他にはない、ユニークなオーディオアクセサリー
iFI-Audio・トルステン博士が語る「現代ならではの電源対策」、その背景に迫る
― なるほど。あと気になるのは、micro iUSB3.0での大きなアピールポイントとなっている、リクロック/リジェネレート/リバランスについてです。これはどういうものなのでしょうか。
まず、DAC側のクロック自体があまり良くないものと仮定します。そして、PCのUSBのポートからくるクロックのクオリティもイマイチだとします。こうした環境では、当然ジッターが入ってきますよね。それが例えオーディオ信号そのものには影響がないものだとしても、実際には内部でまったく影響がないわけではありません。
具体的な影響というのは、アイパターンで見ると良く分かるのですが、その波形が理想とは程遠いものとなってきます。高級なUSBケーブルではこの波形が非常にきれいに出てくるのですが、DACやUSBポートによっては、USBチップセットのクオリティが影響してこのアイパターンが崩れた状態の信号が入ってきて、結果として音が悪くなったりと色々な問題があるわけです。
micro iUSB3.0では、例え多少問題があるUSB信号を受け取っても、内部でクロックを切り離してiUSB側で再生成しますので、USB信号をふたたび良い状態へ整えることができるんです。
― この場合のクロックというのはオーディオ信号としてのクロックなんですか?
いえ、あくまでUSB側の話です。USBにはバルクモードとストリーミングモードがあります。ストリーミングモードでは一度欠落したUSB信号を再度拾うことはできませんが、バルクモードではそれが可能です。micro/nano iUSB3.0では決して完璧とは言いませんが、極めて完璧に近い信号を作り出すことができます。
こうした機能ですので、iUSB3.0とPCのあいだのケーブルは短く、しっかりととしたものを使用することを推奨したいですね。
アナログの場合は波形が崩れてしまうともう手の施しようがないのですが、デジタルであればいかようにもできます。レシーバー側のUSBチップがしっかりとしたものであれば、しっかりとしたアイパターンを取り戻すことができるんです。
― 極端な話として、元のPCからの波形が特性上かなり劣悪なものでも、理想的なものとしてリクロックすることができるんですか?
ほとんどの場合で可能です。例えばMacBookの場合は世代によって搭載されるチップセットが異なっていて、それぞれに性能も、そしてサウンドも異なります。iUSB 3.0ではそれらを出来る限り高いレベルでキープした同様の波形とすることができるようになっています。
コンピュータはギガヘルツの帯域でノイズを発生していますが、これはパソコンの負荷で変わってもきます。
普通のパソコンでもこのノイズを小さくすることはできるのですが、完全に止めることはできません。
競合のモデルでは「完全にゼロにできる」と言い切っているモデルもありますが、実際に測定してみるとゼロではありません。私達も完全にゼロにはできていませんが、限りなくゼロに近い値まで追い込んでいます。それがiUSB3.0の最大の特徴だと思います。