシアターも活発な動きを見せるヨドバシカメラマルチメディアAkiba。多様化するニーズに率先した対応力を見せるオーディオフロアでは、新しいオーディオファンを呼び込み、市場創造へリーダーシップを発揮する。
増え続けるオーディオ難民
ヨドバシに寄せる期待
「ハイレゾを楽しみたい!そんなニーズがすっかり定着してきた印象ですね。メーカーからの関連商品もますます充実し、これまで以上に気軽に手を出しやすい環境になってきました」と語る黒川氏。20代・30代の新世代のオーディオファンを中心に、「団塊世代のオーディオファンも結構熱心ですよ。なかには、PCを購入するところからスタートされるお客様も見受けられます」とユーザー層の広がりを実感する。好調レコードプレーヤーでも、デジタル録音できるUSB接続対応モデルが根強い人気を見せるなど、活発になるネットワークオーディオの需要に手応えを掴む。
イヤホン・ヘッドホン人気の高まりに、ヘッドホンアンプやD/Aコンバーターの需要が伸長するが、「高性能チップが搭載され、処理能力が早く、音も抜群だとMYTEKやゼンハイザーの20万、30万円するD/Aコンバーターがここに来て大変よく出ます」と目を見張る。「ステップアップしていく流れが確実にあります。据置型のハイエンドオーディオの世界へも関心を寄せています」と上昇基調を歩むネットワークオーディオの流れに大きな期待を寄せる。
ヨドバシカメラ
マルチメディアAkiba
マイホーム商品・オーディオチーム
ソリューションプロフェッショナル
黒川 剛氏
MYTEKやゼンハイザーの20万、30万円するD/Aコンバーターが好調。95万円の価格で話題を集めるソニー“Sigunature”シリーズの超弩級DAP「DMP-Z1」に対するお客様の関心も高く、試聴環境を整えていく予定
人気を集めるヘッドホンアンプiFI-Audioをボリューム感ある品揃えでアピール
USB端子付きモデルの人気が見逃せないレコードプレーヤーは、ネットワークオーディオとコーナーを隣接する
ハイエンドオーディオも好調に推移するが、ここに来て変化が見られるという。一つは、FOCALのスピーカーなど100万円を超える高額商品を購入するお客様が増えてきていること。もうひとつは、遠くは遥々九州など地方からのお客様が増えていることだ。その背景には「聴ける場所、見られる場所がなくなったと皆さん異口同音におっしゃいます」と業界の抱える課題が浮き彫りになる。
リアル店舗での実体験が不可欠なハイエンドオーディオのビジネスだが、yodobashi.comでは「在庫のある店舗」がネット上で確認できる。それを見て店へと足を運ぶお客様も少なくないという。「単に商品が並べるだけではなく、来店されたお客様にどうしたらよりご満足いただけるのかを常に考えています」。品揃えはもちろん、店づくりや接客を磨き、あらゆるお客様の多様なニーズに応える深化を加速し、信頼を勝ち取る。
売り場を奥へと足を進めたところに試聴室を構え、ブランドごとに展開する。写真はJBL、REVELのスピーカーとMerk Levinsonのアンプ群が出迎える試聴ルーム
ラックスマン&FOCALの試聴ルーム。100万円以上するFOCALのハイエンドスピーカーに動きが出てきた
管球アンプの試聴室では、新たに国内外で高い評価を得る「SUNVALLEY」の取り扱いを開始。高い関心を集める。スピーカーには“昔ながらの良さを継承するもの”を取り揃えた
わかりやすく、かつ、
とことんこだわれる
「いい商品に巡り合っていただきたいですね。そのためにはまず、お客様の声を聞き出していかないと」と訴える。広大なフロアの中でも目につきやすいエンドコーナーを有効に活用。どんな楽しみ方ができるのかをイメージしやすい商品を組み合わせた展示に力を入れる。
入り口とも言える2カ所あるエスカレーターを昇った正面の一方にはアウトレットコーナーを展開する。生産完了品やヨドバシカメラ全店の展示品を集めたもので、yodobashi.comでは購入することができない。「このコーナーを楽しみにされているお客様も多く、毎日来てチェックされている人もいます」と注目度抜群の目玉コーナーだ。
エスカレーターを昇った眼前に広がる名物のアウトレットコーナー。毎日訪れる人もいる
コーナーエンドを使ったイメージ展示を随所に展開。お客様の足を止め、売り場へ誘導する
アクセサリー類も広いフロアを活かした圧倒の品揃え。10万円以上するケーブルにも在庫があり、取り寄せでなく、購入したその場でお持ち帰りいただけるのは大きな強み。真空管オーディオを愛好家のお客様が多く、新たに国内外で高い評価を得る「SUNVALLEY」の取り扱いを開始するなど、品揃えはさらにきめ細やかさを増す。
ネットワークオーディオ、ハイエンドオーディオ、さらにはホームシアターに至るまで、“音”をテーマにしたビジネスが活況を呈するヨドバシカメラマルチメディアAkiba。使い方や楽しみ方がますます多様化する中で、常識に捕われず、色々な側面から洞察し、商機を拡大している。
「お客様のニーズは細分化していきますが、それに応える機器も多彩に。昔と違い、今は必ず答えが見つけられます。そこへ的確に導くことが販売店に課せられた重要な役割」と力を込める黒川氏。ハイファイオーディオ復権へ、敷居の低さ、間口の広さ、さらに深掘りするニーズにも対応する。ヨドバシカメラの取り組みに注目が集まる。(本誌編集部・竹内純)
圧倒する品揃えからコアなオーディオファンの姿が絶えないアクセサリーコーナー。カウンター寄りの一角だけでもかなりの商品点数になることがわかる
カートリッジひとつとってもガラスショーケース3つ以上にわたる品揃え
10万円以上する高額ケーブルも在庫を備え、その場で持ち帰れることが可能だ
活況!ホームシアターも上昇気流
「本格的な臨場感が、今では2万円前後から手に入れることができます」とシアターバーの売上げが好調だ。テレビコーナーでは商談テーブルの前にシアターバーのコーナーを設ける。自然とその音に包み込まれる中で、さりげなくアピール。「50V型を超える大型テレビをお買い上げになった時点で有望なターゲットです」と付加価値啓発の仕組みが勝負のポイント。また、AVアンプでは「ブルートゥース機能内蔵で、ワイヤレスで手軽にハイレゾも楽しめるものもあります」と新たな楽しみ方の提案でターゲットを拡大する。
シアターバーはファミリー層からの人気が高い
シアター用途にとどまらない音楽の楽しみ方を提案できる商材として期待を込めるAVアンプ