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「業績回復に向け不退転の決意」

シャープ、'14年度は300億円の赤字見込み ‐ 液晶テレビ「日本はラインナップ拡充」

公開日 2015/02/03 18:43 ファイル・ウェブ編集部
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さらに、持分法適用会社であるルネサスエスピードライバ(現在の商号はシナプティクス・ディスプレイ・デバイス)について、シャープが保有する全株式をSynaptics Holding GmbHに売却。これらの売却益や損失を今回の決算に計上している。

なお、子会社の南京夏普電子有限公司が、中国課税当局から、移転価格税制に基づく構成決定通知を受領する見込みであるとも発表。これに伴う更生所得金額は601億4,900万円で、追徴税額は101億1,800万円と試算されるという。これに対し同社では、「連結子会社との取引価格は適正であり、これまで各国の税制に従い適正な納税を行ってきたと認識している」とし、二重課税を排除するための日中租税条約の規定に基づく相互協議申し立てを検討しているという。

■質疑応答では様々な質問が

以下、質疑応答での模様をお届けする。

Q.テレビの今後の需要の伸びについてどう見ているか。もし4Kが伸びないと見ているのであれば、矢板工場ではフルHDモデルの生産を増やすのか。

A.4Kのラインナップを拡充し、直近のシェアは4社がほぼ団子状態で、2位に上がったこともある。そうした状況で、それよりも安いものを矢板で一生懸命作ることはない。

Q.新たな中期経営計画での、2015年度の目標について聞きたい。売上や利益項目がどれくらいの水準になる予定なのか。黒字化を目指すということでいいのか。

A.まさに今、全社を上げてまとめているところだ。申し訳ないが具体的には控えさせていただきたい。今これだけの赤字で強い危機感を持っている。当然黒字化は目指していく。

Q.また、現在の経営状況について、営業利益も出ているし現金もあるということだが、財的な観点から見て改めてききたい。

A.現在の財務状況。とても健全な状態だとは思っていない。非常に厳しい財務状態だとの危機感を持っている。それを社内に伝えるために役員の報酬返上も決めた。以前のように「前ほどではないよね」という感覚は我々の中にはない。

Q.海外工場の必要性をどう考えているのか。

A.一番新しいポーランド工場を売却している。アメリカも機種は絞るが続けていく。中国はそれほどの赤字ではない。そういった意味で、マレーシアと南京をすぐに閉じる話は持ち上がっていない。

Q.堺工場のオフバランス化などで3,000人ほどの人員が減っているが、今後、構造改革で人員削減まで踏み込む予定はあるのか。また、現在、人員の余剰感を感じているか。

A.希望退職的なものは考えていない。2012年の12月に希望退職を募って、その後も採用を抑えているので人員の余剰感はない。堺工場に限って言えば、フル稼働なので余剰感はまったくない。

Q.液晶および液晶テレビ部門は価格変動リスクが高い。ここをどう見ているのか。

A.そのリスクは基本的にはデバイス系の話。そういう意味では液晶デバイスが非常に変動に弱い事業。ただ逆にいうと、伸びるときは思い切り伸びる。なぜ変動に弱いかというと、投資が大きく改修ができなく、市場が安定しないため。今現在は投資の減価償却がだいぶ進んでいる。IGZO化はそれほどコストがかからない。736ppiのスマホサイズモデルもその投資のなかで作れている。新たな工場を作るとなれば別だが、十分なキャパの工場をすでに持っていて、大きな投資は必要ないと思っている。

Q.人件費の削減について。賃金のカットや定期昇給の凍結などの申し出をする予定はあるか。

A.取締役、役員以外の給与カットなどは現在考えていない。

Q.社長と副社長は前経営陣から引き続いて経営に携わっている。これほどの赤字でまだ続けるつもりなのか。

A.300億円の赤字に対して、新たな計画を策定し達成することで経営責任を果たしていく考えだ。

Q.利益を上げられない会社は存在意義がないのではないかという考え方が一般社会にはある。社長の責任についてどう思っているのか。

A.重ねての説明になるが、新たな中期経営計画を策定している。どういう方向に行くのかは5月に詳しく説明する。

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