「業績回復に向け不退転の決意」
シャープ、'14年度は300億円の赤字見込み ‐ 液晶テレビ「日本はラインナップ拡充」
なお、液晶テレビ事業のみの、第3四半期単独売上高は前年同期比12.2%減の1,043億円で、営業損益は35億円の赤字。通期では売上高が前年同期比8.2%減の3,800億円、営業損益は120億円の赤字を予想している。
デジタル情報家電部門の悪化については、主要市場における市況低迷と競争激化が要因であると説明。国内では4Kを中心としたラインナップ展開の遅れと大型モデルの価格競争激化があり、北米では大型モデルの価格競争の激化、中国では流通在庫過多による価格競争激化と実売不振があったという。
これを受け、今後、日本国内ではラインナップ拡充やバリューチェーンの見直しによるコスト競争力強化を行い、北米では4Kモデルラインナップ拡充や次世代高精細テレビの商品化など、高付加価値モデルの創出を行う。そして中国では流通在庫の削減と販売チャネルの見直しを行う。
液晶テレビ事業については、「国内はラインナップ拡充、北米は高付加価値モデルへの絞り込み」という戦略を取ると説明。国内市場の状況について高橋氏は「想定外によくなかった」とし、当初は60インチ以上のみで4Kモデルを展開したが、他社の4Kモデルと比べた際のラインナップ不足によって、一時は30%を切るところまでシェアを落としたとコメント。しかし下期にサイズ展開を拡大したことで直近では35%ほどと、4社で団子状態にあることを紹介した。
海外の状況については、「欧州での構造改革での赤字が結構大きいが、これは想定内。次に赤字が大きいのは米国で、競争激化と60インチを中心とした価格下落が影響した。今は多くの機種を展開しているが、それを高付加価値に絞り込んで数を追わずにやっていく」とした。
日本ではラインナップ拡大、アメリカでは絞り込みという異なる戦略を採ることについて高橋氏は「日米ではシャープのポジションが全く違うため」と、その理由を説明。「海外では巨大なテレビメーカーがあり、シャープのシェアはとても低い。その状況で機種を増やす強者の選択はできない。国内ではかつて40%を超えるシェアのときもあり、ポジションが全く違う。このため違う戦略を取るのが正解だと思っている」と述べた。
■液晶事業は中型の高精細化遅れなど影響し業績悪化
液晶事業は、四半期単独での売上高が2,380億円(前年同期比14.2%減)で、営業利益が114億円(前年同期比55.9%)。通期では9,700億円の売上で400億円の営業利益を見込んでいる。