<山本敦のAV進化論 第86回>
Xperiaに新シリーズ「X」登場。企画者・開発者に聞く「Xperia 第3章」のすべて
Xperia Xシリーズのテーマである「インテリジェンス」にかかわる最初のフィーチャーがバッテリーまわりにある。
独自の省電力機能による2日間のバッテリー持続は従来のZシリーズからうたってきたものだが、今回のシリーズでは電池パックそのものの寿命を長く持続できるように、スマートフォンとしては初めて、アメリカのベンチャー企業であるQnovo社のバッテリーマネージメント技術を取り込んだ。その結果として、従来比較で約2倍の長寿命設計を実現している。
「常に電池のコンディションを把握しながら、最適な量の充電を行うことで、バッテリーセルの疲弊を和らげる効果が得られます。スマホを長く使うほどその価値が実感できるはず」と染谷氏は太鼓判を押している。Qnovo社の技術が採用された理由は、新しいハードコンポーネントを追加することなく、ソフトウェア処理だけでバッテリーを効率よく制御できるからなのだという。
カメラ機能の改善についても積極的に手を入れた。特にフロント側のカメラについては、最近では自分撮りに使われることが増えているため、イメージセンサーの有効画素数がZ5シリーズまでの5MPからX Performanceでは13MPに上がっている。
暗所撮影感度もISO6400まで対応して、さらに画像処理の中でノイズを落として高精細な写真が撮れるようにした。これまではメインカメラにしか乗っていなかったフィーチャーがフロント側にも高画素センサーを使うことで実現された格好だ。
新シリーズの「インテリジェンス」はカメラ周りでも実現されている。それが上位のX PerformanceとXperia Xに搭載されいている、おまかせプレミアムオート撮影時に機能する「Predictive Hibrid Auto Focus」だ。その詳細はカメラ機能の開発を担当した高野氏に訊ねた。
「オブジェクトトラッキングによるオートフォーカスはZ5シリーズにも搭載していましたが、今回のXシリーズでは認識率や追従性能を格段に向上させています。
これにハイブリッドのかたちで加えた予測オートフォーカスでは何を“予測”しているのかといえば、画面の中で被写体が上下左右方向に動く分にはセンサーからの距離は一緒なので、フォーカスにとっては関係ありません。
「むしろ“奥行き方向”の移動がフォーカス精度に影響してきます。奥行き方向で被写体が動くと、シャッターを切るまでの間に前の位置にフォーカスを合わせようとするので、結果ぶれてしまいます。
そこで、シャッターを切るまでの間に、奥行き方向での被写体の移動を予測してフォーカスを合わせることで、精細感の高いシャープな写真が撮れるようなアルゴリズムを搭載しています」(高野氏)
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