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ロスレス再生や遅延への対応を強化

「Snapdragon Sound」が第2世代に進化、何が変わる?クアルコム幹部に聞いた

公開日 2022/11/18 12:17 山本 敦
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■Auracastによるブロードキャストコンテンツの可能性



Snapdragon Summitの初日のイベントレポートでも伝えた通り、Snapdragon 8 Gen 2とS5/S3 Gen 2 Sound Platformを組み合わせると、1台の送信端末から複数の受信端末に音声を送り届ける「Auracast」が利用できる。チャップマン氏はAuracastが実現する次世代のエンターテインメントをどのように捉えているのだろうか。

Bluetooth LE Audioが実現する新しいBluetoothオーディオのエンターテインメントに含まれる「Auracast」

「不特定多数のBluetoothオーディオ機器に向けてブロードキャスト配信ができることから、今までにないワイヤレスオーディオの楽しみ方が生まれることを期待しています。例えば複数のモニターに異なるコンテンツを表示している空港やスポーツバー、街中のショーウィンドウなどを想像してください。従来はディスプレイに表示されている映像を、音声はミュートしたまま見ていました。Auracastではユーザーが不特定多数のユーザーに向けてブロードキャストされているコンテンツを、各自の端末側で “チャンネルを合わせる” 操作によりオーディオ付きで視聴できるようになります。または個人が自分のスマホからブロードキャストを行い、友人や家族など、同時に視聴することを許可した相手とシェアしながら音楽や動画を楽しむことも可能です。私はAuracastが実現するエンターテインメントに大きな可能性を感じています」

■ゲーミングモードはレイテンシーを大幅改善



ほかにもSnapdragon Soundは、モバイルオーディオの様々な体験をブラッシュアップした。

モバイルゲームコンテンツを楽しむ際、aptX Adaptiveコーデックが選択された状態でゲーミングモードを有効にすると、ワイヤレス音声のレイテンシーが最大48msまで低減され、音と映像のズレが解消される。チャップマン氏はゲーム体験を高めることを突き詰めた結果、Bluetoothでつながるデバイスどうしの音声伝送だけでなく、タッチパネルの操作応答も含めて遅延を48msの範囲に抑えたことを特に強調している。

第3世代のAdaptive ANCはイヤホンの装着状態だけでなく、外部環境音のノイズも判定しながらより高度な自動ノイズキャンセリング調整が可能になる。また外音取り込みの強弱を環境に応じて可変させる「Adaptive Transparency」に対応する。ユーザーがオーディオ機器を装着時に、会話を始めたことをチップセットが検知して、ノイズキャンセリングから外音取り込みにモードを切り換える機能も新たに加わる。

S5/S3 Sound Platformを採用するワイヤレスオーディオのデバイスは2023年の第2四半期以降の商品化が見込まれている。引き続きその動向に注目したい。

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