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注目の新進ブランドの思想に迫る!

ポータブルオーディオブランド「AROMA」のキーパーソンに訊く!マニアの熱意で作り上げられる個性とは?

公開日 2016/10/28 12:31 聴き手:季刊・ネットオーディオ編集部 浅田陽介
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■さまざまなイヤホンを組み合わせることで、広がる楽しみを伝えたい

―― いま「Witch Girl」には「Pro」と「S」、そして日本でも発表されたばかりの「12」がありますが、BA型やダイナミックドライバーとのハイブリッドなど、異なるタイプの製品を用意していることは、少数精鋭の企業としては珍しいと思います。これには理由があるのですか?

ヴィンセント 異なるドライバー構成のモデルをラインアップした最も大きな理由は、それぞれのモデルで違う音を出したかったということです。つまり、ユーザーの皆様に多くの選択肢を提供するということですね。ユーザーの皆様個人個人の好みによって合う、合わないがあるので、そのニーズに対応する意味でも選択肢は多い方が基本的には良いと思います。例えば、ユーザーさんがこんな音が欲しいと思ったら「あ、それはアロマにもあるな」と思い出してもらえる機会が増えるわけですからね。これはアンプも同様で、いま「A10」に加えて新しい「N10」というモデルも開発しているのですが、これも同じように選択肢を提供するという意味合いです。

アロマのイヤホン達。それぞれに異なるタイプを用意することで、「ユーザーに選択肢を提供したい」と話す

―― イヤホンの「Witch Girl」3機種については、それぞれどのような音を求める人をターゲットにしているのですか?

ヴィンセント どこの層のどういう人をターゲットにする、ということは実は決めていないんです。なによりも「イヤホンを変えると音が変わる」ということを実際に体験して欲しいと思っています。例えば、自分が持っているプレーヤーに対してイヤホンはひとつで、というたったひとつの遊び方ではなくて、色々なイヤホンを使うことで広がる音の遊び方を楽しんでもらえたら嬉しい、というところですね。

―― 「Witch Girl」には、アロマならではの技術的特徴というのはあるのですか?

 技術的に何か特別なことがあるわけではありません。例えば、他のメーカーさんが市場を見て「これくらいのシェアがあって、これくらいの利益があって……」というような売り方をするのに対して、私達は「ユーザー発信の、ユーザー目線でデザインされたもの」、つまり、たとえ新しいものではなくても、自分達が「楽しい」と思えるものを目指して作っています。技術ではなく、このマインドこそがアロマの最大の特徴です。
デザインもアロマならではの音が出るようなものとしていて、「聴くだけでアロマと分かる」くらいのブランドになりたいと思っています。

―― そんな「アロマならではの音」を決めるときには、どのようなソースを用いているのですか?

ヴィンセント 特に何かの曲を限定して聴くというような音の決め方はせずに何でも聴いていますが、モデル毎に聴いているポイントは違いますね。例えば、「Witch Girl S」では楽器や人の声を聴いた時に、解像度を高く表現できるようにチューニングしています。アニソンなんかも気持ちよく聴けるように意識していますね。「Witch Girl Pro」の方では、流行りの曲も使っていますが、クラシックなどよりアコースティックな音源の再現性を重視していますね。つまり、高品位なヘッドホンをより意識した音作りということですね。

―― 先日開催されたヘッドフォン祭では、現時点の最上位モデルとなる「Witch Girl 12」の最終型がデモンストレーションされて大きな話題を呼んでいましたね。

ヴィンセント 「Witch Girl 12」は、「S」と「Pro」を統合させたようなイメージで、「全ての音楽に合うように」と作ったイヤホンです。超高音×2、高音×2、中音×4、低音×4の全12個のドライバーを搭載しているのですが、その全ての周波数帯域で優れたバランスを作り上げています。

2016年10月に開催されたヘッドフォン祭で発表された12基のBAドライバーを搭載した「Witch Girl 12」

―― ドライバーを増やせば増やすほど、クロスオーバーの問題などさまざま課題が出て来ると思うのですが、このあたりはどのように解決したのでしょうか?

 「Witch Girl 12」の開発をスタートさせた時は、とにかく問題が山積みでしたね。ご指摘のクロスオーバーの問題もそのひとつです。こうした問題をひとつずつカット&トライを繰り返して解決していきました。開発にあたって「音楽はひとつの有限のものである」として捉えた上で進めて、最終的にはこの12ドライバーの形に落ち着きました。

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