オーディオ評論家・山之内 正氏&土方久明氏が語る
日本でもいよいよ本格始動。 ハイレゾストリーミングはネットオーディオソースの本命だ!
■「次は絶対ストリーミングだ」、その確信を持っていた
土方氏: 山之内先生はストリーミングがここまで流行ると思っていましたか?
山之内氏: はい。変化の潮流はストリーミングに向かうと見ています。これから通信速度は加速度的に上がり、いずれ圧縮する意味はなくなりますし、さらに言えば手元にデータを置いておく必要もない。
インフラが整うのと同時に、データを共有するシステムはエコになってきます。CDという物理的な介在がなくなり、ダウンロードでは個々のユーザーがストレージを使いますが、ストリーミングの場合は何千万人のユーザーがストレージを共有するわけです。ハイレゾストリーミングに向かう変化は自然なものだと思います。
土方氏: 本当にその通りですよね。映像はNetflixなどが当たり前の時代ですからね。ストリーミングという点では、映像の方が少し早かったですよね。
―― お二人それぞれのストリーミングの楽しみ方や、どのように取り組まれているかを教えてください。
土方氏: 僕が今契約しているのは、Spotify、Apple Music、TIDAL、Qobuz、Amazon Music HD、mora qualitasと多いのですが、実はそれぞれに役割があります。
SpotifyとTIDALは旬の音楽がたくさん入っているので、それらをチェックするのに使っています。Qobuzに関しては、クラシックやジャズがとても多く、僕のメインソースになっています。それらに加えてAmazon Music HD、mora qualitasが始まったので、邦楽がロスレス、ハイレゾでかなり聴けるようになりました。
僕は、ストリーミングサービスは音質が最優先で次に楽曲数が重要視されると思うのですが、もうひとつ重要なポイントがあります。それは導入経路です。最終的にはオーディオ装置で聴くことになりますが、サービスごとの専用アプリの画面内から、膨大なタイトルへの導入経路を複数持っていることが必要となっています。
山之内氏: 目的の曲にアクセスするルートということですね?
土方氏: そうです。それには画面のユーザーインターフェースがカギとなっていて、TIDALとSpotifyはそこが非常に優れているのでいろいろな楽曲を見つけることができます。
特にSpotifyが素晴らしいのは、見ていても楽しいし、たくさん楽曲がある中を次から次へと検索していけるところにあります。具体的には、レコメンドという自分の好きな物を解析して送り出してくるメニューのほか、プレイリストも例えば「70年代好き」「J-POP好き」など豊富に用意されています。
ちなみに僕の現在の聴き方は、家ではストリーミング5割、アナログ4割、ハイレゾ1割という感じです。車や外出先だとストリーミング9割、ハイレゾ1割という感じです。家ではアナログも聴きますが、最近はストリーミングが多くなりました。