さらなる廉価機投入はあるのか?
<CES>テクニクスCTO 井谷氏に聞く「SL-1200GR」を約半額にした理由、できた理由
日本では「重心マウント」という、このユニークな発想は、同社のトップエンドスピーカー、R1を作ったエンジニアたちが発想したものだと井谷氏は説明する。
「R1では点音源思想やリニアフェーズ思想をベースに開発しましたが、それを突き詰めて設計にメスを入れようとすると、いままでのユニットの取り付け方自体に問題があるのでは? というところにまで行き着きまして。それで今回のような設計とすることで、不要振動を抑えることが可能となりました」。
この新たな方法を採用したことよって磁気回路の振動が低減するほか、キャビネットに伝わる振動も抑えられる。振動板をぶれずに駆動することで、抜けがよくリアルな音場を再現するとしている。なお、この重心マウントは特許出願中という。
■ベルリン・フィルの意見を製品開発にも活かす
最後に、昨年末発表された、パナソニックとベルリン・フィルが技術開発で協業した件についても尋ねてみた。
テクニクスとベルリン・フィルとの関わりでは、「テクニクスのエンジニアをベルリン・フィル・メディアに派遣し、トレーニーとして知見を得る、という活動を行うことが決定しています」という。
さらに、2018年発売のモデルからは、ベルリン・フィルの関係者のアドバイスを受け、製品の音をチューニングすることも行っていくという。
「製品を持ち込みまして、プロデューサーや演奏者の方々、またベルリン芸術大学の方など、ベルリン・フィルを中心とした音楽コミュニティの方々に対し、我々の製品を聴いてもらい、フィードバックを頂き、それを製品開発に活かすことを考えています。ちょうど我々が映像製品において、PHLをベースにして、ハリウッドの映画制作者の方々と密接に連携したのと同じようなことを、オーディオでも行いたいと考えています」。
なお映像技術における協業は、もっと早期に成果が出る見込みだ。
すでにニュースリリースでも触れられているとおり、ベルリン・フィルのホールや映像スタジオに、パナソニックの4K/HDR対応カメラやモニターなどの機材を2017年7月に納入開始する。
ベルリン・フィルは2017/2018コンサートシーズンから、映像配信サービス「デジタル・コンサートホール」を4K/HDRで配信する予定となっている。テクニクス、そしてパナソニックとベルリン・フィルという強力タッグ。その成果にも期待したいところだ。
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