PR注目の音質、「サウンドフィールド」モードもレポート
“ヤマハらしさ” の全てが結実、ハイエンドヘッドホンアンプ「HA-L7A」のこだわりを開発者に聞く
土方氏:「シネマDSP」をベースに作られた機能といえば、以前ワイヤレスヘッドホンの「YH-L700A」に「3Dサウンドフィールド」という機能が搭載されていましたね。HA-L7Aの「サウンドフィールド」モードは、その先行製品から得られたフィードバックを活かしたり、変えている部分もあるのでしょうか?
佐藤氏:ワイヤレスヘッドホンとヘッドホンアンプという違いはありますが、DSP処理ですとか、ベースとなる技術そのものは大きく変わっていません。しかしハイエンド製品であるHA-L7Aでは、音作りのベースとなるハードウェアを万全に整え、そこにDSPによる音場創生機能を加えるというかたちで作ることができました。
もちろん、YH-L700Aも我々が自信を持って作り込んだ製品です。しかし、どうしても価格帯ゆえの制限があり、DSP処理を突き詰めるほどヘッドホン自体の音質の限界があらわになってくる部分もありました。HA-L7Aではその心配はなく、DSPとハードウェアの調整にしっかりと時間を割けば割くほど良いものになりました。
土方氏:いくらDSP処理が素晴らしくても、最終的な音は当然アンプやヘッドホンに左右されてしまうわけですよね。その点、今回ハイエンドのヘッドホンアンプにDSPの音場創生技術を搭載することで、世の中にある素晴らしいヘッドホンの性能を最大限使って映像コンテンツも楽しめてしまう。本当に価値があるポイントだと思います。
■型破りな外見も実用性ありき
土方氏:HA-L7Aの嬉しいポイントのひとつが、これだけの音質を備えながら、デスクトップに無理なく置ける現実的なサイズだということです。そんな実用性デザインは、あえて言ってしまいますが型破りですよね。
特に、筐体は実質オーディオ部と電源部の2ブロックに分離して、電源部には大型のトロイダルトランスを2つも載せている、なんていうところは目を惹きます。そんな独特な設計を採用した背景や、部品選定の経緯について教えていただけますか?
佐藤氏:トロイダルトランスに関してですが、皆さん見て取れるように目立っていますが、ただただ奇抜にしたかった訳ではなく、しっかりと意味があります。
元々は「多少大型にはなっても、デスクトップに置こうと思えば置けるサイズに納めたい」というところから始まりました。そこから、基板を2階建て構造にしたり、さらには電源部を思い切り持ち上げてしまおう、という発想につながったのです。こうすることで、トランスから整流基板までの線材を短くでき、電源の質を高められます。
そして、製品コンセプトである“ヤマハらしさ”を、ここでもしっかり出し切るためには何ができるのかと反芻すると、「音の流れ」「信号の流れ」を大事にするということに行き着きました。DACからプリアンプ、パワーアンプと伝わっていく信号の流れを考えたとき、プリ(微小信号)とパワーはしっかりと分離して、ノイズをケアしようと決めたんです。
そこで、プリにひとつ、パワーにひとつ、計2つのトロイダルトランスを採用するに至りました。トランスはこのカテゴリーの製品ではかなり大きなサイズですけれども、その分設計にもゆとりをもたせまして、発熱などもなるべく抑えられるようにとの意図があります。
■技術者とデザイナーの密な繋がりも“ヤマハらしさ”
土方氏:改めてお尋ねしますが、HA-L7Aのデザインはヤマハ社内で考案されたものなんですよね?ヤマハさんの製品では、例えば「B-1」というパワーアンプは今見ても素晴らしい先進的なデザインで、ファンも多かったと記憶しています。それと同じくらい、HA-L7Aのデザインもオリジナリティにあふれているところが大変嬉しかったのですが、なにかモチーフなどはあるのでしょうか。
佐藤氏:デザインに関しては、モチーフと言いますか、我々としてこのHA-L7Aに込めたかったのが、「サウンドフィールド」モードは遊びや飛び道具感覚で付けたのではない、れっきとした一機能であるという想いでした。