音楽製作陣たちの特別対談が実現
INORAN(LUNA SEA)とオーディオ談義!最新“ハイレゾポータブル時代”を音楽の作り手たちはどう見ているか?
【4】音楽制作側のキモチ「CD時代からのこだわり」と「圧縮データ配信に対するホンネ」
−− 続いては、音楽の提供形態の変化についてもお聞きしたいと思います。アナログレコード時代のあとCDが登場し、しばらくしてデータでの配信が始まり、最近では定額制の聴き放題やハイレゾリリースへと変わってきました。その辺については、作り手の立場としてどう見ていますか?
INORANさん: MP3やAACは、手軽で多くの人に行きわたりやすくなったというメリットがありつつ、同時に音はスポイルされちゃうというデメリットもある。その辺は一長一短ですよね。
比留間さん: 定額制ストリーミングなんかも、音楽をたくさん聴いてもらえることはとてもありがたいですが、じゃあ便利だから絶対的に良いかというと…。提供する音源のクオリティはやはり大事なので、僕個人としては正直その辺は歯がゆい部分もあります。
INORANさん: でも、リスナー全員に全く同じ音や環境で聴かせることは不可能なので、どんな環境で再生されても楽しんでもらえるように、ちゃんとした音楽を作りたいと思ってやっていますよ。
比留間さん: …って言っても、現場レベルでは思いつきでやってることも多いですけどね。思いつきでやってみて、良ければ採用! みたいな(笑)
INORANさん: そうそう(笑)。スタッフみんな引っくるめて音楽が好きな集団なんです。言い方悪いですけどみんな“音楽馬鹿”でして、これからもそんな音楽が好きな集団で新しいことに挑戦したりこだわったりして作っていきたいなと。
−− INORANさんはLUNA SEAに始まり、ご自身のソロやTourbillon、FAKE?、Muddy Apesなどでずっと活躍されてきたわけですが、これまでもすごくこだわられてきていますよね。
INORANさん: その時代時代で、できることには徹底的にこだわってきました。例えばCDがプレスされるときのライン。同じ工場でも、どこのラインでプレスされるかでCDの音が変わるから、わざわざ指定してたんですよ。
比留間さん: やってましたね、「何番のラインを使ってプレスして下さい!」って。さらに初回プレスと通常盤でも音が変わるので、きりが無いです。
−− すごいですね(笑)ちなみに漠然とした質問になりますが、そうやってCD時代からINORANさんがこだわられてリスナーに届けてきた音楽の“核”って何でしょうか?
INORANさん: うーん、言ってしまえば「究極の良いテイク」ですかね。磨き上げた良い音というか。それは上手い下手じゃなくて「グルーブ」なんです。“たった1回だけ”現れる究極のテイク。そういうものをこれからも多くの人に届けられるようにしたいと思っています。
次ページ最後にきいてみた。音楽の作り手たちにとって、“ハイレゾ”とは?