UB9000を凌駕するクオリティの秘密
パナソニック「DMR-ZR1」が起こす“4Kトランスポーター革命”。開発者ロングインタビュー前編
■全録廃止やカードスロット排除など、多機能よりもクオリティ重視を明確化
秋山:今回は「UBZ1」から「ZR1」という型番に変わりましたが、どのような意味が込められているのでしょうか?
村上:「Z」は最上位を表しています。「R」はレコーダーとリファレンスのダブルミーニングです。呼びやすく、ハイエンド感がある名前ということで、開発チームとも相談しながら決めました。
秋山:某社製テレビの映像エンジンと名前がカブりましたね?
甲野:発表をみた時には驚きましたが(苦笑)、個人的にはとても気に入っています。
秋山:これも何かの縁だと思いますので、レグザさんとのコラボも勝手に期待しております(笑)。ちなみに、全録に対応しなかったのはコンセプトの違いですか?
村上:UBZ1やUB9000を買われたお客様と、全録の上位モデルを買われるお客様の層が違うというのが主な理由です。多機能よりもクオリティ重視を明確化することで、ZR1のコンセプトを尖ったものにしたいと考えました。
秋山:デザインやカラーはUB9000とほぼ共通ですが、そのあたりは議論になりましたか?
村上:すでに高い評価をいただいていた筐体デザインでしたので、UB9000ベースで行くと決まってからは大きな議論にはなりませんでした。
谷口:4K放送対応にともないACASチップが本体に内蔵されたことで、B-CASカードスロットが無くなりました。さらに、主に写真の閲覧で使われるSDカードスロットについても、お客様の撮影環境がデジカメからスマホへ移行していることから、「どこでもDIGA」アプリからの転送が主流になると考え廃止しました。もちろん前面のUSB端子にカメラを直接つなげていただければ、写真や動画データの読み込みは可能です。
秋山:結果的に、レコーダーでは一般的な前面開閉式カバーが廃止されたわけですが、このあたりは再生クオリティにも影響があったのではないですか?
濱野:個人的な趣味も入ってしまうのですが、やはり高級機の筐体というものは可動する部分をできる限り排除していくべきだと考えています。どうしてもその部分にガタつきや乱れが発生してしまうからです。それでなくてもレコーダーはハードディスクやチューナーが内蔵されるため、プレーヤーに比べるとどうしてもネガティブな印象になりがちです。
ZR1ではUB9000の筐体を継承することで、そうしたイメージを払拭したいと考えました。SDカードスロットが廃止になると聞いたときは、「ついに来たか!」と心の中で叫んでしまいましたね(笑)。B-CASカードスロットやSDカードスロット、それにともなう開閉式カバーの存在が筐体設計上の足かせになっていたのは事実なんです。これらが無くなったことで、ようやくオーディオライクなレコーダーを作る条件が整ったと思いました。
次ページZR1は“4Kデジタルトランスポーター”という「革命」