徹底的にこだわった「ちゃんとしたハイレゾ」
「けいおん!」ハイレゾ制作者に聞く舞台裏。原曲・キャラのイメージ保ちハイレゾ化
■いま改めて語られる「けいおん!」楽曲制作の舞台裏
小森:劇中に使われるものでは、かなり楽器もそのまま限定して忠実に作っていますね。たとえばキーボードだと、コルグのトライトン以外は使っていないとか。キャラソンなどは別として、劇中で使われるものについてはきっちりと同じものを使ってやりましたね。極力同じものを使おうとしていました。
磯山:実際にあのとき、トライトンのエクストリームって廃番になっていたよね。
小森:それを探し出してきて。
井野:律のドラムの黄色いのも探しましたよね。
磯山:そうそう、実際に一回それで録った。
小森:あの黄色いの、ヤマハので実際にあるんだよね。それを組んで録ったね。
ーーそこまでこだわろうというのは、最初からそういうコンセプトだったのでしょうか?
小森:最初からそうです。まず楽器を買いに行きましたからね。
磯山:同時に声優さんたちに練習してもらったので。もう設定通りの、同じものを、神保町まで行って買ってきて。
ーー映像中の撮影シーンがすごくリアルなんですが、収録しているところを撮影したりとかは…?
磯山:撮影は全曲しました。アニメに出てくるものに関しては、3台のカメラを使いました。引き画と寄り画と、あと自由に動くカメラを使って。僕は映像のディレクターでもあるので、自分でカメラを回しました。
井野:しかも各パートそれぞれで、それをやるんです。
ーーそれは大変ですね…。
磯山:各楽器それぞれプレイバックして、演奏してもらって。たいてい、深夜の1時か2時にそれをやってもらうんですね。ミュージシャンさんたちはみんなヘロヘロになってて。
小森:そうそう。1時か2時にすべて演奏がオーケーになったら、そのテイクをプレイバックしながらもう一回演奏してもらって、それを撮影するんです。
磯山:で、それをDVDに焼いて、京都アニメーションさんに送ります。すると京都アニメーションさんがそれを見て、きちんと作画してくれるんです。運指も含めて。
ーーじゃあ映像と音がぴったり合ってるのは当たり前なんですね(笑)
磯山:そういうことです。
ーー今回は「ハイレゾ」がテーマですが、なぜこのタイミングだったのか、もともとハイレゾに対してどうお考えだったのかということについて教えて頂けますか?
深井:最初にこのハイレゾのお話しを頂いたとき、いわゆる「なんちゃってハイレゾ」ってあるじゃないですか、それが頭をよぎって。「けいおん!」はこだわって作ったので、ちゃんとしたハイレゾにしたいという話をしました。やるんだったら磯山さんを呼んでくれ、と。それもあって、かなりちゃんとしたものになっているはずです。
磯山:実は僕、拠点は北海道なんですね。東京にはこれをやるために来ているという感じです。
ーーところで「ちゃんとしたハイレゾ化」をするために、マルチからアップコンバートしたことは大きかったのでしょうか?
磯山:それはエンジニアの井野さんが、「やるならそこからやると必ず変わるから」と言ってくれたので。