<山本敦のAV進化論 第86回>
Xperiaに新シリーズ「X」登場。企画者・開発者に聞く「Xperia 第3章」のすべて
カメラ周りのモジュールはXperia Z5と同じものが搭載されているが、ソフトウェアの改善を図ることで、例えばスリープから本体の起動、シャッターを押して撮影までの間隔を高速化できる「クイック起動」のスピードはZ5の約半分となる「0.6秒」を実現した。
一方でXperia Z2から採用されてきた4K動画撮影の機能が入っていないのは、ユーザーにスマホの「エッセンシャル」な機能をわかりやすく提案することを考えた場合に、主に“使い勝手”のペインポイントである“撮り逃し”をしないための高速起動やオートフォーカスに注力していくことをXシリーズでは優先したからだ。
液晶ディスプレイも対応はフルHDまで。ソニーのテレビ“ブラビア”で培ってきた映像技術と画作りのノウハウを採り入れたLive Color LED採用の「トリルミナスディスプレイ for mobile」や、超解像技術をモバイル向けに最適化した「X-Reality for mobile」はいままで通りに引き継がれている。また本シリーズから液晶モジュールの内部にタッチセンサーを内蔵するインセルタッチ方式の液晶に変更された。
一つのスマホに数多く搭載されているそれぞれの機能をユーザーが最大限に活用して、やりたいことができるようにサポートTIPSも充実させている。
例えば電話の着信を何回か逃してしまった際には「留守電をオンにしませんか?」といった具合に、スマホをより便利に使うための機能通知がプッシュされるというものだ。
染谷氏は「より多くの方々に違和感なく使ってもらえるように、デザインだけでなく使い勝手もブラッシュアップしています。Xperiaにカッティングエッジを求めていた方々だけでなく、これまでよりもさらに広く、多くの方々に新しいXperiaを使ってほしい」と呼びかける。
イベント期間での短いハンドリングによる印象だが、新しいXシリーズは確かに色々な意味で、これからスマホを使う人の手のひらを通して、生活に自然と溶け込んでいくスマートフォンだと実感した。
■Xperiaブランドでのプロジェクターや360度対応デジカメも
Xperiaのブランドネームには人と人、人とモノが、そして時にはモノとモノがコミュニケーションを交わしながら“掛け算=X”で新しい体験を作っていくという意味が込められている。そのコミュニケーションに結び付くモノの可能性が、今回スマートフォンやタブレットから、さらにXperiaの名前を冠するプロジェクターやカメラなどにも広がることが明らかになった。
まず最初に商品化されるのはBluetoothヘッドセットの「Xperia Ear」からとなるが、今回のイベントではさらに超短焦点プロジェクター、360度半球撮影に対応するデジタルカメラ、AIを持ったパーソナルエージェントなどのコンセプトが紹介された。
ポータブルサイズの超短焦点プロジェクターは、すでにソニーのブランドからも商品が発売されているが、敢えてソニーモバイルが独自に開発する理由は、そこにコミュニケーションをより豊かなものに変えていく「インテリジェンス」が組み込まれるからなのだという。
本機がSIMを搭載して単体で通信ができたり、またはホームシアター用プロジェクターとして楽しむのにも十分な画質と拡張性を持つのかなど、興味深い点は多々ある。
ブースに展示されていたプロトタイプは、いずれもデザインの完成度が高く、現時点でハイライトされていた機能はそこそこスムーズに動いていたので、今年も秋にIFAが開催される頃には商品として大々的に発表される可能性もある。ソニー製品との連携に限らず、“第3章”を迎えた新しいXperiaシリーズが他社の色んな製品やサービスと連携していく未来の形も楽しみだ。