折原一也がパナソニック小塚氏とソニー島津氏を直撃
3Dメガネ規格標準化の狙いと展望を「フルHD 3Dグラス・イニシアチブ」キーマン2名に訊く
なお、ライセンスについては最終規格が決まってからスタートする。「フルHD 3Dグラス」のライセンスを受けたメガネは、もしかすると来年前半くらいには店頭に並んでいる可能性もある。その頃には、「クオリティ重視で選ぶ3Dメガネ特集」などのような記事を筆者がPhile-webで書いている…のかもしれない。
■テレビの3D機能利用率は「日本が一番高い」
今回、インタビューに応じていただいた方々は日本きっての3D規格化の中心人物だが、3Dグラスの話題からやや外れて3D全体の普及についても伺うことができた。
島津氏 欧州では特に大型スクリーンでの3D比率は常に伸びていて、そういう意味で3Dは着々と普及しています。普及にはハード側とコンテンツ側という2面があると思うんですが、ハードの視点で見ると、店の売り場には3Dコーナーがしっかりできていますし、ソフト売り場に行っても3D BDが並んでいます。
小塚氏 放送についても、去年のサッカー南アフリカワールドカップの3D放送はハードメーカー主導のものでしたが、その後はセリエAやブンデスリーガを放送局が自分から3Dで放送し始めています。そういう意味で、イタリア、ドイツとちゃんと火は付き始めていますね。日本は欧米と違って地上波が中心で、BSもあまりチャンネルはふやせない。欧米はもともとCATVやサテライトの比率が高いので、そういった放送事情の違いもあるのでしょうが。
3Dについては、筆者がドイツの家電量販店の店頭やIFAの会場を見る限りは欧州でも日本や米国とほとんど同じように普及が進んでいるように見受けられた。メーカーにとっても、世界的にはほぼ同じ水準で普及が進んでいるという。
島津氏 テレビの販売台数に占める3Dモデルの比率では、日米欧中ともほぼ同じくらいです。今は少し中国で比率が高いくらいですね。
実際に3D機能が使用されているかどうかという点では、ソニーの調査では日本が一番比率が高いという結果が出ていまして、かなり利用されています。それから欧州と米国もそれなりの比率で使っているという結果でした。数字は出せませんが予想以上の数字で「そんなに使っているのか」と感じたほどです。ちなみに、購入時の重視点でも、3Dは画質の次くらいに挙げられるポイントでした。
小塚氏 例えばブルーレイが登場したときに「DVDと同じようには普及しない」と言われましたが、3年経つと普及し始めて何も言われなくなりましたよね。
また、HD放送も日本では2002年からスタートしましたが、最初の段階では「必要ない」と言われていました。しかし、地上波になった瞬間に普及し始めましたよね。
同様に、3Dも地上波で放送されるようになった時には状況が大きく変わるでしょうね。テレビは1回購入すると10年くらい使うものですから、様々な活動に5年くらいかけても大丈夫だとも言えます。その一環として、サッカーW杯とオリンピックもサポートしていきたいと考えています。
なお、今回紹介した以外でも、パナソニックとソニーは放送業界の3D製作へのサポートも行っている。「フルHD 3Dグラス・イニシアチブ」での協力を始めとして、3D普及にかける両社の継続した取り組みに今後とも期待したい。