HOME > ニュース > <東芝(1)>“REGZAの顔”本村氏に聞くCELL TVの秘密と国内モデルの新展開

CES2009レポート

<東芝(1)>“REGZAの顔”本村氏に聞くCELL TVの秘密と国内モデルの新展開

公開日 2009/01/09 16:06 Phile-web編集部・風間
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
日本、北米で販売が好調な東芝の液晶テレビ“REGZA”。画質の高さと多機能ぶりで評価の高いシリーズだが、中でもAVファンにとって見逃せない要注目製品が、かねてから同社が発売を表明していた、CELLプラットフォームを搭載したハイエンド薄型テレビ、通称“CELL TV”だ。

4K2K解像度のCELL TV ディスプレイ

昨日行われたInternational CESのプレスカンファレンスで、同社は今年9〜10月に国内で発売予定のCELL TVについて発表した(関連ニュース)。ディスプレイとチューナー部が分かれたセパレート型であること、北米では2010年に4K2Kモデルを投入すること、ストレージが3TBであること、そして8チャンネルチューナーを内蔵し、全チャンネル同時録画が可能なことなどが明らかにされたが、細かな仕様などまだまだ疑問点は多い。今回、CESの同社ブースにて、REGZAの商品企画を担当している(株)東芝 テレビ事業部 商品企画部 参事の本村裕史氏に話を聞くことができたので、その内容をレポートしよう。

(株)東芝 テレビ事業部 商品企画部 参事の本村裕史氏

同社ブースに展示されているCELL TVのディスプレイは2つ。1つは56V型の4K2K(3,840×2,160)ディスプレイ、もう1つは55V型でバックライトに白色LEDを搭載したフルHDディスプレイだ。

4K2Kディスプレイでは、HDCAM-SRのベースバンド信号で入力したフルHD映像を、超解像処理によって4K2Kへ解像度を上げている。この超解像処理は、映像を4分割しそれぞれ超解像処理した後、再構成型超解像処理をリアルタイムで行っている。つまり、フルHD(1,920×1,080)の映像を4つ同時に超解像処理し、継ぎ合わせているというイメージだ。それぞれのフルHD映像の超解像処理には専用のLSIが用いられており、超解像処理用のLSIを4基搭載していることになる。ちなみに、このLSIは現行の超解像対応REGZAに搭載された、メタブレインプレミアムに積まれたLSIと同一のものとのこと。処理方法も現行の超解像処理と同一だ。

デモでは、1,920×1,080の元信号を単純に4K2Kにアップスケーリングした映像と、超解像処理した映像を見比べることができる。実際に映像を見てみると、子細に比較するまでもなく、超解像処理した映像は圧倒的に精細感が高い。4K2Kのパッケージ/放送ソースが流通するのはまだ時間がかかると予想されるが、1,920×1,080の映像でこれだけの解像感を実現できるのなら、4K2Kディスプレイを市場に投入する意義は大いにあると感じた。

4K2K ディスプレイ 超解像オフ

4K2K ディスプレイ 超解像オン


4K2K ディスプレイ 超解像オフ

4K2K ディスプレイ 超解像オン

なお、昨日の同社の説明によれば、4K2Kディスプレイは65V型クラスのディスプレイに採用して北米で販売し、国内では4K2Kの恩恵を感じやすい60V型以上の市場が小さいため、40〜50V型クラスのフルHDディスプレイタイプを販売するとの話だったが、本村氏によれば、「日本で4K2Kを発売しないと決まったわけではない」とのこと。ぜひ国内での販売を期待したいところだ。

もう1つの、フルHDタイプのCELL TVディスプレイについてもレポートしよう。こちらのサイズは55V型だ。

CELL TV用に試作された55V型のフルHDディスプレイ

本機は前述の通り白色LEDを搭載しており、エリア制御で発光を行っている。このエリア制御発光の巧拙によって画質の印象は大きく差が付くが、本機はこの制御をCELLプラットフォームによって行っているとのこと。CELLのプロセッシングパワーを使うことで、より高精度な制御が期待できる。

なお、同社はプレスカンファレンスにて、同社として初めてのLEDエリア制御バックライトを搭載した液晶テレビ「SV」シリーズを発表したが、CELL TVに搭載するLEDバックライトシステムがSVと同じものになるかはまだ未定という。

CELL TVでは、これまでのREGZAのように低解像度コンテンツをいったん1,440×1,080に通常の方法でアップスケーリングした後に超解像処理を行うのではなく、低解像度コンテンツについても直接超解像処理を行うことができる。デモでは、480×360ピクセルの映像を3パスでリアルタイムに超解像処理していたが、ブロックノイズの低減が明らかに感じられた。なお、このときの超解像処理は、前後フレームを参照しない“1枚超解像"処理となる。

低解像度のコンテンツの超解像デモ。写真は元のソース

右が超解像処理を行った映像、左は単純にスケーリングした映像

さらに、CELL TVのチューナー部「CELL BOX」のイメージモックアップも展示されていた。本村氏によれば「完全なイメージモック」とのことで、3TB程度のHDDを内蔵し、8chのチューナーを内蔵することを考えると、市販化の際のデザインはかなり変更されることが予想される。

CELL TVのチューナー部、「CELL BOX」

なお、CELL BOXとディスプレイ部の接続は「有線または無線のどちらになるか未決定。無線の場合はWirelessHD規格も視野に入れている。また、無線はオプションになることも考えられる」(本村氏)という。

同社ブースではWireless HDのデモも行われていた

次ページ北米モデルは超解像が進化 − 国内のREGZAはどうなる?

1 2 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE