来期はAQUOS中構成比30%へ
幕を開けた「AQUOS第二章」 − 開発者に聞く“フリースタイルAQUOS”の現状と今後
小笠原:LC-20FE1を市場に投入したところ、大きな反響をいただきました。この好評を背景に、60V型にまでラインナップを広げたのがF5ラインです。また壁掛け金具を別売りにし、スタンドのデザインを変えることでお求めやすくしたF3ラインも発売を開始しており、現在カラーバリエーションを数えると計18モデルをラインナップしています。
■フリースタイルAQUOSの3つの特徴
−−フリースタイルAQUOSの特徴をあらためてご説明頂けますか。
小笠原:特徴は大きく3つあります。1つは「ワイヤレス」であること。ディスプレイ部とチューナー部が分かれているので、アンテナコンセントがない部屋にディスプレイ部を置くことができます。新築のお宅でも、全部屋にアンテナコンセントがあるというケースは少ないと認識しています。フリースタイルAQUOSなら、どの部屋でもテレビやUSB-HDDに録画した番組をお楽しみ頂けます。
2つ目はディスプレイ部が「軽量・薄型」であることです。部品点数を抜本的に見直すことで軽量化が実現しました。たとえば32V型ですと、薄さは2.7cmで、質量は約5.5kgしかありません。これにより、壁掛けが格段にしやすくなりますし、家の中を気軽に持ち運んで頂くこともできます。
3つ目は「ネット機能」です。L5ラインと同等のネット機能を備えており、AQUOS CITYやスマートファミリンクなどがご利用頂けます。
■フリースタイルAQUOSのワイヤレス伝送は非圧縮
−−なるほど。では、まずワイヤレスについて詳しく伺っていきたいと思います。ワイヤレスで無線伝送を行うと、通信の状況によって映像の途切れや遅延などが起きないか気になる方も多いと思うのですが。
大前:そうですね。PCなどでは「多少途切れても仕方ないか」と許される場面でも、家電ではそうはいきません。映像が途切れたり遅延したりしないような工夫を盛り込んでいます。
たとえばバッファーをある程度蓄えるのはもちろん、ディスプレイ側とチューナー側でクロック同期を取るような処理を行い、それによってバッファーの容量を常に一定に保つような仕掛けを施しています。
また、使用しているネットワークはIEEE802.11nの5GHz帯です。非常に安定した伝送ができますし、19チャンネルが使えますので、家庭内の別の機器や隣家の機器と周波数帯域がバッティングすることが起きにくくなっています。
−−伝送する際の映像は圧縮するのでしょうか?
大前:いえ、放送で送られてきた映像・音声データはそのまま飛ばします。AVCで圧縮して伝送するわけではありません。
−−それで帯域は足りるのでしょうか。F5ラインやF3ラインでは、ディスプレイとチューナー部がダイレクトに接続されるだけでなく、アクセスポイント経由での接続も行えます。それだけに、他機器の通信帯域を圧迫したりしないかということも気になります。