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審判を請求し争う方針

JASRAC、公取委からの排除措置命令を受け緊急会見を実施

公開日 2009/02/27 20:48 Phile-web編集部
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会見する加藤氏
10分ほど続いた加藤氏の説明に続いては、集まったメディアとの質疑応答がスタート。テレビ局などを中心に質問が相次いだ。以下、その様子をお届けする。

Q.審判請求をするとのことだが、請求して争っている間の対応はどうなるのか。
A.(顧問弁護士)現在の独禁法では、命令は出された日、つまり今日から有効になる。そういう意味で言えば、現在の包括徴収をすぐに止めて、公取委が指定するやり方にしなければならない。しかし、現在はその指定がどんなものになるのかが分からないので話を聞きに行き、それが実行可能かどうかを検討する。使用した楽曲を全て報告してもらい個別に徴収する方法もあり、技術の進歩によって徐々に増えてきているが、すぐに全てを個別徴収に変えることは現実的に不可能だ。物理的に不可能なことを指示されても無理なものは無理なので、徴収方法については公取委と今後協議していく。審判請求で異議を申し立てる予定だが、命令は発効された以上はこれに従うか、ないしは執行の停止を求めるかを今後判断していく。

(菅原氏)
今回の命令では、包括契約自体がいけないということではない。包括契約での金額を決める際に、その計算へ正確な割合が反映されていないという指摘だ。では、その割合を見るためにはどうしたらいいのかという点が問題だ。その点を来週また公取委へ確認し精査していく。

(加藤氏)
民放連やNHKなどとの話し合いの中で使用した楽曲を全曲報告することで合意しており、既に実際にキー局やFM局では全曲報告になっている。著作権の管理に関しては、放送局側の努力により全曲報告に移行している。

Q.公取委の命令では、JASRACが現在定めている使用料規定に定める放送等使用料の算定方式に問題があるとのことだった。この算定方式の数字を変更するなどの考えはないのか。それとも審判で争っていくのか。
A.公取委から詳しい話を聞いてみないと、どのような方法が示されるかが分からない。仮にそこで何らかの料率が示されたとしても、何をもって判断したのかが分からない。そのためにも、全体の状況が分からなければいけない。現在は全ての放送局が全曲報告にはなっておらず、そうした状況を考えながらの対応になるのでないか。

Q.放送局全体の対応を待っていると、かなりの時間がかかってしまうのではないか。
A.(菅原氏)確かに時間はかかるだろう。問題はそこで何ができるのかだ。著作権料は使用した権利に対する請求なので、著作権者のことも含めて、どういった方法なら合理性があるのかも考えていく必要があるだろう。

(加藤氏)
使用割合に関して我々が先ほどコメントした点については、百歩譲っての話だ。公取委が排除命令を出すと判断するに至った事実関係については徹底的に争う。この点に関する事実がきちんと認識されないと、我々としては承伏しかねる。また、この命令によって放送局が楽曲を使用できなくなるような事態は絶対に避けたい。その点については最大限の努力をする。

Q.事実関係について争うということだが、命令を出したという判断についても間違ったものであるという認識でいるのか。
A.公取委の指摘は、JASRACによる包括契約が他社の新規参入を阻害しているというもの。本当にそれが新規参入を阻害している要件なのかという事実について争うつもりだ。

Q.審判請求をどれくらいでするのかなど、今後のスケジュールについて教えて欲しい。
A.審判請求は命令の謄本が到着してから60日以内に申し立てることになっているので、2カ月以内に請求する。週明けに話を聞きに行くのとは別問題だ。

Q.公取委とJASRACとの間では、競争に対する認識の違いがあるように思う。この点についてはどう考えるか。
A.音楽は物と違って嗜好性の強い世界。放送局は視聴者のニーズによって使用楽曲を決める。つまり、エンドユーザーの嗜好性によって競争力は決まってくる。管理している楽曲数が多いから競争力が高いということではないと思う。

Q.JASRACでは、著作権者へ分配するために使用楽曲のサンプリングデータを出している。これを徴収にも使えるのではないか。
A.計算上ではできるかもしれない。しかし、このデータはJASRACと委託者との総意で決めた組織内のルール。これを組織外の放送局へ適用するわけにはいかないのではないか。そういう意味で、より正確な数字を求めていく必要がある。

Q.今回の命令で、今後どんな影響が出てくると考えているか。
A.詳しい話を聞いてみないと分からない。その話が起点になるだろう。

Q.包括契約について、ネット配信系についての影響などはあるのか。
A.今回の命令は放送事業に限られている。インターネットは基本的に全曲報告ということで動いている。

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