OLED事業推進室 室長を折原一也が直撃
<IFA>パナソニック幹部に訊く「55型4K有機ELテレビ」の詳細
パナソニックは現地時間9月6日より本格的に開幕したIFA2013にて、55型4K有機ELテレビの試作機を展示した(関連ニュース)。本機の詳細および有機ELテレビの量産技術確立の進展に向けての取り組みについて、パナソニック(株) AVCネットワーク社 理事 OLED事業推進室 室長の清水義正氏が筆者の取材に答えてくれた。
パナソニックの4K有機ELテレビの特徴は、RGB3原色それぞれの有機EL材料を印刷で個別に塗り分ける「RGBオール印刷方式」を採用する点だ。この方式の特徴は、生産性に優れた技術であるということ。さらに、光取り出し効率が高い独自の「透明陰極型トップエミッション構造」により光取り出し率を高め、広視野角を実現する。
同社の4K有機ELテレビのプロトタイプは、今年1月に米国・ラスベガスのCESでも展示されたが(関連ニュース)、CESでのデモ機が56型だったのに対し、今回展示されたものは55型となった。清水氏によれは、この変更は、55型であれば8.5世代のマザーガラスから6枚のパネルを製造できること考慮した結果によるもので、生産性を向上させるための改良の一環であるという。
CESで展示された56型有機ELテレビは、デモコンテンツの影響かやや暗めで、色味も黄色がかっているように筆者には見えた。清水氏にその点を聞くと、「CESでの展示についてはデモソースにも問題があり、様々なご意見をいただきました。黄色がかっているという声もあり、一方で青が強すぎるという意見もありました」とのこと。今回はその反省を活かした調整が行われ、デモにおいては明るい屋外の実写映像もソースに使われていた。
パネルの品質については、研究開発を進める際に均一性(ユニフォーミティ)の優先順位をさらに引き上げたという。スペック面でもCES出展時よりブラッシュアップされ、色域はu'v'色度図によるNTSC面積比で100%カバーから110%カバーへとアップした。ピーク輝度は500cd/m²となる。
有機ELパネルの開発において大きな課題と言われているのが、青色の発光効率の改善だ。これについても、同社の研究により大きな成果が得られたという。またパネル寿命については、家庭用の一般的なテレビとして求められる水準に達したとのこと。パネル駆動方式は1画素単位の駆動とエリア単位での駆動が併用されるなど、本機は様々な技術検討が行われるプロトタイプとなっている。
試作機に搭載された55型パネルは、量産技術確立のためのプロトタイプとして作られたもの。大型化、小型化には、やはり一定の難易度が伴うという。現在、4K有機ELの研究開発、および55型のプロトタイプの製造は同社の姫路工場で行われている。しかし、生産ラインはあくまでプロトタイプ試作用の規模にとどまっている段階で、具体的な量産開始の時期についても未定だという。
4K有機ELテレビの製品化については、現時点では、薄型テレビとして“VIERA”のラインナップで発売することは検討段階に入っていないという。またBtoBについても「社内でも様々なレベルで議論が交わされているが、現時点で具体的な展開は未定」(清水氏)とのこと。
筆者から「ITUで国際規格として承認されたNHKのスーパーハイビジョンでは、色域面でも大きく拡張されている。広色域かつ高精細の有機ELの特性が生かせるのでは」と質問を向けると、清水氏は「今年のCESの会場で試作機をお見せして以来、様々な放送事業者さんからも問い合わせをいただいています」と答えてくれた。
なお今回のIFAでは、ソニーも56型の4K有機ELテレビのデモ展示を行っているが、ソニーの担当者によると、このデモ機はCESと同等のスペックとのことだ。また、製造は台湾AUO社で行われているという。一方でパナソニックは、技術研究から生産までを自社の国内工場で行っている。1月のCESでのデモ機から着実な改善を進めてきたことが強く印象に残った。
なお、IFA 2013の会場ではパナソニック、ソニーの他、サムスン、LGも4K有機ELテレビの試作機を展示している。パナソニックからは具体的な発売時期の言及はなかったが、次世代の高画質ディスプレイの本命として引き続き目が離せない。
パナソニックの4K有機ELテレビの特徴は、RGB3原色それぞれの有機EL材料を印刷で個別に塗り分ける「RGBオール印刷方式」を採用する点だ。この方式の特徴は、生産性に優れた技術であるということ。さらに、光取り出し効率が高い独自の「透明陰極型トップエミッション構造」により光取り出し率を高め、広視野角を実現する。
同社の4K有機ELテレビのプロトタイプは、今年1月に米国・ラスベガスのCESでも展示されたが(関連ニュース)、CESでのデモ機が56型だったのに対し、今回展示されたものは55型となった。清水氏によれは、この変更は、55型であれば8.5世代のマザーガラスから6枚のパネルを製造できること考慮した結果によるもので、生産性を向上させるための改良の一環であるという。
CESで展示された56型有機ELテレビは、デモコンテンツの影響かやや暗めで、色味も黄色がかっているように筆者には見えた。清水氏にその点を聞くと、「CESでの展示についてはデモソースにも問題があり、様々なご意見をいただきました。黄色がかっているという声もあり、一方で青が強すぎるという意見もありました」とのこと。今回はその反省を活かした調整が行われ、デモにおいては明るい屋外の実写映像もソースに使われていた。
パネルの品質については、研究開発を進める際に均一性(ユニフォーミティ)の優先順位をさらに引き上げたという。スペック面でもCES出展時よりブラッシュアップされ、色域はu'v'色度図によるNTSC面積比で100%カバーから110%カバーへとアップした。ピーク輝度は500cd/m²となる。
有機ELパネルの開発において大きな課題と言われているのが、青色の発光効率の改善だ。これについても、同社の研究により大きな成果が得られたという。またパネル寿命については、家庭用の一般的なテレビとして求められる水準に達したとのこと。パネル駆動方式は1画素単位の駆動とエリア単位での駆動が併用されるなど、本機は様々な技術検討が行われるプロトタイプとなっている。
試作機に搭載された55型パネルは、量産技術確立のためのプロトタイプとして作られたもの。大型化、小型化には、やはり一定の難易度が伴うという。現在、4K有機ELの研究開発、および55型のプロトタイプの製造は同社の姫路工場で行われている。しかし、生産ラインはあくまでプロトタイプ試作用の規模にとどまっている段階で、具体的な量産開始の時期についても未定だという。
4K有機ELテレビの製品化については、現時点では、薄型テレビとして“VIERA”のラインナップで発売することは検討段階に入っていないという。またBtoBについても「社内でも様々なレベルで議論が交わされているが、現時点で具体的な展開は未定」(清水氏)とのこと。
筆者から「ITUで国際規格として承認されたNHKのスーパーハイビジョンでは、色域面でも大きく拡張されている。広色域かつ高精細の有機ELの特性が生かせるのでは」と質問を向けると、清水氏は「今年のCESの会場で試作機をお見せして以来、様々な放送事業者さんからも問い合わせをいただいています」と答えてくれた。
なお今回のIFAでは、ソニーも56型の4K有機ELテレビのデモ展示を行っているが、ソニーの担当者によると、このデモ機はCESと同等のスペックとのことだ。また、製造は台湾AUO社で行われているという。一方でパナソニックは、技術研究から生産までを自社の国内工場で行っている。1月のCESでのデモ機から着実な改善を進めてきたことが強く印象に残った。
なお、IFA 2013の会場ではパナソニック、ソニーの他、サムスン、LGも4K有機ELテレビの試作機を展示している。パナソニックからは具体的な発売時期の言及はなかったが、次世代の高画質ディスプレイの本命として引き続き目が離せない。