HOME > ニュース > 【CES】SVP今村氏が語る“BRAVIA”「Android採用」「HDR・ハイレゾ対応」の戦略図

分社化による好影響にも言及

【CES】SVP今村氏が語る“BRAVIA”「Android採用」「HDR・ハイレゾ対応」の戦略図

公開日 2015/01/08 12:28 山本 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

ーー ソニービジュアルプロダクツが設立してから約半年が過ぎたが、分社化の効果と意識の浸透について現状の考察はいかがか。

今村氏:2011年に、当時はソニーの副社長だった平井一夫氏と一緒にテレビの収益改善プログラムを立てて遂行してきた。分社化に関わらず、3年前に立てたプランを愚直に続けてきた。その中でテレビに関わる従業員の中で意識的に変わるものと言えば、750人という小規模の組織でまとまって、ソニー本社から権限の委譲によって改革のスピードを加速して欲しいという明確なメッセージに対して応えるかたちで改革のスピードをさらに加速していこうという内部の意識変化はあった。また分社化の後、ソニー本社の改革と一緒に歩みを進めていく中で、当社の実行してきたことのフィードバックがソニーグループの改革にも良い影響を与えている部分はあると考えている。

ーー 先頃開催されたIRデー(関連ニュース)にて、全世界各地域ごとにテレビの機種数を今後3割減らすという方針を述べていたが、どの地域でどのモデルを削減していくのか。

今村氏:まずはラインナップを整理するということが、競合他社のモデル構成に対してソニーのラインナップを合わせ込んでいくという考え方ではないことを説明しておきたい。お客様にとっての価値を最優先に置いて、根本から変えなければならない。

パネル部分の厚みは4.9mmという超薄型化を実現

ブラビア「X900Cシリーズ」

例えばCESではパネル部分の厚みが4.9mmという薄型のブラビア「X900Cシリーズ」を訴求しているが、これは過去にある地域から「壁掛けを手軽に行いたい」という要望を受けたことがきっかけで、簡単に設置ができて美しい映像が楽しめるテレビの価値を見直したことがきっかけで超薄型のフラットパネルという進化の方向性が生まれたものだ。

地域、ターゲットごとにユーザーが必要としていることにしっかりと目を向けることで、テレビ製品の仕様やラインナップの集中と選択が可能になる。各地域のヒットモデルを考えるというアプローチから、結果としてトータルでスリム化しながら無駄なラインナップを減らしていくという方針だ。

今回発表したスリムパネルのモデルは先進国を中心に展開していく。店頭での売り方についても変更を加えるつもりだ。新興国はインドとベトナムに集中する。理由の一つには、インドではサムスンよりもソニーが高い評価を得ている地域だから。そこをさらい強化しながらインドのお客様に応えていきたい。

ーー 通期黒字化の見通しは立ったか。

今村氏:業績発表の時に第3四半期の数字は発表する。第4四半期は我々にとって難しい時期。モデルチェンジが発生する時期で、オペレーションが難しい。何が起きるかわからないということで臨戦態勢で構えなければならないと考えている。通期は第2四半期までの状況と大きく違っていて、私は昨年よりも非常に良いポジションにあると思っている。約束したことなので、2014年度の事業黒字化は必達したい。

ーー メディアテックとシステムLSIの協業を発表した影響はあるか。

今村氏:繰り返しになるが、ソニー単独で全ての開発を行うことはできない。戦略的にSoC分野のパートナーを探してきた。グーグルとディスカッションしてきた内容と、同じようなことを数社のSoCのエキスパートと話してきたが、メディアテックに最も共感いただいて、積極的な姿勢を示していただいたことが選択のきっかけ。

もう一つメディアテックの優位性と考えている部分は、メディアテックがテレビにおいて長い経験を持ち、高いシェアを獲得している企業であるということ。シェアが高い。同時にスマートフォンの領域でも大きなシェアを持っている。これから取り組んでいこうとしている、モバイル機器とテレビの連携、さらにはテレビが持っている独特の信号処理や操作、放送受信などに関連する豊富な技術をお持ちのメーカーであることから今回の協業を発表した。

次ページテレビを軸としたIoT戦略は?テレビの未来をどう考える?

前へ 1 2 3 4 5 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE