山之内 正の独HIGH ENDレポート(1)ELAC、300シリーズ最新モデル「BS312」発表
エラックがマイクロサイズのハイファイスピーカーを提案したのは1993年のIIFAが最初だという。それがアルミニウム製エンクロージャーを採用した305の誕生につながり、1998年にはJETトゥイーターを積む310JETへと進化を遂げる。
最初のプロトタイプからちょうど20年を経た2013年5月、同社は300シリーズの最新モデルとしてBS312をミュンヘンのHighEnd2013で発表した。昨年登場した400シリーズや190シリーズと同様、トゥイーターに最新世代のJET 5を積み、AS XRコーンを継承したウーファーユニットも本機のために新規開発するなど、全面的なリューアルを果たしている。
310はアルミ押し出し材を採用することによって板厚を最小限に抑え、ミニマムサイズのキャビネットから最大限の容積を引き出して深みのある低音を実現するなど、革新的なアイデアで高いクオリティを獲得。いまでもエラックを象徴するスピーカーとして人気が高い。
その310をベースに最新のJET5トゥイーターを積み、専用ウーファーを搭載したのがBS312である。JET5は振動板面積の拡大、耐入力性能の向上など本質的な進化を遂げており、トゥイーターが新たに獲得した性能に合わせて、総合的なクオリティアップを狙ったというのが今回のモデルチェンジ最大のテーマだ。外見上はJETトゥイーターの開口部の形状、ウーファーのエッジの幅と形状などが異なることと、ブラッシュ主体の落ち着いた仕上げにまとめていることに特徴がある。
キャビネットのサイズは前作とまったく同じでクロスオーバー周波数にも変更はないが、入力端子はバイワイヤリングからシングルに変わっている。これは最近のエラック製スピーカーに共通する変更点の一つで、接続に関わるトラブルを減らすと同時にターミナル部の構造と配線がシンプルになるなど、音質面でのメリットもある程度は期待できる。
カットモデルを見るとネットワークの部品配置以外にもいくつか現行製品との違いがあるようだ。今回はエアフローをさらに改善してオープンな低域を獲得したという説明があったが、たしかにキャビネット内の構造が以前よりもすっきりしている印象を受けた。
会場ではブースが共通のプライマー製CDプレーヤーとアンプを組み合わせたデモンストレーションを行なっていた。コントラバスの基音の音域まで低音が自然に伸びていることは現行製品と同様で、このサイズからは信じられない帯域の広さを実感させる。低音の余韻に澄んだ感触が増しているとともに、中高域は310CEや310IBと比べても少し鮮鋭感が上がっているが、全体の音色はあくまでも柔らかい。最初のコンセプトモデルから20年という長い歳月を経ているにも関わらず、サウンドとデザインいずれもまったく古さを感じさせないのは驚くべきことだ。
エラックのブースにはそのほか400シリーズのセンタースピーカーCC400や大型のフロア型モデルFS409が展示されていた。
(山之内 正)
最初のプロトタイプからちょうど20年を経た2013年5月、同社は300シリーズの最新モデルとしてBS312をミュンヘンのHighEnd2013で発表した。昨年登場した400シリーズや190シリーズと同様、トゥイーターに最新世代のJET 5を積み、AS XRコーンを継承したウーファーユニットも本機のために新規開発するなど、全面的なリューアルを果たしている。
310はアルミ押し出し材を採用することによって板厚を最小限に抑え、ミニマムサイズのキャビネットから最大限の容積を引き出して深みのある低音を実現するなど、革新的なアイデアで高いクオリティを獲得。いまでもエラックを象徴するスピーカーとして人気が高い。
その310をベースに最新のJET5トゥイーターを積み、専用ウーファーを搭載したのがBS312である。JET5は振動板面積の拡大、耐入力性能の向上など本質的な進化を遂げており、トゥイーターが新たに獲得した性能に合わせて、総合的なクオリティアップを狙ったというのが今回のモデルチェンジ最大のテーマだ。外見上はJETトゥイーターの開口部の形状、ウーファーのエッジの幅と形状などが異なることと、ブラッシュ主体の落ち着いた仕上げにまとめていることに特徴がある。
キャビネットのサイズは前作とまったく同じでクロスオーバー周波数にも変更はないが、入力端子はバイワイヤリングからシングルに変わっている。これは最近のエラック製スピーカーに共通する変更点の一つで、接続に関わるトラブルを減らすと同時にターミナル部の構造と配線がシンプルになるなど、音質面でのメリットもある程度は期待できる。
カットモデルを見るとネットワークの部品配置以外にもいくつか現行製品との違いがあるようだ。今回はエアフローをさらに改善してオープンな低域を獲得したという説明があったが、たしかにキャビネット内の構造が以前よりもすっきりしている印象を受けた。
会場ではブースが共通のプライマー製CDプレーヤーとアンプを組み合わせたデモンストレーションを行なっていた。コントラバスの基音の音域まで低音が自然に伸びていることは現行製品と同様で、このサイズからは信じられない帯域の広さを実感させる。低音の余韻に澄んだ感触が増しているとともに、中高域は310CEや310IBと比べても少し鮮鋭感が上がっているが、全体の音色はあくまでも柔らかい。最初のコンセプトモデルから20年という長い歳月を経ているにも関わらず、サウンドとデザインいずれもまったく古さを感じさせないのは驚くべきことだ。
エラックのブースにはそのほか400シリーズのセンタースピーカーCC400や大型のフロア型モデルFS409が展示されていた。
(山之内 正)
関連リンク
トピック