独自技術で「サクサク」「追従性」追求
国内メーカー初のAndroid 4.0スマホ、“AQUOS PHONE”「104SH」開発者インタビュー
■独自チューニングで最高のパフォーマンスを
開発陣が目指した二番目の目標は「最高のパフォーマンス」だ。
林氏:グローバルで先行するメーカーと競える、ナンバーワンレベルのパフォーマンスを目指し、実現できたと考えています。ここで言うパフォーマンスとは単純な処理スピードだけでなく、操作した際の追従性や、いわゆる「サクサク感」も含んでいます。
104SHのチップセットには、TIのデュアルコアプロセッサー「OMAP 4460」を採用した。クロックスピードは1.5GHzだ。
林氏:このOMAP 4460を搭載したのも、国内では最速となりました。弊社のソフトバンクさん向けモデルでは、TIさんのチップセットを使うのは今回が2機種目でしたので、作りやすかったですね。
「ダイレクトトラッキング技術」という、追従性を高める技術も搭載した。
林氏:これはドライバーレベルのチューニングなどにより、操作した際の追従性を高める技術です。指と画面の動きを数値化し、理想的な曲線になるよう、チューニングを重ねました。図のうち青い曲線が指の動き、ピンクの曲線がそれに対して反応した画面の動きになります。水平方向は時間、上下は移動量を指しています。
この2つの曲線の水平方向を近づければ良いかというと、それほど単純なものではないんです。指と画面の動きが一致しすぎると、シビアすぎて操作しづらいですよね。このあたりのチューニングには非常に気を使って、自然な操作感を実現できたと自負しています。
画面のフレームレートを下げると追従性が高めるケースもあるのです。ですが、それをすると、今度はいわゆる「カクカク感」が出てきてしまいます。104SHでは常時60フレームを維持し、自然な動きと滑らかな動きを両立させています。
実際にウェブ画面をスクロールして操作してみると、これまでのAndroidスマートフォンのハイエンド機で体験したことがないほど、指の動きに吸い付くように画面が自然に追従する。ピンチインやピンチアウトの追従性も非常に高く、タイムラグはほとんど感じられない。
記者がふだん利用しているiPhone 4Sと比べても、その追従性はほぼ同等のレベルに達している。iOSに比べて慣性スクロールが効きづらく、指を離した際の画面の止まり方は不自然な場合もあるが、これはAndroidそのものの問題である可能性が高い。とにかく、そのようなアラ探しをしてしまいたくなるほど、本機の追従性、サクサク感のレベルは高い。
林氏:104SHは4.5インチ、1,280×720ドットの「HD NewモバイルASV液晶」を搭載しており、画素数が多いので、これを60フレームで常時動かすのは結構大変です。もちろん、OMAP 4460ではGPU「POWER VR SGX540」のクロックが上がっていることもあるのですが、これを実現できたのは、やはりドライバーレベルでの改善やチューニングが大きいですね。