【CES】次世代BD・HDR・8K − 折原一也が振り返るCES 2015の高画質トレンド
「4Kを越えている」という名称を持つこのテレビは、その名の通り「4Kパネルでありながら8K相当の映像表示が可能なもの」としてわざわざ隣にリアル8Kパネルを並べて高画質デモが行われていた。これは、2Kパネルで4K相当の表示を可能とする同社の「クアトロンプロ」(RGBYの4原色パネル)の仕組みを4Kパネルに応用したもので、これによって4Kパネルで“8K相当”の表示を可能としている。
80型のバックライトを利用して4Kの映像を入力、そして内部的に4Kから8Kへのアップコンバートを表示しているデモだが、風景を撮影した映像などでは、すぐ隣の8Kテレビと比較しても遜色のない映像を実現していた。ちなみに広色域バックライトも採用しており、直下型バックライトのエリア駆動にも対応する。
冒頭でも述べた通り、2015年中の発売を宣言する「8K(相当)」テレビはこのシャープの「Beyond 4K」のみで、価格は約100万円になる見込みとのこと。4Kが当たり前になる時代に、一歩先の画質を体験できるモデルとして期待できそうだ。
シャープ以外では、「参考出展」「業務用」「プロトタイプ」といった形で、各所で8K関連展示を見ることができた。
とりわけ高画質な展示を行っていたのが、パナソニックの55型8Kパネルを採用した業務用ディスプレイ。IPS-Pro技術によるコントラスト、120Hz駆動、スーパーハイビジョンの表示に対応したモデルで、デモではNHKがロンドン五輪を撮影した映像を上映するなど、最高クラスの画質のものを見せていた。
その他のデモ展示では、LGが「8K ColorPrime NANO SPECTRUM」として業務用モデルの展示を行っていたが、こちらは発売未定とのことだった。
ほかに注目したい8K関連のトピックとしては、MHLコンソーシアムによって8K映像伝送に対応するMHL新規格「Super MHL」が発表され、同ブースにて、シリコンイメージが開発したLSIとサムスン製セットを利用した8K伝送デモが行われていたこと。Super MHLは、8K伝送およびHDCP 2.2など著作権保護なども可能な諸条件を備えたものとして、民生機器でも利用できるよう規格化された初のインターフェースとなる。
ちなみに、Super MHL自体はHDMIやmicroUSBなどの端子でも利用できるよう定義されているが、8K/120pまでのフルスペックを出せるのは、新たに定義された「SuperMHL」の32ピン・リバーシブル仕様の専用端子だけだ。この新端子は、他の端子との互換性はない。
■液晶バックライトは「量子ドット」よりも「新蛍光体」が本命!?
CES開幕前に、次世代の高画質技術として話題に上っていた「量子ドット液晶」の技術は、いくつかのブースでデモ展示を行っていた。量子ドット蛍光体技術とは、蛍光体の量子ドットによって青色LEDの光の波長変換を行い、これによって純度の高い色表示をサポートするもの。ディスプレイ製品において、より広色域表示を実現すると期待される技術である。