開発陣などが特徴を紹介

JVC、「EX-HR9」など新“ウッドコーンオーディオ”の高音質化ポイントを解説

公開日 2014/06/13 19:30 編集部:小野佳希
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また、ダンパーには、内側から外側に向かって山谷の高さを大きくした「不均一コルゲーションダンパー」を採用。これにより、振動板の振幅方向追随性を向上させ、低音域でのリニアリティを改善。歪みの少ない低音再生につなげている。

ダンパーの山谷が不均一

さらに、ボールピース上部には、センターキャップの内側に発生する音の処理を行うためにメイプル材の吸音材を装着。吸音材の繊維方向も縦方向に合わせて装着させている。また、センターキャップはR(曲率)をR23からR15へと変更。凸量を増やすことにより、聴感上、抜けの良い高域再生を実現できるようにした。

Rの変更でも高音質化を図る

加えて、ドライバー内のボイスコイルボビンには、木を薄さ80μmに削りだして加工したものを使用。音の伝達ロスを抑制し、解像度を高めた。

木製のボイスコイルボビンを採用


ユニット磁気回路後部には八角形のメイプル材ウッドブロックを採用。取り付け位置を1mm刻みで調整してダクトからの不要高域成分を制御、最適化している。また、吸音材にメイプルの木製チップを採用。こちらも最適な音質を得られるように0.1g刻みで調整したという。「0.1gという単位になると作業中はエアコンも付けられないくらいの環境になるので、夏場の作業が大変だった(笑)」(今村氏)とのコメントもあった。

八角形のメイプル材ウッドブロック

エンクロージャーの内部構造も見直し。響棒の位置を最適化するなどで、解像度の向上、重心の低い低音再生、音場表現の拡大を図っている。また、ダクトから低音が放射されるときに発生する風切り音を低減するため出口にフェルトを追加してノイズ対策を行ったり、ダブルナット構造ターミナルの採用で内部配線との接触抵抗を極力小さくするなどといった配慮も行っている。

EX-HR9のスピーカーのカットモデル

レシーバー部には、徹底的な振動対策を行っている点が特徴。シャーシ底部に厚さ9mmのMDF材によるアークベースを取り付け、剛性を高めるとともに振動を吸収させている。なお、固定部には銅メッキネジを採用。重量を付加することで定重心な低音再生につながるという。

脚部は3点支持で、真鍮無垢削り出しインシューレーターを採用。前側2個には銅メッキネジと銅ワッシャ、後ろ側の1個は銅メッキネジと真鍮ニッケルワッシャと銅ワッシャといった具合に異なる方法で固定することで、定純真で輪郭が整った低音再生の実現を図った。さらに、低音エネルギーの増加を狙い、滑り止めリングも使用箇所で大きさを変えている。

MDF材のアークベースで剛性補強を行うとともに真鍮無垢削り出しインシューレーターを採用。写真左手前の脚だけ滑り止めリングの大きさが異なる

そしてトップカバーの両サイドには木製ボードを採用。トップカバーの振動吸収と剛性向上によって解像度を高めると同時に、重量付加効果によって低音再生の定重心化にもつなげている。

さらに、今回の3モデル中で本機のみトップカバーの両サイド固定ネジに銅メッキネジを採用。これによって、より輪郭が整った濁りのない中域再生を実現するという。

■「EX-HR7」にも異方性振動板や八角形チェリー材ウッドブロックを採用

「EX-HR7」のスピーカーには、上位モデル「SX-WD200」のドライブユニットを採用。また、前述のシリーズ最上位機「EX-HR9」同様に異方性振動板も採用している。なお、「EX-HR9」では表側(ユーザーから見える側)に異方性振動板を装着しているのに対し、本機は裏側への装着を採用。この理由は「表側にしたほうが効果が高いのだが、2ウェイモデルは海外でも展開するため、十字架のようにも見えるという宗教上の理由があった」という。

EX-HR7

異方性振動板は裏側に採用

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