下位機種「STR-DN850」も
“ソニーのハイレゾ”を6万円台の高コスパAVアンプ「STR-DN1050」で体験
先日行われた新製品発表会にて、「ソニーは、ハイレゾ。」というキャッチコピーを掲げハイレゾの普及に努めていくことを改めて語ったソニー(関連ニュース)。同日はヘッドホンやヘッドホンアンプ、ウォークマンなど主にパーソナルオーディオ関連のハイレゾ製品群が発表されたが、もちろん同社はオーディオコンポーネントの分野においても、以前より“ハイレゾ”を意識した製品開発を行っている。
その中でAVアンプ製品に関しても、いち早くハイレゾのトレンドを取り入れた機能向上を実施してきた。ソニーが“ハイレゾ”や“4K”を軸としたクオリティ訴求を強化し「Hi-Res AUDIO」ロゴを制定した昨年9月の時点で、同社の上位AVアンプは従来モデルのファームウェアアップデートにより、DSDファイルのネットワーク再生およびマルチチャンネル再生に対応している。
現在のソニーAVアンプのラインナップは、9.1ch出力に対応する最上位モデル「TA-DA5800ES」、エントリーライン「STR-DN1050」「STR-DN850」「STR-DN750」の合計4機種だ。
最上位モデルTA-DA5800ESについては、2012年の発売時から各所で高い評価を得ている製品としてご存知の方も多いだろう。上述の通り、昨年9月のアップデートでDSD 2.8MHz音源をサポートし、2chだけでなくDSDファイルの5.1chネットワーク再生にも対応するなど、新たな機能強化を果たしている。
一方で、今春にラインナップが刷新されたエントリーラインの3機種についても見逃せない。STR-DN1050/STR-DN850の2機種はハイレゾ対応モデル。特に上位のSTR-DN1050は、6万円台という低価格帯を実現しながらDSDファイルのネットワーク再生にも対応するという、コストパフォーマンスの高い仕様を実現しているのだ。
今回は、このエントリーモデルながらハイレゾに対応するSTR-DN1050/STR-DN850の2機種を、ソニー大崎の試聴室で体験することができた。試聴に同席された評論家・鴻池賢三氏のコメントを交えつつ、同2機種を改めてご紹介していきたい。
■2機種の製品プロフィールについて
まずは、STR-DN1050とSTR-DN850の製品プロフィールについて簡単におさらいしたい。
上位のSTR-DN1050は、62,000円(税抜)という価格ながらDSDにも対応するハイコストパフォーマンスモデルだ(関連ニュース)。本機は最大7.1ch出力に対応し、実用最大出力は165W/ch。ネットワーク再生機能に対応しており、エントリーながら192kHz/24bitのWAV/FLAC/AIFF、DSD 2.8MHz再生(2ch)にも対応している。
次位に位置づけられるSTR-DN850は、実用最大出力150W/chの7.1chモデル。HDMIは入力が5系統で、うち1系統がMHLにも対応。出力は1系統。入力は4Kパススルー対応で、アップスケールにも対応している。価格は52,000円(税抜)と、STR-DN1050よりさらに1万円ほど低価格化しつつ、192kHz/24bitのWAV/FLAC/AIFF再生にも対応。DSDには非対応だ。
次に本体の仕様について2機種の差異を見ていこう。まず内部の基板は、従来モデルから回路のパターンニングをブラッシュアップしている。この基板自体は2機種で共通のものを採用しているとのことだが、そこに使用しているブロックケミコンや抵抗などパーツのグレードが異なり、STR-DN1050の方が高品位なものを搭載する。
細かい部分では、デジタル基板のオーディオ用マスタークロックも2機種で異なっている。STR-DN1050の方は、真空で密閉された水晶振動子を採用することでより振動子を振動しやすくしており、これによって発振効率を上げて位相ノイズを低減させたという。さらに水晶の電極には、機械的な振動があっても高い接触性を保ち、電導性に影響を及ぼす酸化物を形成しない金蒸着を使用している。一方、STR-DN850の方は従来通り窒素を封入した水晶振動子で、電極には銀蒸着を採用しているという違いがある。
さらにSTR-DN1050の方には、HDMIやデジタル音声伝送でデジタル信号から分離したマスタークロックに原理的に含まれるジッターを排除する「ジッター・エリミネーター」を搭載しているが、STR-DN850ではこれを省略。また、シャーシの加工も変えており、細かい部分で差別化している。
■2機種の試聴インプレッション
今回の試聴では、音楽モノBlu-rayとハイレゾ音源の再生を実施した。Blu-rayはTONY BENNET『AN AMERICAN CLASSIC』から「Because Of You」、ROY ORBISON『A BLACK & WHITE NIGHT』から「Oh Pretty Woman」の2曲、ハイレゾ音源は、鴻池氏のリファレンス音源を保存してあるNAS内から、iPhoneの「SongPal」アプリを用いてネットワーク経由で再生した。
一通りの試聴を終えた鴻池氏は、まずSTR-DN850について「5万円台という価格のエントリーながら、全体的にまとまりがあり、聴き心地が良いのが印象的。低域は輪郭がはっきりとしており、バネがある。ボーカルには無駄なギラつきが無く、気持ちよく聴くことができる」とコメント。
さらに上位のSTR-DN1050については、「STR-DN850も良いのだが、こうして比較すると改めてSTR-DN1050の良さを実感できる」とし、「以前、開発時に聴いたときよりも音がマイルドになっているように感じる。しかしシャープな部分はシャープに、柔らかい部分は柔らかく、音がメリハリをもって描かれる」と語った。
なお、2機種の発表時にPhile-webに掲載された開発者・渡辺忠敏氏のインタビュー(関連記事)によれば、これまでの製品は海外で設計したものを日本でチェックしてフィードバックを送るというやり方だったが、今回は同氏が直接海外に出向いて設計に携わったとのことで、ここからも従来よりさらに設計にこだわったことがわかる。
特にSTR-DN1050については、先述の通り使用パーツやシャーシなどの細部の構成といった“音へのこだわり”を、より良く形にした入門機といえるだろう。本機については、鴻池氏も「レンジが広く、高域がグーッと伸びて気持ち良い。一方で、低域のグリグリとしたような力強い表現もしっかり押さえられている」と評価。6万円台という価格帯からみても、コストパフォーマンスの高さを実感した。
その中でAVアンプ製品に関しても、いち早くハイレゾのトレンドを取り入れた機能向上を実施してきた。ソニーが“ハイレゾ”や“4K”を軸としたクオリティ訴求を強化し「Hi-Res AUDIO」ロゴを制定した昨年9月の時点で、同社の上位AVアンプは従来モデルのファームウェアアップデートにより、DSDファイルのネットワーク再生およびマルチチャンネル再生に対応している。
現在のソニーAVアンプのラインナップは、9.1ch出力に対応する最上位モデル「TA-DA5800ES」、エントリーライン「STR-DN1050」「STR-DN850」「STR-DN750」の合計4機種だ。
最上位モデルTA-DA5800ESについては、2012年の発売時から各所で高い評価を得ている製品としてご存知の方も多いだろう。上述の通り、昨年9月のアップデートでDSD 2.8MHz音源をサポートし、2chだけでなくDSDファイルの5.1chネットワーク再生にも対応するなど、新たな機能強化を果たしている。
一方で、今春にラインナップが刷新されたエントリーラインの3機種についても見逃せない。STR-DN1050/STR-DN850の2機種はハイレゾ対応モデル。特に上位のSTR-DN1050は、6万円台という低価格帯を実現しながらDSDファイルのネットワーク再生にも対応するという、コストパフォーマンスの高い仕様を実現しているのだ。
今回は、このエントリーモデルながらハイレゾに対応するSTR-DN1050/STR-DN850の2機種を、ソニー大崎の試聴室で体験することができた。試聴に同席された評論家・鴻池賢三氏のコメントを交えつつ、同2機種を改めてご紹介していきたい。
■2機種の製品プロフィールについて
まずは、STR-DN1050とSTR-DN850の製品プロフィールについて簡単におさらいしたい。
上位のSTR-DN1050は、62,000円(税抜)という価格ながらDSDにも対応するハイコストパフォーマンスモデルだ(関連ニュース)。本機は最大7.1ch出力に対応し、実用最大出力は165W/ch。ネットワーク再生機能に対応しており、エントリーながら192kHz/24bitのWAV/FLAC/AIFF、DSD 2.8MHz再生(2ch)にも対応している。
次位に位置づけられるSTR-DN850は、実用最大出力150W/chの7.1chモデル。HDMIは入力が5系統で、うち1系統がMHLにも対応。出力は1系統。入力は4Kパススルー対応で、アップスケールにも対応している。価格は52,000円(税抜)と、STR-DN1050よりさらに1万円ほど低価格化しつつ、192kHz/24bitのWAV/FLAC/AIFF再生にも対応。DSDには非対応だ。
次に本体の仕様について2機種の差異を見ていこう。まず内部の基板は、従来モデルから回路のパターンニングをブラッシュアップしている。この基板自体は2機種で共通のものを採用しているとのことだが、そこに使用しているブロックケミコンや抵抗などパーツのグレードが異なり、STR-DN1050の方が高品位なものを搭載する。
細かい部分では、デジタル基板のオーディオ用マスタークロックも2機種で異なっている。STR-DN1050の方は、真空で密閉された水晶振動子を採用することでより振動子を振動しやすくしており、これによって発振効率を上げて位相ノイズを低減させたという。さらに水晶の電極には、機械的な振動があっても高い接触性を保ち、電導性に影響を及ぼす酸化物を形成しない金蒸着を使用している。一方、STR-DN850の方は従来通り窒素を封入した水晶振動子で、電極には銀蒸着を採用しているという違いがある。
さらにSTR-DN1050の方には、HDMIやデジタル音声伝送でデジタル信号から分離したマスタークロックに原理的に含まれるジッターを排除する「ジッター・エリミネーター」を搭載しているが、STR-DN850ではこれを省略。また、シャーシの加工も変えており、細かい部分で差別化している。
■2機種の試聴インプレッション
今回の試聴では、音楽モノBlu-rayとハイレゾ音源の再生を実施した。Blu-rayはTONY BENNET『AN AMERICAN CLASSIC』から「Because Of You」、ROY ORBISON『A BLACK & WHITE NIGHT』から「Oh Pretty Woman」の2曲、ハイレゾ音源は、鴻池氏のリファレンス音源を保存してあるNAS内から、iPhoneの「SongPal」アプリを用いてネットワーク経由で再生した。
一通りの試聴を終えた鴻池氏は、まずSTR-DN850について「5万円台という価格のエントリーながら、全体的にまとまりがあり、聴き心地が良いのが印象的。低域は輪郭がはっきりとしており、バネがある。ボーカルには無駄なギラつきが無く、気持ちよく聴くことができる」とコメント。
さらに上位のSTR-DN1050については、「STR-DN850も良いのだが、こうして比較すると改めてSTR-DN1050の良さを実感できる」とし、「以前、開発時に聴いたときよりも音がマイルドになっているように感じる。しかしシャープな部分はシャープに、柔らかい部分は柔らかく、音がメリハリをもって描かれる」と語った。
なお、2機種の発表時にPhile-webに掲載された開発者・渡辺忠敏氏のインタビュー(関連記事)によれば、これまでの製品は海外で設計したものを日本でチェックしてフィードバックを送るというやり方だったが、今回は同氏が直接海外に出向いて設計に携わったとのことで、ここからも従来よりさらに設計にこだわったことがわかる。
特にSTR-DN1050については、先述の通り使用パーツやシャーシなどの細部の構成といった“音へのこだわり”を、より良く形にした入門機といえるだろう。本機については、鴻池氏も「レンジが広く、高域がグーッと伸びて気持ち良い。一方で、低域のグリグリとしたような力強い表現もしっかり押さえられている」と評価。6万円台という価格帯からみても、コストパフォーマンスの高さを実感した。