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新音場補正技術「MCACC Pro」が三次元音場に与える恩恵とは

パイオニア開発者に訊く、Dolby Atmos対応AVアンプ「SC-LX58」が実現する新音場

公開日 2014/08/06 11:00 インタビュー:大橋伸太郎/構成:Phile-web編集部
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徹底した位相管理でAtmosの音場も豊かに描き出す
自動音場補正技術の最新版「MCACC Pro」


−− 「SC-LX58」の特徴のひとつに、進化した自動音場補正技術「MCACC Pro」がありますね。従来からの進化点を教えていただけますか。

山田氏::我々は長年MCACCの研究開発を行ってきましたが、このたび機能やメリットが分かりやすいよう整理した新しいヒエラルキーを構築しました。それが「MCACC」「アドバンスドMCACC」「MCACC Pro」の3つです。

最新バージョンかつ最上位バージョンである「MCACC Pro」は、「アンプ内部の調整と位相管理(フェイズコントロール)」「部屋の調整/ソフトの位相管理(フェイズコントロール プラス)」に加え、「スピーカーの調整と位相管理(フルバンドフェイズコントロール)」が行えるようになりました。

−− 「MCACC Pro」はAtmosと融合できるのでしょうか?

山田氏::もちろんです。むしろ、MCACCの研究を続けてきて本当に良かったというのが我々の正直な感想です。

今回Dolby Atmosという新しいオブジェクト志向のサラウンドフォーマットを提案される前から、我々はサラウンドの理想実現のために「マルチチャンネル・ステレオフォニック・フィロソフィー」を掲げ、AVアンプの開発を行ってきました。アンプのマルチchの再生条件を揃える、全てを同じ条件で設計する、再生するということ、そして同じように調整するということを、ずっとやってきたのです。


今回研究開発を行うなかで、Dolby Atmosは突き詰めれば音の出口、つまりスピーカーの位相が揃っているかいないかによって、再生のされ方が全然違うことが分かりました。「MCACC Pro」によってスピーカー間の距離情報、位置情報、位相をしっかりと合わせられているが故に、こういう新しいサラウンドの音もしっかり再生することができるんだなと、日々実感しているところです。

−− 上方にスピーカーが加わるということは、解析アルゴリズムも新たにする必要がありますよね?

佐野氏::MCACCの全てを刷新したというよりは、ひとつひとつの積み重ねを見直したかたちになります。というのは、我々はこれまでも音場補正の精度向上をずっと追い求めて色々な研究を行ってきたからです。

今回は全面的に処理を見直し、必要なところはモディファイし、今までと同じで良いところはそのまま残しました。また、今まで採用を見送ってきた技術も取り入れることができました。こういった作業をおこなった結果、測定時間が従来より2〜3分短くなるといった利便性の向上も行えました。


ただ、イネーブルドスピーカー向けには新しく解析アルゴリズムの開発を行いました。上向きのスピーカーユニットの天井までの高さを入れたりといった新項目がありますから。反射経路の距離を正確に出せるようなシステムにしています。

−− 実際、「MCACC Pro」がAtmos再生時にもたらす恩恵はどんなものなのでしょうか。

山田氏::まだまだ開発段階ではありますが、非常に効果がありますね。というのは、フロアスピーカーとトップスピーカーの間のシームレス感がどこまで出せるかが、Atmosでは重要なポイントだからです。各スピーカーがバラバラな聞こえ方だったら、おまけのような機能にしかならないと思うんです。そうさせないのが、パイオニアのアンプの作り方だったり、MCACCの力だったりするのではないかと思います。

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