スクープ!
正式発表前のマランツ「UD8004」を独占入手! 早速内部を見てみた
さて、外観ばかり見ていても仕方ない。いよいよ今回のメインテーマに移ろう。天板を開けて内部を見てみると、基板類が3ブロックに分けて構成されていることがわかる。それぞれの相互干渉を避けるねらいだろう。
中央の基板はデジタル&ビデオブロックで、これにはD&Mロゴがプリントされている。一番大きなLSIはアナログデバイセズの「SHARK」で、基板を見る限りこのDSPは1基を積んでいるようだ。ほかにはアンカーベイのビデオDSP「ABT2015」の姿も見える。BD7004に使われている「ABT1030」よりも高品位なもので、スケーリングやI/P変換の精度アップにつながることが期待できる。またデジタル&ビデオ基板の下にはメカドライブモジュールの姿が隠れているが、既存モデルの事例から判断して、これはD&Mオリジナルのメカだろう。
続いて左右のブロックを見てみる。正面から見て左側は電源、右側はアナログオーディオブロックにそれぞれ分けているようだが、注目すべきはアナログオーディオブロックにEIトランスやコンデンサーの姿があること。メイン電源とアナログオーディオ用電源を分けて配置しているようだ。音質対策の一環だろう。
本機のハイライトは、3基板構成のアナログオーディオ回路だ。先ほどのリアパネルを見ればお分かりの通り、上から4ch、4ch、2chに分けられている。4ch+4chはアナログマルチチャンネル音声出力、下の2chはステレオ出力用だ。回路構成を眺めると、ディスクリート部品によるHDAM-SA2回路構成となっていることがわかる。HDAM-SA2は、マランツが主に高級機の音質を高める際によく使用する電流帰還型の回路で、非常に高速に電圧を増幅できるのが特徴。このスルーレートの高さが、音の立ち上がりの速さ、歪みの少なさなど、音質向上に大きく貢献するのは、多くのAVファンや評論家も認めているところだ。
内部を見る限り、アナログオーディオ回路に大きなコストを割いていることが理解できた。これはSACDを再生する際のクオリティに直結するのはもちろん、ブルーレイの音声をアナログ出力する場合にも有効となるはずだ。
マランツはこれまで、多くのSACDプレーヤーの傑作機を世に送り出してきた。その系譜に連なる本機もまた、HDAM回路など同社が得意とする技術をふんだんに用い、SACD/BDのアナログ音声のクオリティアップを図っている。
聞くところによると、同社のBD/SACDプレーヤー最上位機「UD9004」の売れ行きは、同社の予想を上回るペースで進んでおり、非常に好調だという。同じコンセプトを、より手頃な価格で実現すると予想される本機は、はたして市場でどのように受け入れられるのか。正式発表、そして発売後の反響を注視したい。