CMシリーズの後継
B&W、“過激な進化”の中級スピーカー「700シリーズ」。800 D3の技術継承/全ユニット刷新、15万円から
2015年末から2016年にかけて、B&Wはフラグシップを全面的にリファインして「800 D3」シリーズを発売。ダイアモンド振動版とスピーカー端子以外は全てを新規開発という大規模な刷新を行った800 D3は、周知の通りHi-Fiオーディオの新しい到達点として、批評家と愛好家の両方から高い支持を得るに至った。
そして今回の700シリーズは、この800 D3の成果をミドルクラススピーカーに反映させることが目的となった。また、形状的にも価格的にも挑戦的な追求を行った800 D3に対し、広範なユーザーが望んでいる、「よりコンベンショナルなデザインで手ごろな価格のスピーカーにおいてB&W最新のサウンドを提供するという意味合いもある」(同社)とのこと。ちなみに、型番に「S2」と付くのはB&Wが2003年に一度「700シリーズ」という型番を用いて製品展開を行っていたためだ(こちらは新700シリーズとのつながりは基本的にない)。
■800 D3からコンティニュアム・コーンを継承
700シリーズは、従来のCMシリーズとエンクロージャーをほぼ同じくしながら、トゥイーターとミッド/ウーファー、そして3ウェイ・モデルのウーファーと、全てユニットを刷新した。
刷新の中心となるのが、800 D3でケブラーコーンにかわる新しい振動板として開発、採用されたコンティニュアム・コーン(Continuum cone)をミッドレンジに採用したことだ。従来のCMシリーズもミッドレンジはケブラーコーンを搭載しており、800 D3同様にミッドレンジがケブラー特有のイエローから銀色に変わったことは、外見的な印象の変化を決定づけている。
コンティニュアム・コーンの特徴は、コーンの柔軟性を最適化することで、分割共振(ブレークアップ・モーション)への突然の挙動の変化を回避して、振動板固有のキャラクター(音の色付け)を排除したことだ。一般的なスピーカーユニットでは一定の周波数帯域までは正常なピストンモーションが行われるが、ある帯域を超えると分割共振が発生。ピストンモーションから分割共振への突然の移行が極端な振動モードの変化となり、それが固有の音の色付けとなって現れてしまう。
“連続性”を意味するContinuumの名を冠したコンティニュアム・コーンは、正常なピストンモーションと分割共振の境界をなくす(連続化する)ことで、音に固有の色付けが現れることを回避することができる。
プレゼンではコンピューター解析で可視化されたケブラーとコンティ二アムのピストンモーション時のユニット形状の変化も紹介。澤田氏は「立ち上がりのスピードは両方ともほぼ変わらないが、信号入力がなくなったところでもケブラーは振動板面がまだ変化しているのに対して、コンティニュアムは綺麗に元の形状に戻っている」とその違いを紹介した。
■ミッドレンジのフレームや取り付け方法も進化
コンティニュアム・コーンの採用に合わせて、ミッドレンジのフレームを従来の亜鉛製からアルミニウム製に変更。さらにはFEA(有限要素法)による最適化を行い、駆動時の固有共振を大幅に抑えた。これは端的には「鳴きが少ない」ことを意味していて、澤田氏は新旧のフレームをそれぞれハンマーで叩いてみせた。するとCMのフレームはコーンと高い音で響く“鳴き”があるのに対して、700は「コンッ」という乾いた音がする。
フロア型の3モデルについては、ミッドレンジの取り付け方も変更。ミッドレンジをエンクロージャーのバッフル板にネジ止めせずに、エンクロージャーの裏面から伸びるバーに固定する方式を採った。実際にミッドレンジに触れると、バッフルに固定されていないのでわずかに動く。この装着方法によりミッドレンジの振幅とバッフルの振動とが干渉しなくなり、より音楽信号に忠実な再生が行えるという。このミッドレンジの取り付け方式は800 D3のマーランヘッドにミッドレンジを取り付ける方法と同じで、同社としてそれを初めて箱形のエンクロージャーで実現したことになる。
なお、このミッドレンジの取り付け方法が2ウェイ・モデルでは採用されていない理由については、「2ウェイモデルでは、コンティニュアム・コーンがウーファーとしての役割も果たすため、より“踏ん張り”を効かせる必要があり、バッフル板に固定する方法がとられている」(澤田氏)とのことだった。
そして今回の700シリーズは、この800 D3の成果をミドルクラススピーカーに反映させることが目的となった。また、形状的にも価格的にも挑戦的な追求を行った800 D3に対し、広範なユーザーが望んでいる、「よりコンベンショナルなデザインで手ごろな価格のスピーカーにおいてB&W最新のサウンドを提供するという意味合いもある」(同社)とのこと。ちなみに、型番に「S2」と付くのはB&Wが2003年に一度「700シリーズ」という型番を用いて製品展開を行っていたためだ(こちらは新700シリーズとのつながりは基本的にない)。
■800 D3からコンティニュアム・コーンを継承
700シリーズは、従来のCMシリーズとエンクロージャーをほぼ同じくしながら、トゥイーターとミッド/ウーファー、そして3ウェイ・モデルのウーファーと、全てユニットを刷新した。
刷新の中心となるのが、800 D3でケブラーコーンにかわる新しい振動板として開発、採用されたコンティニュアム・コーン(Continuum cone)をミッドレンジに採用したことだ。従来のCMシリーズもミッドレンジはケブラーコーンを搭載しており、800 D3同様にミッドレンジがケブラー特有のイエローから銀色に変わったことは、外見的な印象の変化を決定づけている。
コンティニュアム・コーンの特徴は、コーンの柔軟性を最適化することで、分割共振(ブレークアップ・モーション)への突然の挙動の変化を回避して、振動板固有のキャラクター(音の色付け)を排除したことだ。一般的なスピーカーユニットでは一定の周波数帯域までは正常なピストンモーションが行われるが、ある帯域を超えると分割共振が発生。ピストンモーションから分割共振への突然の移行が極端な振動モードの変化となり、それが固有の音の色付けとなって現れてしまう。
“連続性”を意味するContinuumの名を冠したコンティニュアム・コーンは、正常なピストンモーションと分割共振の境界をなくす(連続化する)ことで、音に固有の色付けが現れることを回避することができる。
プレゼンではコンピューター解析で可視化されたケブラーとコンティ二アムのピストンモーション時のユニット形状の変化も紹介。澤田氏は「立ち上がりのスピードは両方ともほぼ変わらないが、信号入力がなくなったところでもケブラーは振動板面がまだ変化しているのに対して、コンティニュアムは綺麗に元の形状に戻っている」とその違いを紹介した。
■ミッドレンジのフレームや取り付け方法も進化
コンティニュアム・コーンの採用に合わせて、ミッドレンジのフレームを従来の亜鉛製からアルミニウム製に変更。さらにはFEA(有限要素法)による最適化を行い、駆動時の固有共振を大幅に抑えた。これは端的には「鳴きが少ない」ことを意味していて、澤田氏は新旧のフレームをそれぞれハンマーで叩いてみせた。するとCMのフレームはコーンと高い音で響く“鳴き”があるのに対して、700は「コンッ」という乾いた音がする。
フロア型の3モデルについては、ミッドレンジの取り付け方も変更。ミッドレンジをエンクロージャーのバッフル板にネジ止めせずに、エンクロージャーの裏面から伸びるバーに固定する方式を採った。実際にミッドレンジに触れると、バッフルに固定されていないのでわずかに動く。この装着方法によりミッドレンジの振幅とバッフルの振動とが干渉しなくなり、より音楽信号に忠実な再生が行えるという。このミッドレンジの取り付け方式は800 D3のマーランヘッドにミッドレンジを取り付ける方法と同じで、同社としてそれを初めて箱形のエンクロージャーで実現したことになる。
なお、このミッドレンジの取り付け方法が2ウェイ・モデルでは採用されていない理由については、「2ウェイモデルでは、コンティニュアム・コーンがウーファーとしての役割も果たすため、より“踏ん張り”を効かせる必要があり、バッフル板に固定する方法がとられている」(澤田氏)とのことだった。