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新音場補正技術「MCACC Pro」が三次元音場に与える恩恵とは

パイオニア開発者に訊く、Dolby Atmos対応AVアンプ「SC-LX58」が実現する新音場

公開日 2014/08/06 11:00 インタビュー:大橋伸太郎/構成:Phile-web編集部
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パイオニアの最新AVアンプ「SC-LX58」が9月上旬に発売される。2014年中級モデルであり、新サラウンド技術「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」対応モデルとしていち早く市場に投入されることで注目を集める本機。そもそもDolby Atmosとはどんなものなのか? それを家庭で楽しむためにどのような工夫が凝らされているのか? パイオニア技術陣に、大橋伸太郎氏がインタビューを行った。

左から企画担当の山田喜行氏、音質設計担当の平塚友久氏、MCACC ProなどDSP開発を担当した佐野健一氏。手前はインタビュアーの大橋伸太郎氏。


アップデートでDolby Atmosに対応
パイオニアの注目新アンプ「SC-LX58」



SC-LX58

−− まずは「SC-LX58」の特徴について教えていただけますでしょうか。

山田氏::はい。まず、「Dolby Atmos」に対応していること。そして、パイオニア独自の音場補正技術をより進化させた「MCACC Pro」を搭載し、Dolby Atmosをはじめとしたコンテンツの魅力を引き出すことができること。そして、ダイレクト エナジーHDアンプによって9ch同時高出力を実現したほか、全chにESS製DAC「ES9016S」2基を搭載していること。これが特徴です。

パイオニアホームエレクトロニクス(株)事業企画部 商品企画部 コンポーネント企画課 主事 山田喜行氏:1992年入社。SC-LX58の商品企画を担当

Dolby Atmosは、オーディオ信号にハイト(高さ)成分とメタデータ(位置・時間情報)を付加した最新サラウンド技術です。ひとつひとつの音をオブジェクトとして捉え、その移動や音量の変化などの情報を保持。それをアンプ側で、スピーカーの位置や数にあわせ最適なリアルタイムレンダリングを行い、再生します。これまでのチャンネルごとに音を振り分ける方式とは全く違うものと言えます。

−− お三方は入社されて以来アナログからデジタル、ロッシーからロスレスへという時代の変遷を体験されてきたことになりますね。アナログからデジタル、ドルビーデジタルからドルビーTrueHDへの変化は、大きかったとは言え地続きになっている感じがありました。ところが、Atmosは全く違っていますよね。サラウンドの着想部分からの変化であると言えると思います。

佐野氏::はい。ドルビーTrueHDが登場したときは「質の革命」という感じでしたが、Atmosは「効果の革命」だと思います。高音質かつ段違いの効果を、各家庭で楽しんでいただける時代が来たのです。頭上にスピーカーを設置するということも含めて、まさに“三次元の音場”がやっと実現できるものだと考えています。

パイオニアホームエレクトロニクス(株)技術部 第1技術部 設計2課 副参事 佐野健一氏:1992年入社。SC-LX58ではDSP開発を担当し、Dolby Atmosへの対応や「MCACC Pro」などに携わる。

こういった時代が来たということで、今まで以上に「タイミング」が重要になると思います。各スピーカーから正確に音が出ていないと、Dolby Atmosの効果は発揮しきれません。アンプのなかでレンダリングした音を活かすも殺すも、アンプも含めた環境整備だなと思っています。なので今回、音場補正技術「MCACC」も一歩進化した「MCACC Pro」を開発しました。

平塚氏::私にとってドルビーTrueHDになったときのインパクトは非常に大きく、「これでようやく音楽モノもきちんと聴ける土台が整ったなと感じましたし、実際の効果も非常に高く、感激しました。

パイオニアホームエレクトロニクス(株)技術部第1技術部 技術1課 副参事 平塚友久氏:1991年入社。SC-LX58では音質設計を手掛ける。

Atmosについては、これまで二次元だったサラウンド空間が、リアル音源として三次元になった効果を強く感じています。というのは、個人的にバーチャルハイトというのはどことなく違和感を覚えていたのです。効果があるところもあるけれど、失った部分もあるのかなと…。

それが今回Atmosになって、天井のリアルスピーカーも含めて三次元的に音が出ると、空間が全て満たされるようなすごい効果を生むんだなと実感しました。しかも、違和感や副作用なども全く感じない。まさに大画面時代の音響技術だなと思います。

山田氏::Atmosは、サラウンドの提案としてはかなり革新的な変化だと受け止めています。ひとつは、ディスクリートでチャンネルが高さ方向に増え、三次元的な多次元音響空間を描き出せるようになったこと。また、音の情報に「座標軸の位置情報」などの「メタデータ」が加わって、一般家庭環境のなかでサラウンド空間をミックスダウンする、というしくみが採用されました、これにより全く新しいサラウンドの楽しみ方ができるようになった、大きなブレイクスルーであると思います。

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