驚愕のコンデンサーイヤホンシステム
SHURE「KSE1500」開発者インタビュー。8年かけたのは「最高のイヤホン」を作るため
ーーー コンデンサー型というと、その素材や構造の繊細さから、湿気や衝撃に弱い印象もありますが。
SHURE コンデンサー型全般としては確かにそうです。しかしこのモデルについては、SHUREの基準での対湿や耐衝撃のテストをシュアの他のモデルと同じようにクリアしています。例えば湿気の問題への対処としては、ノズルからハウジングの間に防湿材を設置していますね。もちろん音質への悪影響はないように調整してあります。
ーーー SHUREの他のイヤホンと同レベルとなると、コンデンサー型としては異例の扱いやすさですね。
SHURE それに限らず、高電圧を扱うコンデンサー型ですので、その部分での信頼性も高めてあります。一例としては、アンプ内部では常に監視装置が働いていて、プラグやケーブルのトラブルなど、何か電気的な異常が検知されるとすぐにアンプがシャットダウンされるようになっています。もちろんそもそもプラグやケーブルの耐久性や信頼性も万全ですが、さらに二重三重のセーフティを備えています。
ーーー アンプユニットでは、デジタル入力でのDACとしてのスペックが96kHzまでの対応にとどまるのは、これは単純にバッテリーライフ等とのバランスを考えたという理解でよいのでしょうか?
SHURE このモデルの最終的な仕様を固めたのが2年ほど前なのですが、その時点でのバランスを考えてのことです。
ーーー シュアとして「96kHzを超えるスペックは不要」という判断ではなく、その時点でのバランスということですね。では例えばこの先に、192kHz対応でバッテリーライフにも問題ない省電力なチップが普及したりすれば、そのときにはそれを採用すると考えてもいいのでしょうか?
SHURE その時点でのそのスペックに流行や必然性があり、消費電力等にも問題がなくなっていれば、もちろん検討します。ただ、そもそも次世代の製品を出せるのか出せないのか、出せるとしてそのときのスペックがどうなるのかはお答えできません。今の時点では私にもわかりません。
ーーー まずはこのモデルこのシステムが好反応を受けないことには…ですね。アンプ部分は操作性の良さも印象的です。ボリュームと電源、ロックと入力切替といった常用する最小限の操作系はフィジカルなノブやボタンやスイッチ、細かな設定はディスプレイを通しての操作という割り振りで、シンプルさと細やかさを両立しています。
SHURE そこはまさにそういう狙いです。基本的な操作は説明書を見なくても、何となくわかるようにしてあります。
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