分社化による好影響にも言及
【CES】SVP今村氏が語る“BRAVIA”「Android採用」「HDR・ハイレゾ対応」の戦略図
ーー 同じAndroid TVを採用する他社製品との均質化が起きてしまうことへの懸念はなかったか。
今村氏:確かにその可能性はある。だが当社の場合はホームスクリーンの「ディスカバリーUX」と、メニューが簡単に選べる「ワンクリック・エンターテインメント」というGUIについてエクスクルーシブに展開するという合意をグーグルに取っている。ベースの構造はAndroidだが、その中でソニーが独自に改善を施すこともできる。このような部分で差異化を図りたい。
ーー 家庭で長く使うテレビと、アップデートの速度が速いAndroidプラットフォームとの商品サイクルの違いが、ユーザーにとっての使いにくさを生んでしまう可能性はないのか。
今村氏:Android OSは定期的なアップデートやハード機器と連携したバージョンアップも必要。スマートフォンに比べるとライフサイクルが長い商品だが、グーグルもそこは事前に検討している。当社は手がけていないが、白物家電や車中にAndroidを展開した時にもライフサイクルに合わせた使い勝手を担保して、お客様に迷惑がかからないようにするための施策をしっかりと作っていこうという議論をしてきた。
ーー Android TVの仕様はグーグルの意志決定によって影響を受ける心配はないのか。
今村氏:そいういう見方をすれば確かにリスクもあるが、一方でOSやプラットフォームの開発、エコシステムづくりをソニーが単独で行う道筋も私はないと思っているし、選択肢にもない。そしてプラットフォームを持つグーグルが今後全面的に主導権を握ってしまうということも有り得ない。
当社はグーグルのシステムが組み込まれた、実際の「ハードウェア」をお客様に提供している者だ。ハードウェアに連携したお客様の反応や意見をきちんと把握していくことこそ、お客様満足につながるものであるし、そこの部分ではソニーが主導権をしっかりグリップしていくことが大事だと考えている。
ーー 2010年にGoogle TVを投入したが、なぜ成功しなかったのか。Android TVとはどこが違うのか。
今村氏:Google TVのコンセプトは、基本的にPCやモバイル端末のUXをテレビにもストレートに展開するというものだった。今回のAndroid TVはスマートホームで普及したAndroidの仕組みを、アプリの開発者がストレートに他のテレビや自動車、住居に展開できるような仕組みをグーグル自身が展開しているものだ。アプリケーションデベロッパーにしてみれば、従来は個別にアプリをつくらなければならなかったものが、Androidという一つのプラットフォームに統合されるメリットも大きい。
Android TVはテレビでリラックスしながら、良い画・良い音を楽しむ所に重点を置きながら、商品とアプリ開発の仕組み作り上げているところに大きな違いがあり、成長への可能性を持っているプラットフォームだ。